IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ウチヤマホールディングス(6059 JASDAQスタンダード)IPO |
概ね足元の業績は、公募価格に織り込み済みか 13.3期業績予想ベースのEPS約230円に対して、想定されている公募価格のPERは約7倍弱となり、概ね足元の業績を妥当に反映した水準とみられる。 但し、業態として、介護事業とカラオケ・飲食事業という業種構成が、一見すると脈絡の無さを感じさせられ、事業の一貫性、補完構造としてやや不安が残る点や、主力事業である介護事業について、一般的にはなかなか収益があがる構造にはなっていない上に、ウチヤマホールディングスとしての独自の強みという点でも、目論見書からは読み取ることが出来なかった点など、定性的な事業構造・戦略・方針については、高い評価はしかねる。 連結データ(肩は対前期比(%))
ウチヤマホールディングスグループは当社ウチヤマホールディングスと連結子会社3社から構成されており、主に4つの事業(介護事業、カラオケ事業、飲食事業、その他)を展開している。 介護事業では、福岡県北九州市を中心として、介護等が必要な高齢者を対象として主に介護保険法に基づく各種サービスを提供している。提供するサービス、有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム及び住宅型有料老人ホーム)を中心として、グループホーム、ショートステイ、ヘルパーステーション、ケアプランセンター、デイサービスセンター、小規模多機能型居宅介護施設等があり、有料老人ホーム等の入居型施設を中心として各種介護サービスにかかる事業所を併設する等により事業展開を行っている。 3月時点で以下の45ヶ所89事業所を展開している。 ・ 介護付有料老人ホーム 21事業所 ・ 住宅型有料老人ホーム 13事業所 ・ グループホーム 6事業所 ・ ショートステイ 16事業所 ・ ヘルパーステーション 9事業所 ・ ケアプランセンター 7事業所 ・ デイサービスセンター 14事業所 ・ 小規模多機能型居宅介護 3事業所 カラオケ事業では、カラオケボックスの運営を主に福岡県を中心に行っている。「コロッケ倶楽部」の屋号で展開を図っている。出店数は、80店舗を出店している。 飲食事業では、主に居酒屋店舗等の運営を九州各県を対象として行っている。店舗コンセプトの異なる複数の店舗形態(業態)での展開を行っており、「かんてきや」(主にサラリーマン層が対象)、「Susu」(主に女性顧客が対象)、「再生酒場」(低価格居酒屋)等を展開することにより、幅広い顧客層の取り込みを図っている。居酒屋24店舗、立ち飲み1店舗、うどん店1店舗を出店している。 その他の事業として、さわやか倶楽部のホテル部門において、住宅型有料老人ホームとの併設型温泉付きホテル2ヶ所を大分県別府市にて運営している。また、子会社において、不動産部門では、賃貸マンションの賃貸・管理業務と不動産物件の仲介業務を、通信部門においてはソフトバンクモバイルの携帯電話販売店の運営(1店舗)を、行っている。
ウチヤマホールディングスのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページがすでに開設されている。但し、3月23日時点で掲載されているコンテンツは無い。 |
■11.3期実績 介護事業では、4月に京都府京都市右京区の住宅型有料老人ホームの運営を開始し、5月には大阪府枚方市に介護付有料老人ホーム、8月には北海道上川郡東神楽町に介護付有料老人ホームを開設した。その他福岡県行橋市に「グループホームあおいうみ」1ユニット、大分県別府市にホテル併設の住宅型有料老人ホームの運営を開始した。年度末における営業拠点は36ヶ所74事業所となり、福岡県全域で30ヶ所62事業所、大分県で2ヶ所4事業所、京都府で1ヶ所3事業所、大阪府で1ヶ所1事業所、秋田県で1ヶ所2事業所、北海道で1ヶ所2事業所となった。 以上の結果、介護事業の売上高は前年同期比11.8%の増収となった。セグメント利益(営業利益)は、期中において行った介護施設7施設のセールアンドリースバック取引により、施設賃借にかかるコストが発生したこと等により、同マイナス5.0%の減益となった。 カラオケ事業では、6月に広島県広島市中区に、12月に東京都豊島区東池袋と福岡県福岡市中央区、北九州市八幡西区に出店した。都心の好立地を中心に、慎重に候補地を検討し展開を行ったことにより当期末での店舗数は73店舗となった。以上の結果売上高は前年同期比マイナス1.2%の減収となり、セグメント利益(営業利益)はカラオケ機器において新機種導入や入れ替え等のため、新規購入を行い価償却費が増加したこと等により、同マイナス18.0%の減益となった。 