新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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増配ラッシュ


 05年3月期決算が4月末から始まり、ゴールデンウイークを挟んで、いよいよ発表のピークとなってきた。好決算の会社が多いことと、最近の敵対的買収に対する防衛意識の高まり(好意的に見れば、「株主還元意識の高まり」)から、配当を増額する会社が近年になく増えている。

 管理人にとっての「増配」の思い出は約2年前に遡る。当時、海外投資家へのIRミーティングでヨーロッパ各地を1週間の日程で巡回していた。

 一応断っておくが、どこかの役所みたいな時差ボケ解消考慮や観光、ミヤゲを買う時間などは一切ない。昼間に4〜5件の投資家を回って1件当たり1〜1時間半程度のミーティングをして、夕方には空港に向かい、夜に次の目的地に着くというパターンの繰り返し。

 その中で、英国エジンバラは、古くからのバリュータイプの伝統的な大手の機関投資家数社が拠点としている、投資運用業界では重要な都市の一つである。印象的な出来事はこのエジンバラにある、とある投資家を巡回した際におきた。

 この投資家とはもう数年来の付き合いで、彼らが日本に来た時には、必ずミーティングをし、こちらからエジンバラを訪れた時も必ず訪問し、非常に友好的な関係にあった。そんな彼等といつもの調子でミーティングをしているつもりだったのだが、この時は、それ迄とはとんでもなく様子が異なっていた。

 1時間半のミーティング予定のうち、1時間をすぎた辺りから話が「増配しないのか」という方向に入り出した。この時点ではまだ「まあ最近、こういう外人投資家も多いから、いつものことか」とタカをくくっていた。

 しかし、この時の彼らは通り一遍では済ませてくれなかった。

 なんと、「増配しろしろ」と言い出した彼らは、予定時間の1時間半を過ぎてもなお、この議論をやめることなく、食い下がってきた。

 幸い、この日のスケジュールはこの投資家のミーティングが最後だったので、スケジュールには問題が出ることはなかったが、外国人投資家の日本企業に対する増配圧力の高さを初めて思い知らされたのは、このエジンバラでの1件だった。

 その出来事以来、約2年弱経った。後出しジャンケンのコメントで申し訳ないが、やはり外国人投資家の視線は日本企業の2年先を見ている、と言うのも確かに間違いではない、と思える出来事だった。

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