3639ボルテージIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ボルテージ(3639 東証マザーズ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:情報・通信業

高成長銘柄として評価、VC保有株リスク以外には、特に悪い点は見当たらない
 業績は順調に推移しており、10.6期業績見通しも達成ペースで推移している。売上高・利益とも成長率は高く、ネット関連の成長産業として十分評価できる業績内容になっている。

 10.6期の業績予想ベースEPSは約200円で、この価格に基づく想定されている公募価格のPERは約11倍となる。ボルテージの足元の業容を考慮すると、PER約11倍は相当にディスカウントされている印象を受ける。上場時のリスクとしては、ベンチャーキャピタルの保有株式の売却が最大の懸念事項となるが、それ以外には特に評価を下げるべきポイントは見当たらない。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 08/6 09/6 10/3 10/6予
売上高(百万円)
2,816
21.8%
3,431

3,299
26.7%
4,348
営業利益(百万円)
299
3.1%
309

458
56.5%
483
経常利益(百万円)
294
3.7%
304

456
57.7%
480
当期利益(百万円)
173
-2.0%
170

277
71.0%
290
総資産(百万円)
純資産(百万円)
1,115
505
1,429
735
1,793
1,012
--
--
株主資本比率(%) 45.3% 51.4% 56.4% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
26.3%
34.3%
21.3%
23.1%
25.4%
27.4%
--
--
発行済株式数 1,460(修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
119
346
116
503
190
693
199
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
モバイルコンテンツの企画・制作・開発・運営、モバイルコマース等
 ボルテージの事業は、有料モバイルコンテンツの企画・制作・開発・運営を行う「携帯公式サイト事業」を軸に、「モバイルコマース事業」と「その他の事業」で構成されている。

事業の特徴は、以下の通り。
1. コンテンツテーマの絞り込み
コンテンツのテーマを「恋愛と戦いのドラマ」に絞り込み、ストーリー性のあるオリジナルコンテンツを、ゲーム、電子書籍、動画、着メロ、待受け等の幅広いカテゴリーで提供している。

2. 顧客ターゲットの絞り込み
顧客ターゲットを、モバイルコンテンツの利用頻度の高い13才から34才までの女性に絞り込み、このターゲットを年齢別・嗜好別に細かくセグメント分けし、各層の興味や悩み等のニーズに対応したコンテンツを提供している。

3. ユーザーの獲得と継続性
新規サイトの定期投入や他社運営サイト・女性雑誌への積極的な広告露出等によりユーザーの獲得を行っている。また、獲得したユーザーに対して、そのユーザーに合ったサイトをメールマガジンやリンク等で提案し、ボルテージの他のサイトの閲覧を促進することで、ユーザーの利用継続性を高めている。

4. 携帯公式サイトを軸とした事業シナジー
モバイルコマース事業では、携帯公式サイト事業のコンテンツに関連させたオリジナルグッズを制作し、ボルテージのモバイルコマースサイトで販売、その他の事業では、コンテンツとして配信した映像・音声素材をDVD・CDとしてパッケージ化する等、携帯公式サイト事業とのシナジーを向上させる展開を行っている。

表1 会員数の推移(千人)
        05/6 06/6 07/6 08/6 09/6 10/3
有料会員数 341 441 537  702  970 1,092
無料会員数  0  37 191  410  550  716
合    計 341 478 729 1,112 1,520 1,809

 携帯公式サイト事業では、インターネットに接続可能な携帯電話の利用者を対象とした「恋人ゲーム」シリーズ、「ストーリー他」、「音楽(着メロ、着うた等)」等のモバイルコンテンツを企画・制作・開発・運営し、キャリアの公式サイトとしてシリーズ提供している。情報料は、各キャリアが提供する情報料の回収代行システムを利用して、回収手数料を支払うことで、ユーザーからの情報料を回収している。

 ボルテージが運営するキャリアの公式サイトは、毎月一定の料金を徴収する月額課金を基本に、一部のサイトでは、ユーザーのコンテンツ利用量に応じて従量課金する個別課金を併用している。当事業におけるサイトは、10年3月末時点で62サイト。

 ストーリー他のサイトでは、電子書籍、待受け、及び装飾メール素材等の配信を行っている。10年3月末時点でボルテージが提供するサイトは24サイト。

 音楽(着メロ・着うた)では、J-POPを中心とした着メロ・着うた及び歌詞情報等の音楽サイトを提供している。10年3月末時点でのボルテージが提供する音楽サイトは4サイト。

 モバイルコマース事業では、ボルテージが企画・製作したオリジナルグッズ、ファッション・化粧品等の一般商品を、ボルテージが運営するショッピング専用の公式サイトや一般サイトにて販売している。また、公式サイト内にショッピングコーナーを設置し、そこからショッピング専用のサイトへ誘導することで収益の拡大を図っている。10年3月末時点で提供しているサイトは6サイト。

 その他の事業では、ボルテージが運営するキャリアの公式サイトのコンテンツに関連したDVD・CD・書籍を提供する「パッケージ事業」と、一般サイトを中心に広告バナー枠の販売を行う「モバイル広告事業」を展開している。

