IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ジーンテクノサイエンス(4584 東証マザーズ)IPO |
まだ当面はリスクの高い投資となる 商品開発段階にある典型的なバイオベンチャーであり、当面の投資は、商品化リスクを背負うことになり、リスクの高い投資判断となる。その中で救いになる点としては、完全な新薬開発だけを行っているのではなく、ジェネリックも開発対象としている点があげられる。 個別データ(肩は対前期比(%))
ジーンテクノサイエンスは、市場の拡大が見込まれるバイオ医薬品に着目し、バイオ後続品事業とバイオ新薬事業の2事業を柱として、医薬品開発に取り組んでいる。バイオ後続品事業は安定性を重視する一方、バイオ新薬事業は成長性を重視し、この両面から経営の安定と成長を目指すビジネスモデルとなっている。 さらに、ジーンテクノサイエンスは大学などとのバイオ医薬品の共同研究などからターゲットを選定し、開発ノウハウを活かして開発計画を立案した上で、社外の最適な試験受託企業や製造受託企業を選定し積極的に活用することで、複数品目の開発を平行してスピーディーに進めている。これらの活動により得られた成果を、製薬企業にライセンスアウトあるいは製品販売を行うことで収益獲得につなげている。 1. バイオ後続品事業: G-CSF 顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF)は、白血球の一種である好中球の分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの好中球の放出を促進したり好中球機能を亢進する作用がある。G-CSF製剤は、がん化学療法による副作用として好中球が減少することで起きる免疫力低下(感染症の重症化など)への対処時あるいは骨髄移植時の好中球数の増加促進などに使用されている。2005年にその物質特許の期間は満了となっており、欧州では既にG-CSFのバイオ後続品が承認され、販売されているが、日米では未だGCSFのバイオ後続品は販売されていない。 ジーンテクノサイエンスは、日本のバイオ後続品のガイドラインに沿って、日本で最初にG-CSFの製造販売承認を取得すべく、富士製薬工業と共同開発を進め、2011年に、富士製薬工業と持田製薬により国内での製造販売承認の申請が行われた。ジーンテクノサイエンスは、当該医薬品の製造販売承認取得後から、富士製薬工業に対して当該医薬品の原薬を安定的に供給し、富士製薬工業と持田製薬が2ブランド2チャンネルで販売することになる。一方、G-CSFの産生細胞は韓国の東亜製薬から導入しており、開発段階に応じたマイルストーン契約金と上市後におけるロイヤリティーを同社に支払う。 2. バイオ新薬事業: 抗α9インテグリン抗体 インテグリン分子群は、免疫疾患、骨疾患、がん転移などに関与しているタンパク質群であり、インテグリン分子群に属するα9インテグリンが骨のオステオポンチンと結合すると、様々な炎症が惹起される。これらの知見から、α9インテグリンとオステオポンチンとの結合を阻害することができれば、免疫疾患の治療に有効であると考えられている。 ジーンテクノサイエンスは、北海道大学遺伝子病制御研究所との共同研究から、α9インテグリンとオステオポンチンとの結合を阻害するα9インテグリンに対する抗体を既に作製し、本抗体の独占的開発、製造及び販売権を科研製薬に譲渡し、その対価として2007年に契約一時金を受領している。ジーンテクノサイエンスでは、開発の進捗に応じてマイルストーン契約金を、上市後にはロイヤリティーを受領する予定。 |
■12.3期 早期のアライアンス形成を目指し、かつ、経費及びリスクの低減を図ったが、主にG-CSF関連の研究開発費の発生により、研究開発費は対前期比+76.5%の増加となった。一方、販売に関しては、バイオ後続品事業において、G-CSF関連をはじめとする売上が計上されたことから、売上高は対前期比+89.6%の増収となったが、バイオ新薬事業においては、特筆すべき売上は計上されておらず、売上高は対前期比マイナス46.2%の減収となった。 これらの結果、売上高は対前期比+89.5%の増収となったものの、前期に引き続いて、営業損失・経常損失・当期純損失を計上した。
バイオベンチャーでは一般的だが、ベンチャーキャピタルからの出資ウエイトが非常に高いことが、ジーンテクノサイエンスの特徴となっている。一部は売り出し対象となっているし、一部はロックアップの対象とはなっているものの、ロックアップのカバー率は決して高いとはいえない。 ストックオプションのボリュームは多いわけではないが、想定されている公募価格ベースでは全数が即行使可能な価格設定となっている。ベンチャーキャピタルからの株式放出リスクとストックオプションの行使リスクには注意が必要。 A. 発行済み株式数 1,371,100株(単元100株、12.8月に1:100株式分割後) B. 公募 580,000株、増資によるオーバーアロットメント 130,000株 C. 売出し 289,900株(売出し元は全てベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 90,000株 E. うち潜在株式に算入する数 90,000株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 2,171,100株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 1,105,900株 既存株主へのロックアップ情報:ベンチャーキャピタル16組合と法人2社、会社関係者6名に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は978,500株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 06年11月 90,000株 1,000円 08年11月〜16年11月 目論見書でのジーンテクノサイエンスの想定発行価格は1,500円で、この価格に基づく公募によるジーンテクノサイエンスの手取り概算額は約792百万円とされている。別途予定されている第三者割当増資の手取概算額179百万円と合わせた資金使途は、バイオ後続品事業に注力することで、早期に経営の安定化を図る方針に基づき、その全額をバイオ後続品のパイプライン拡充のための研究開発投資に充当する予定。
ジーンテクノサイエンスのウエブサイトには10月28日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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