IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
農業総合研究所(3541 東証マザーズ)IPO |
純投資にはなじまないかもしれない銘柄、ひとまずは高い配当性向を期待 16.8期の業績予想における、対前期比での業績の伸びは著しいが、事業モデル自体は奇をてらったものではなく、比較的伝統的な事業スタイルになっており、特段に評価できるものではない。 16.8期業績予想でのEPSに基づく、想定されている公募価格のPERは約21倍となる。この水準以上に現時点で評価することは難しいとみられる。純投資目的よりは、事業の趣旨に賛同する人が共同出資するタイプと思われる。純投資向けとしては、ひとまずは、高い配当性向を発表することが会社には望まれる。 個別データ(肩は対前期比(%))
農業総合研究所では、農家の直売所事業として、当社や業務委託先が運営する集荷場で登録された生産者から農産物を集荷し、原則翌日にスーパーマーケット等の小売店の直売所コーナーで販売している。 農家の直売所事業における取引は、スーパー等との契約に応じて委託販売システムの提供と、卸販売に分けられる。また、委託販売システムを当社が利用し、当社が登録生産者から農産物を買取し、委託販売する買取委託販売も行っている。 委託販売システムでは、登録生産者は在庫リスクを持つ代わりに販売する農産物とスーパー等の販売先と販売価格を自分自身で決定することができる。スーパー等で生活者が農産物を購入することにより、登録生産者は販売代金を、スーパー等及び当社は販売手数料を得る。登録生産者は、在庫リスクを負うものの、原則、農産物市場を経由して販売するよりも多くの販売代金を得ることができる。 買取委託販売では、天候不順当で農産物の供給量が安定しない場合や、スーパー等からフェア実施等で一定の供給量の要望があった場合に、当社が登録生産者から農産物を買い取り供給量を確保し、スーパー等で委託販売を行う。 当社が在庫リスクを負うため、登録生産者等から買い取りする価格は、登録生産者等が市場に出荷する価格と同等かそれ以上となり、価格は当社が決定する。 卸販売は、農産物を登録生産者から買い取りし、スーパー等へ販売を行う、通常の仕入れ販売となる。
農業総合研究所のウエブサイトには5月25日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
■16.8期業績予想 当期は委託販売を中心に農家の直売所事業に注力し、積極的にスーパー等と交渉を重ね、直売所コーナーの導入を進めることで、2016年2月末時点で提携スーパー等の店舗数は対前期末比+99店舗の570店舗となった。 また、スーパー等の農産物供給量確保のため、集荷場を東北地区や東海地区にも開設し、集荷場は前期末に比較して2拠点増加し、同年2月末時点で53拠点、登録生産者は前期末から509名増加し、5,231名となった。 当期末には、提携スーパー等の店舗数は対前期末比+185店舗増の656店舗、流通総額は同+34.9%の増加、集荷場数は同+7か所増の58か所、登録生産者数は前期末比+1,078名増の5,800名となる見通し。 以上により、委託販売システムの売上高は対前期比+38.1%の増収の見通し。 買取委託販売では、農業総合研究所にて在庫リスクを管理できる水準で販売額が増加することを想定し、売上高は対前期比+8.5%の増収の見通し。 卸販売は、委託販売システムに注力する経営方針を反映して、取引量が減少することを考慮し、売上高は対前期比マイナス70.6%の減収の見通し。 以上の結果、全体の売上高は対前期比+18.9%の増収の見通し。 一般管理費等は増加するものの、卸販売における売上原価の低減等により、営業利益・経常利益は共に対前期比2倍以上の増益の見通し。
ベンチャーキャピタルからの出資はあるものの量は少ない。ストックオプションの未行使残高もなく、株式需給に関しての当面の課題は見当たらない。 A. 発行済み株式数 1,770千株(単元100株、16.2に1:100株式分割後) B. 公募 270千株、増資によるオーバーアロットメント 55,500株 C. 売出し 100千株(売出し元は法人1社)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 2,095,500株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 20千株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者6名と法人3社、ベンチャーキャピタル1社に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。 目論見書での農業総合研究所の想定発行価格は1,010円で、この価格に基づく公募による農業総合研究所の手取り概算額は約244百万円とされている。 別途予定されている第三者割当増資の手取り概算額上限約51百万円と合わせた資金使途は、120百万円を設備投資に、残額を運転資金に充当する予定。 設備投資の内容は、登録生産者に対する利便性向上と拡大を目的とした販売管理システムの改修に係る設備投資に全額。 運転資金の内訳は、今後の業容拡大に対応することを目的とした人材採用資金・人件費に122百万円、登録生産者の増加への対応を目的としたサーバーシステムの増強資金に12百万円。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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