飲食事業では、前年に引き続き既存店の業態変更も行っており、それを含めて3店舗の出店を行い、期末店舗数は26店舗となった。売上高は対前年同期比7.1%の増収となったものの、セグメント利益(営業利益)は客単価の減少に伴い、原価率が上昇したこと等によって、同マイナス7.0%の減益となった。 ■12.3期業績予想 介護事業では、有料老人ホームやグループホームの既存施設の入居が好調に推移している。また、当期中の施設の開設を介護付有料老人ホーム3ヶ所、住宅型有料老人ホーム4ヶ所、グループホーム1ヶ所、小規模多機能型施設1ヶ所を行っていることから、売上高は対前期比+12.8%の増収となる見通し。 カラオケ事業は、既存店の集客が順調に推移し、また新規店舗を7店舗開設したこと等よって、売上高は対前期比+10.7%、飲食事業でも、既存店の集客が順調に推移したことと2店舗のリニューアルオープンの効果によって、同+3.3%の増収となる見通し。 以上の結果、連結売上高は対前期比+10.3%の増収となる見通し。 営業費用で、介護施設のセールアンドリースバック取引による3施設の売却に伴う賃借料の発生や、カラオケ事業でのカラオケ機器購入に伴う減価償却費の増加を織り込んだことで、営業利益では、対前期比+8.6%にとどまる見通し。 介護3施設のセールアンドリースバック取引に伴う固定資産売却益を特別利益に織り込み、当期利益では対前期比+26.1%の増益となる見通し。 ■13.3期業績予想 介護事業では、安定的な入居率を見込む他、介護職員処遇改善交付金が廃止となる一方で新たに介護職員処遇改善加算が介護報酬に反映されることになったことを踏まえて、介護保険料収入の増加を見込んでいる。更に、当期中に介護付有料老人ホーム5ヶ所、住宅型有料老人ホーム1ヶ所の新規開設を予定していることから、売上高は対前期比+21.0%の増収の見通し。 カラオケ事業では既存店の集客が前年を上回るペースで推移すると見込み、更に新規出店5店舗を計画に織り込み、売上高は同+10.2%、飲食事業では既存店の集客が順調に推移する前提で、更に1店舗の新規出店を織り込み、売上高は同+3.0%の増収の見通し。 以上の結果、連結売上高は対前期比+13.4%の増収の見通し。 増収効果によって、営業利益は対前期比+18.6%の増益の見通しだが、営業外収益で介護職員処遇改善交付金の制度廃止影響による減益と、特別損失で減損会計の適用を見込み、経常利益で同マイナス6.2%、当期利益で同40.2%の減益の見通し。
ストックオプションの未行使残高があるが、全体に占めるウエイトは小さい。一方、ベンチャーキャピタルからの既存出資は、特定の一組合が大きく出資しているのではなく、多くのVCが少しずつ投資している状況であり、これらを合計すると、全体の1割程度にまで積みあがり、これはロックアップの対象とはなっていない。 A. 発行済み株式数 3,666千株(単元100株、11.12に1:5株式分割後) B. 公募 900千株、増資によるオーバーアロットメント 180千株 C. 売出し 300千株(売出し元は)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 70千株 E. うち潜在株式に算入する数 70千株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 4,816千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 412,500株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者2名に対して180日間。対象株数は2,819千株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 08年3月 70,000株 540円 10年3月〜18年2月 目論見書でのウチヤマホールディングスの想定発行価格は1,480円で、この価格に基づく公募によるウチヤマホールディングスの手取り概算額は約1,210百万円とされている。別途予定されている第三者割当増資の手取概算額244百万円と合わせた資金使途は、連結子会社さわやか倶楽部への融資に充当する予定。同社においては、新規介護施設である、さわやかシーサイド鳥羽(三重県鳥羽市)、さわやか新居浜館(愛媛県新居浜市)及びさわやか清田館(福岡県北九州市八幡東区)の設備投資資金に充当予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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