IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アゼアスIPO(3161 JASDAQ) |
とりあえずは妥当なディスカウントだが、新型インフル特需が無くなる11.4期予想が次のポイントか 10.4期は新型インフルエンザの流行に伴う特需が発生したことで前期と比べて大幅な増益の見通しになっている。業績予想ベースのEPSに基づく、想定されている公募価格のPERは約8倍となる。 業態としてメーカーポジション及び卸売り業ということで、株式マーケット的な視点からは比較的地味な業態と評価されがちであることから、高いPERでの評価は難しいかもしれないが、PER8倍は妥当にディスカウントされている印象を受ける。 気がかりな点としては、10.4期はインフルエンザ特需が追い風となったものの、これが過ぎ去るであろう11.4期の業績がどうなるか、となる。現状では10.4期がピークになるとマーケットから予想・評価されるリスクもある。 連結データ(肩は対前期比(%))
アゼアスグループは、当社アゼアスと連結子会社4社で構成されており、防護服・環境資機材事業と、たたみ資材事業、アパレル資材事業を主な事業としている。連結子会社3社はアパレル資材事業に属している。 防護服・環境資機材事業では、防護服、アスベスト(石綿)処理用資機材を中心に販売を行なっている。米国・欧州・アジア諸国で使用されている米国デュポン社製防護服、化学防護服を、総輸入販売元である旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツの戦略的パートナーとしてマーケティング活動を行い日本国内で販売する他、作業者の環境に合わせてアゼアスオリジナルの防護服及び他素材製の防護服を製造販売している。これらの製品は使い切り製品(リミテッドユース)という性格であり、一度納入すると継続的な販売が期待できるのが特徴となっている。 防護服の主要な用途、顧客は以下の通り。 ■感染症対策 新型インフルエンザ・鳥インフルエンザ対策として防護服、ゴーグル、マスク、手袋、シューズカバーをパッケージにした感染症対策キットを中心に様々な保護具を中央省庁、地方公共団体、病院、企業、検疫所、家畜保健所、研究所、ワクチン製造会社等へ販売している。 ■放射性粉塵対策 原子力発電所において放射性粉塵から作業者を守る為に電力会社にアゼアスオリジナル防護服を販売している。 ■アスベスト対策 アスベスト除去、封じ込め、囲い込み作業においてアスベストのばく露から作業者を守るための防護服、保護メガネ、呼吸用保護具、手袋及び除去作業に用いる負圧除じん装置(移動式局所排気装置)、HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter = 高性能微粒子フィルター)付真空掃除機(アスベスト除去作業等で、吸い込んだ粉塵等を飛散させない産業用の掃除機)、エアシャワー(アスベスト除去作業等で、防護服や人体に付着した粉塵を取り払う機器)、養生シート等の資機材を施工業者に販売している。 ■ダイオキシン対策 焼却場のメンテナンス及び解体作業でダイオキシンのばく露から作業者を守るための防護服、保護メガネ、呼吸用保護具、手袋及び作業に用いる負圧除じん装置、HEPAフィルター付真空掃除機、高圧洗浄機等の資機材を施工業者に販売している。 ■生物、化学テロ対策 サリン、VXガス、マスタードガス等の化学兵器や生物剤を使用したテロ活動対策として米国EPA基準レベルA(米国環境保護局が定める呼吸器、皮膚、目粘膜に対する最高レベルの防護)対応の防護服を消防等に販売している。 ■化学物質・化学薬品対策 有害物質による皮膚障害や経皮吸収による健康障害から作業者を守るため防護服を化学工場に販売している。 ■汚れ作業対策 汚れ作業対策として鉄鋼関連、自動車関連企業を中心に様々な業種へ、防護服を中心として用途に応じて防護服を販売している。 たたみ資材事業においては、主要材料である、畳表、インシュレーションファイバーボード、ポリスチレンフォーム(いずれも畳床用資材。従来の藁(ワラ)に比べてダニ・カビの発生が少なく断熱性が高い素材)から、副資材の畳縁、畳糸等、畳に関連する資材全般の販売を行っている。 アパレル資材事業では、裏地、芯地、袋地(ポケット地)、腰裏ベルト、型カット品、その他繊維副資材の製造、販売を行っている。 |
09.4期は、たたみ資材事業、アパレル資材事業で需要減による減収に見合った販売費及び一般管理費の削減ができず苦戦したものの、防護服・環境資機材事業は、新型インフルエンザ対策の必要性への認識が社会全体に定着し、官公庁を中心に防護服等の需要が大きく、大幅に売上を伸ばした。売上高は前期比+5.3%の増収となった。 しかし利益面では、防護服・環境資機材事業における官公庁向け商品の販売への対応により利益率が低くなったことや、販売費・一般管理費において人件費等が増加したこと等によって、減益となった。その結果、営業利益で対前期比マイナス1.6%の減益となった。 表1 セグメント別販売実績(百万円、前期比%) 09.4期 10.1期(3Q) 防護服・環境資機材 4,788 +23.3% 5,169 た た み 資 材 1,715 -8.1% 1,217 アパレル 資 材 3,480 -6.8% 2,331 合 計 9,984 +5.3% 8,719 10.4期業績予想の売上高は、防護服・環境資機材事業は、新型インフルエンザの流行によって官公庁向けの防護服の販売が好調に推移していることから、対前期比+約36%の増収を見込んでいる。たたみ資機材事業は、新設住宅着工戸数の減少によって、対前期比マイナス6%の減収の見通し。アパレル資材事業はアパレル業界の市況の落込みを反映して、対前期比マイナス約13%の減収の見通しとなっており、全体の売上高では対前期比+約11%の増収を見込んでいる。 原価率は、前期実績80.6%とほぼ同等の80.3%を見込んでいる。販売管理費では、新基幹システム等の減価償却費が対前期比で増加するものの、人員の減少による人件費の減少によって、ほぼ前期並みにとどまる見通し。 以上によって、営業利益・経常利益では、対前期比+約60-70%の増益を見込んでいる。更に、特別利益として、中国上海での立退き補償金等を計上することを見込んでいること等によって、当期利益では対前期比で倍増以上の増益の見通しとなっている。
ストックオプションの未行使残高とベンチャーキャピタルの出資分が存在するが、共にボリュームは小さく、株式需給に大きな影響を与えるものでは無さそう。 アゼアスは自己株式224,678株を保有している。消却が確実な状況ではない金庫株は市中放出の可能性が残るため、EPSの計算等にあたっては、この分は控除していない。 A. 発行済み株式数 5,085,401株(単元100株) B. 公募 1,000,000株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 500,000株(売出し元はVC165千株、法人120千株、残は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント 225,000株 D. ストックオプション等の残高総数 154,000株 E. うち潜在株式に算入する数 154,000株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 6,239,401株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 313,000株 既存株主へのロックアップ情報:金融機関等8法人と会社関係者等48名に対して180日間。但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 06年4月 154,000株 412円 09年4月〜16年4月 目論見書での想定発行価格は490円で、この価格に基づく公募によるアゼアスの手取り概算額は約440百万円とされている。資金使途は、本社にて防護服の製品強度等を計る試験機の導入と、岡山事務所での防護服の試作・特注品対応のための生産機械設備の購入・レイアウト変更作業に伴う資金として80百万円、財務会計を含めた物流管理システムの開発資金として70百万円、本社建替え資金として100百万円、以上合計250百万円を11.4期中に充当する予定。残額については、本社建替え資金として、12.4期内に充当する予定。
アゼアスのウエブサイトには3月12日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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