新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research
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ナノ・メディア(3783 マザーズ)

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セクター:情報・通信業
ネガティブ要素はあるものの、人気化は確実か

 携帯電話向けコンテンツサービスが主力であることから、人気が高くなりやすい業態である。株式の需給面では、過半数を保有する最大株主である伊藤忠商事にはロックアップがかかっているが、仮にロックアップがなかったとしても、親会社として保有株式を売却するとは考えにくく、ロックアップ自体に実効性は薄い。逆に、ベンチャーキャピタル保有分には、ロックアップがかかっていない。

 業績面では、成長性はみられるものの、十分に収益貢献している状況には至っていない。今期の実力ベースEPSの想定を3千円強とすると、公募価格はPER約200倍という設定になる。
 逆に考えれば、ネガティブ要因は上記の2点程度しかなく、人気化することは間違いないと見られる。

事業概要
携帯電話向けコンテンツサービスと電子番組表配信サービス
当社は、インターネットに接続可能な携帯電話のネットワークを介して、一般消費者向けに情報コンテンツサービスを提供する事業を行っており、エンタテイメント分野におけるモバイルコンテンツ配信事業を行う「エンタテイメント部門」と、EPG(電子番組ガイド)を主たるコンテンツとした放送と通信の連携サービスを提供する「メディア部門」で構成されている。

 エンタテイメント部門では、インターネット接続可能な携帯電話のユーザーに対して、各移動体通信事業者(キャリア)の公式サイトにてエンタテイメント系を中心とした有料コンテンツを提供している。主な事業内容は、サイト構築に関する企画・提案、システム開発・運用・管理、サイトコンテンツの制作・運用及びサポート等となっている。主なコンテンツは、矢井田瞳・長渕剛等アーティスト、アントニオ猪木等タレントの着うた・着メロディ・着ボイス・日記・コラム・待ち受け画像等、プロ野球・サッカー・ゴルフ等スポーツの映像・音声・テキスト情報の配信等。

 メディア部門では、各キャリアを通じて、日本全国の地上波・CS・BS・BSデジタル、スカパー!・CATVのEPGサイト「TVnano / 番組サーチ」を提供している。
 また、同部門では、KDDIとの協業によって、赤外線通信機能搭載携帯電話向けアプリを、FMチューナー搭載携帯電話には、情報配信機能付きチューナー制御アプリの提供を行っており、関連サイトの運営も受託している。また、KDDI・ボーダフォンのアナログTVチューナー搭載携帯電話向けには、EPGとTV視聴がスムーズに行える連携アプリの提供を行っている。

収支の状況
会員数の増加は順調だが、収益増加への貢献はこれからの課題
 売上高の前提となる有料会員数と公式サイト数の推移は下表の通りであり、順調に増加している。しかし、06.3期第一四半期の決算を単純に4倍したものを今期の想定とすると、売上高は28億円となり、前期と同水準となる。売上高の計上に季節要因によるばらつきがあるかもしれないが、第一四半期の実績には、やや疑問が残る結果となっている。

 当社は、既に単年度では黒字決算となっているが、税務上の繰越欠損金が存在するために、課税所得の控除が行われている。05.3期の場合では、法定実効税率40.65%に対して、評価性引当額で-95.95%の控除が行われており、税効果会計適用後の法人税等の負担率は、-45.82%となっている。これは極端な例だが、今期についても同様の方向での決算が行われる可能性は高い。

 今06.3期第一四半期のEPSは、法人税が通常通り課税されていたとすると、約800円となり、単純に4倍すると、3,200円となる。

株式の状況
ストックオプションの行使可能までは猶予あり
 当社の発行済み株式数は、05年9月時点で16,205株となっている。上場にあたっての公募が3,100株予定されているほか、オーバーアロットメントによる売り出し分600株については、主幹事証券会社である野村證券に対して、第三者割当増資が実行される可能性がある。ストックオプションの未行使残高については下表のように388株が存在するが、行使期間まで1年半ほど猶予があるために、潜在株式としては認識しない。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、19,905株とした。

 伊藤忠商事の保有株式については、180日間のロックアップがかけられている。現時点で10,938株保有しており、うち700株が売り出し対象のため、ロックアップの対象となるのは、10,238株となる。総発行済み株式数に対して、ほぼ半数がロックアップ対象となるイメージである。但し、上場後に発行価格の2倍以上であれば、主幹事の野村證券を通じて市場売却することが可能というオプションが付与されている。
 ベンチャーキャピタル保有分は、現時点で1,685株が確認された。うち売り出しにかかるものが30株あるため、上場直後に市中放出される可能性のある株数は、1,655株となる。

 想定公募価格帯は、70〜80万円とされており、この平均価格75万円を基準とした公募による投資や手取り額の概算は約2,147百万円となる。資金使途は、放送と通信の連携分野及びモバイルコンテンツ分野における事業提携などの事業投資に充当するとされている。オーバーアロットメント300株について、第三者割当増資が実行された場合には、手取り額は約418百万円増加するが、この分についても、資金使途は同様とされている。

情報開示の状況
一定の開示水準が今後期待
 当社ウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現時点で閲覧可能なデータは、財務ハイライトだけとなっている。現段階でも、ニュースリリースの掲載程度の追加を希望したいが、今後は一定水準での開示がされるものと想定する。


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