IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アトラエ(6194 東証マザーズ)IPO |
リスク要素もあるが当面は高い評価が期待できる メインの事業はインターネットを利用した求人・求職マッチング事業であり、やや新奇性に欠ける上、積極的に新規事業を展開しているものの今の段階では、大きく芽が出ている事業はなく今後の方向感の不透明性を含めて、リスクがあるとみられる。 ただ、足元の業績は好調に推移しており、16.9期は対前期比で大幅な増益の見通しとなっている。 16.9期業績予想でのEPSに基づく、想定されている公募価格のPERは約31倍となる。今後の成長性についてある程度織り込まれている形であり、上記の事業リスクもマイナス要素としては存在するものの、短期的な評価としては更に高めも狙えるとみられる。 個別データ(肩は対前期比(%))
アトラエは、インターネット上にて、転職を希望する求職者と求人企業のマッチング(求職者が求人企業へ入社すること)を実現する求人メディアの運営を行い、平行して積極的に新規事業の展開を行っている。 成功報酬型求人メディアGreenでは、ビッグデータ解析のテクノロジーを活用し、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現している。Greenに登録している求職者のうち、2016年3月単月のアクティブユーザー数は約15千人、2016年3月末時点のGreenに掲載されている求人数は7,057求人。 Greenは新規登録時に初期設定費としてシステム利用料や掲載記事作成料が必要となるものの、その後は求人広告の掲載期間や掲載求人数の制限がなく、採用が成功し、求職者が実際に入社した段階で成功報酬が発生する、いわゆる成功報酬型の料金体系を採用している。 また、IT,Web業界において採用ニーズが高いエンジニアやWebデザイナー等が多く登録する求人メディアであり、Greenを利用して採用を行った求人企業のうち、約9割がIT,Web業界に属している。 新規事業としては、タレントマイニングサービス「TalentBase」と、ビジネスパーソン同士を結び付けるスマートフォンアプリ「yenta」を展開している。 TalentBaseはビジネスパーソンのプロフィールデータやソーシャルメディア上のアクションデータ等を保有するデータベースであり、転職の意向が顕在化していない転職潜在層への採用アプローチを可能とし、求人企業のダイレクトリクルーティングを支援する人材採用ツールとして使用することが可能。TalentBaseは、求人企業(有料会員)からの月額利用料を収益として計上している。 yentaでは完全審査制のもと、ビジネスパーソン同士の様々な目的(採用、転職、情報交換、情報収集、人脈形成、営業活動等)での出会いを実現するスマートフォンアプリであり、現在は無料で提供しているが、今後は一部の個人ユーザーに対する有料課金を検討している。 |
■16.9期業績予想 売上高のうち、Green初期設定費は当月営業し当月受注する件数について対前期比+22%の増加、前月以前に営業し当月受注する件数について、初期訪問後の継続したフォローアップ営業活動の強化などによって受注率が向上したことで同+64%の増加を見込み、売上高としては同+69%の増収の見通し。 Green成功報酬は、新規登録者について対前期比+20%と想定の上で、応募率や書類選考通過率等を考慮して、入社人数では対前期比+45%の増加の見通しとしている。成功報酬単価は前期並みとして、同売上高は対前期比+48%の増収の見通し。 以上により、全体の売上高は対前期比+51.2%の増収の見通し。増収効果により、営業利益・経常利益は対前期比2倍以上の増益の見通し。
ベンチャーキャピタルからの出資はないが、ストックオプションの未行使残高があり、うち約半数が上場直後から行使可能になるとみられる。一応の留意は必要と思われる。 A. 発行済み株式数 1,164千株(単元100株、15.7に1:3,000株式分割後) B. 公募 95千株、増資によるオーバーアロットメント 33,600株 C. 売出し 129千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 132千株 E. うち潜在株式に算入する数 60千株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,352,600株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者9名と法人1社に対して90日間、但し発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 15年6月 72,000株 167円 17年7月〜25年6月 15年6月 60,000株 167円 15年7月〜25年7月 目論見書でのアトラエの想定発行価格は5,030円で、この価格に基づく公募によるアトラエの手取り概算額は約470百万円とされている。 別途予定されている第三者割当の手取り概算額上限約168百万円と合わせた資金使途は、求職者を獲得するための広告宣伝費に120百万円、事業拡大に伴う人材採用及び人件費に243百万円、新規事業に係るシステム開発のための外注費に33百万円、事業・人員の拡大に伴うオフィス移転に係る敷金・内装等の設備資金に102百万円を充当する予定。
アトラエのウエブサイトには5月24日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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