収支の状況
第3四半期まで、10.6期業績見通し達成ペースで推移
■09.6期
 携帯公式サイト事業では、新規サイトは「恋人ゲーム」シリーズを毎月1本ペースで投入すると共に、制作の効率化とクオリティの確保を目的とした制作基準の充実を行い、既存サイトは「恋人ゲーム」シリーズ、「ストーリー他」、「音楽」の3つのカテゴリーにバランス良く注力することで幅広いユーザー層を獲得し、また各サイトで改良を行うことで、ユーザーの継続期間の長期化を図り、月額課金会員数の増加及び収益の向上を目指した。以上の結果、年度末での月額課金会員数は約97万人、売上高は対前期比+約32%の増収となった。

 モバイルコマース事業では、「恋人ゲーム」シリーズのキャラクター等を活用したコンテンツオリジナルグッズを本格的に販売開始するとともに、「恋人ゲーム」シリーズのサイト内にショッピングコーナーを設置した。しかし、コンプライアンス体制を厳格化し、商品紹介の文言を法令等を遵守した表現に修整したこと等により、売上高は対前期比マイナス約31%の減収となった。

 その他の事業では、携帯公式サイト事業の「恋人ゲーム」シリーズに関連したドラマCDを本格的に販売したものの、モバイル広告事業で、景気後退によるクライアントの広告需要の低下や、メディアプランニングシステム事業を前期に終了した影響によって、売上高は対前期比マイナス約20%の減収となった。

■09.12中間期
 携帯公式サイト事業では、新規6サイトを立ち上げると共に、システム開発の効率化による新規サイト立ち上げと、既存サイト改良の短期化、モバイル広告の積極出稿による集客に努めた。この結果、期末の月額課金会員数は約107万人となった。

 モバイルコマース事業では、「恋人ゲーム」シリーズのキャラクター等を活用したコンテンツオリジナルグッズを32アイテム販売開始し、「恋人ゲーム」シリーズの新規サイト内ショッピングコーナーを6サイト開発した。

 その他事業では、パッケージ事業でDVD1タイトル、ドラマCD2タイトル、音楽CD1タイトルをリリースした。モバイル広告事業は、景気後退によりクライアントの広告需要が低下した。

表2 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%)
            09.6期  09.12中
携帯公式サイト  3,059 +32.5% 1,974
モバイルコマース  211 -31.4%   111
そ   の   他  160 -19.8%   60
合        計 3,430 +21.8% 2,146

 10.6期の業績予想は、前期に対して大幅な増収増益が見込まれている。第3四半期までの実績の進捗をみると、通期見通しに対して十分に達成できるペースで推移している。単純に進捗ペースだけを見れば、むしろ業績予想は上回りそうな勢いになっている。

株式の状況
SOには行使制限があるが、一切の制限がないVC保有株式には注意要か
 ストックオプションの未行使残高はあるものの、行使制限が付いており、上場後の半年間は全数が行使出来ないため、潜在株式には含めていない。一方、ベンチャーキャピタルの出資があり、全発行済み株式数の約2割を占めている。これはロックアップの対象にはなっておらず、保有確約等の対象にもなっていない。

 ロックアップの全発行済み株式数に対するカバー率は高いものの、ほぼ会社関係者が対象となっているだけである。更に保有シェアが2名合計で60%と決して高くは無いため、過半数を維持しようとすれば、どのみちロックアップが無くとも、大量に売却するわけにはいかないとみられる。

 以上を考慮すると、やはり上場直後からベンチャーキャピタルの保有株式について、市中に売却されるリスクがある点だけは、要注意と思われる。

A. 発行済み株式数 1,260千株(単元100株、08年5月に1:500株式分割後)
B. 公募 200千株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 220千株(売出し元は一部を除きベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント 63千株
D. ストックオプション等の残高総数 115,800株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,460千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 265,000株
既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者2名と法人1社に対して180日間。但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。対象株数は855千株。

表3 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
05年6月 25,000株 1,000円 07年7月〜15年5月(*)
08年6月 81,600株 1,000円 10年7月〜18年5月(*)
09年9月  8,800株 1,100円 11年9月〜19年5月(*)
09年12月  400株 1,100円 11年12月〜19年5月(*)
* 以下の内容の行使制限付き: 上場から半年以内は行使不可、以降1年半までは割当数の1/3以内、2年半までは2/3以内のみ行使可能

 目論見書での想定発行価格は2,200円で、この価格に基づく公募によるボルテージの手取り概算額は、約373百万円とされている。資金使途は、運転資金として、携帯公式サイト事業の「携帯意電話コンテンツの利用度が低い」層=レイト層への広告費に300百万円、ソーシャルアプリ・スマートフォン端末向けコンテンツ制作費に73百万円を充当する予定。

情報開示の状況
開示なし
 5月11日時点で、ボルテージのウエブサイトには投資家向け情報開示のページは設置されていない。掲載されている情報では、会社概要等が参考になる程度だが、その中ではコーポレートガバナンスに関しての開示がきっちりされている印象を受ける。


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