IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ツバキ・ナカシマ(6464 東証)IPO |
収益性・業績評価の点だけでなく、株式需給や過去の経緯からも、評価はしくにい 足元の業績そのものは、安定的に推移している。13.3期の想定EPSを過去実績と第一四半期の実績から40-60円と想定した場合、想定されている売出し価格のPERは30-40倍となる。ストックオプションを行使するには確かにこの価格水準が必要だが、株式の評価としては、難しい面がある。 加えて当面はロックアップの対象とはなっているが、筆頭株式の売却リスクがある点、過去に一旦上場していながらMEBOを行い、非上場化した経緯がある点を考慮すると、なかなか高い評価はしにくい銘柄となっている。 連結データ(肩は対前期比(%))
[経緯] ツバキ・ナカシマ(実質上の存続会社)は、野村プリンシパル・ファイナンスを中核的安定株主とし、MEBOを選択。その際、形式上の存続会社である旧TNNインベストメントは、SPC(特別目的会社)として設立され、旧ツバキ・ナカシマを完全子会社とする株式交換を行った後、同社を吸収合併。 ツバキ・ナカシマグループは当社ツバキ・ナカシマと連結子会社11社から構成されており、主な事業として、精密球(鋼球事業)、ボールねじ(精機事業)、送風機(送風機事業)の製造販売を、日本・米国・ポーランド・中国・インド・台湾で行っている。 鋼球事業は12.3期のツバキ・ナカシマグループ売上高の74.5%を占める事業で、様々な材質・サイズの2万種類を超える高品質精密球を製造販売している。精密球は、主に重要な構成要素としてボールベアリングに使用され、最終製品としては自動車や工作機械となっている。更に、ボールペンのペン先ボールや光通信用のガラスボールのような非ベアリング用途も製造販売している。 精機事業は、主に工作機械の精度を左右する部品として、NC旋盤やマシニングセンタ(MC)に使用されるボールネジ(直動軸受案内)を製造販売している。 送風機事業では、中・大型送風機の製造販売、賃貸事業他では、不動産の賃貸等を行っている。 |
■12.3期 鋼球事業では、震災の影響によって日系自動車関連需要の減少が見られたものの、中国や新興国需要の増加により売上高は対前期比+6.0%の増収となり、セグメント利益は同+0.8%の増益となった。 精機事業では、夏以降にハイテク向け需要の調整や中国金融引き締めの影響が大きくなり、受注が低迷しているものの、注残の消化を行っていることから、売上高では対前期比+22.7%の増収、セグメント利益では、同+31.5%の増益となった。 以上の結果、売上高全体では、対前期比+8.0%の増収となった。利益面では、東日本大震災やタイ洪水の影響はあるものの、売上・生産の増加に加えて、2007年に実施したMEBOによる機動的な経営体制の構築や金融危機時に行ったコスト削減効果が現れてきたこと等によって、営業利益で対前期比+4.0%、経常利益で同+15.9%の増益となった。当期利益では、法人税率の変更に伴う税効果会計に用いる実効税率変更の影響もあって、同+77.6%の増益となった。
株式は再上場となり、公募は計画されていない。ストックオプションの未行使残高があるが、当面は行使期間に入らない。筆頭株主で約90%を保有する投資会社がロックアップの対象となっているため、当面の株式需給はタイトになることが予想されるものの、最終的には、この投資会社の持ち株は全数が売却されることが当然の前提であり、ロックアップ期間が経過した後には、他の株主にとっては重要なポイントとなる。 A. 発行済み株式数 39,138,300株(単元100株、12.6月に1:100株式分割後) B. 公募 0株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 26,466,400株(売出し元は)、既発株のオーバーアロットメント 1,846,400株 D. ストックオプション等の残高総数 3,040,000株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 39,138,300株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 37,750千株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者10名と法人1社に対して180日間。対象株数は41,163,600株(ストックオプションを含む。) 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 11年6月 1,660,400株 1,026円 13年8月〜21年6月(5年間の行使制限付) 11年6月 1,119,600株 1,026円 13年8月〜21年6月(5年間の行使制限付) 12年6月 84,000株 1,366円 14年8月〜22年6月(5年間の行使制限付) 12年6月 176,000株 1,366円14年8月〜22年6月(5年間の行使制限付) 目論見書でのツバキ・ナカシマの想定売り出し価格は1,640円とされている。
ツバキ・ナカシマはMEBOを行う2007年まで上場していたこともあり、同社のウエブサイトには投資家向け情報開示のページが既に設置されている。掲載されているコンテンツは、上場承認のニュースリリース程度となっている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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