4573アールテック・ウエノIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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アールテック・ウエノ(4573 大証ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:医薬品

創薬系ベンチャーのような成長性・将来性は見られない
 医薬系企業の新興マーケットからの上場だが、足元の業績は横ばいで、業績を今後大きく変えるような新薬が開発されている状況ではない。いわゆる創薬系医薬ベンチャーとは事業内容が異なる模様。

 08.3期は特別利益の計上により当期利益がカサ上げされており、09.3期には従来ペースに戻る想定になっている。09.3期の予想EPS約3万円に対して、想定されている公募価格のPERは約19倍。上記の状況を踏まえると、取り立てて成長性・将来性は感じられず、公募価格水準で十分妥当ではないかと想定する。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 07/3 07/12 08/3予 09/3予
売上高(百万円)
5,227

4,996
20.0%
6,271
14.9%
7,204
営業利益(百万円)
2,471

2,279
7.8%
2,665
-0.4%
2,655
経常利益(百万円)
2,475

2,259
3.6%
2,565
3.8%
2,663
当期利益(百万円)
1,402

1,834
39.3%
1,954
-20.7%
1,550
総資産(百万円)
純資産(百万円)
6,836
2,243
11,952
6,800
--
--
--
--
株主資本比率(%) 32.8% 56.9% -- --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
36.2%
62.5%
18.9%
27.0%
--
--
--
--
発行済株式数 51.204 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
27,388
43,809
35,810
132,803
38,161
--
30,271
--
配当(円/株) 7,000 -- 7,500 8,000

事業概要
眼科・皮膚科等の局所疾患を中心とする医薬品の研究開発・製造・販売プロモーションと、医薬品の研究開発支援サービス
 アールテック・ウエノは、眼科・皮膚科等の局所疾患を中心とする医薬品の研究開発・製造・販売プロモーションを行っている。事業区分は、医薬品の製造販売事業と、医薬品の研究開発事業、医薬品の研究開発支援サービス事業とに3区分される。

 医薬品の製造販売事業では、主力製品は、レスキュラ点眼液とAmitizaカプセルで、点眼液は、緑内障・高眼圧症治療薬で、日本国内では参天製薬を通じて、韓国・台湾へはアステラス制約を通じて販売している。その他の地域へは、アールテック・ウエノからライセンス許諾を受けた会社が製造・販売している。

 Amitizaカプセルは他社が開発したものカプセル製造権を取得した慢性突発性便秘症治療薬。米国・カナダで同製品の販売権を有する武田薬品工業に製品供給を行っている。

 医薬品の研究開発事業では、眼科分野を中心とする局所系疾患を対象とした医療用医薬品の開発として、自社で特許を保有する化合物の他、製薬企業からのライセンスを受けた開発候補物質について、医薬品の研究開発を進め、米国を中心に国内外の大学との共同研究や委託研究を行っている。

 具体的には、レスキュラ点眼液の適応症拡大を目的とした研究、ドライアイ治療薬、網膜疾患を対象とする治療薬、育毛剤の開発をテーマとした研究に取り組んでいる。

 医薬品の研究開発支援サービス事業では、新規医薬品の開発を目指すベンチャー企業や、制約会社の研究開発部門に対して、医薬品の開発支援を行っている。具体的には、非臨床試験の立案や自社施設を利用しての非臨床試験の実施、治験薬の製造供給、医薬品承認申請用データ取得と承認申請用資料の作成を行う。治験薬の製造を通じて取得した製造ノウハウを活用しての製品の商業生産の立ち上げや、製品供給を行っている。

情報開示の状況
準備中の状態
 アールテック・ウエノのウエブサイトには投資家向け情報開示のページが既に開設されている。ただし、掲載されているコンテンツは3月11日時点では全く無く、準備中の状態になっている。ニュースリリースにも上場承認の件は掲載されていない。
収支の状況
09.3期は増収だが、利益水準はほぼ横ばいとなる見通し
 08.3期は、医薬品の製造販売事業では、慢性突発性便秘症治療薬が競合薬の販売中止を受けて、売上高が大きく伸びている。一方、緑内障・高眼圧症治療薬では、他の医薬品企業との競合によって、売上高は微減となっている。

 医薬品の研究開発支援サービスでは、適応症拡大関連の受託業務の増加に伴って販売が増加しており、売上高全体では、対前期比+約20%の増収となる見通し。

 営業費用では、研究開発品目の開発ステージの進展に伴って研究開発費が対前期比で約80%増加することを織り込み、営業利益以下では、ほぼ前期並みの利益水準に留まる見通しになっている。

 特別利益に保有株式の売却益約804百万円を織り込んでいることから、当期利益では前期と比較して増益になる見通し。

表1 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%)
          07.3期  07.9中
レスキュラ  3,630  -1.7% 1,826
Amitiza    1,394 +23.1% 1,358
その他      39  -11.4%  27
研究開発支援 163 -20.7%  190
合    計  5,227 +14.4% 3,403

 09.3期は、売上高では、医薬品の製造販売事業で、慢性突発性便秘症治療薬が堅調に伸び、更に便秘型過敏性大腸症候群への適応症拡大に関する販売承認によって、増収傾向に寄与すると想定している。一方、点眼液について、08年4月に薬価改定が行われることを踏まえて改定影響による販売量の減を見込んでいる。以上から、売上高全体では、対前期比+約14%の増収の見通し。

 研究開発費では、開発品目のステージ進展に伴って08.3期見通しよりも更に研究開発費が増加、対前期比+約64%まで増加することを織り込み、営業利益では、対前期比で微減になる想定。当期利益では、前期に特別利益を計上したことの反動によって、20%強の減益になる。

株式の状況
ストックオプションもVC保有株式もあるが、当面の株式需給への影響は限定的
 ストックオプションの未行使残高はあるが、行使による希薄化効果は大きいものではない。また、想定されている公募価格56万円に対して、大半のストックオプションの行使価格は59万円に設定してあり、この点では新規株主にとって良い条件になっている。

 ベンチャーキャピタルの保有シェアは高いものの、出資しているVCは全てがロックアップの対象になっている。

A. 発行済み株式数 47,480株
B. 公募 2,100株、増資によるオーバーアロットメント 500株
C. 売出し 1,520株(売出し元はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 1,124株
 E. うち潜在株式に算入する数 1,124
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 51,204株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 12,869株
既存株主へのロックアップ情報: ベンチャーキャピタル15社・組合と会社関係者5名、他一般の金融機関3社等に対して180日間。対象株数は46,126株。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議 対象株数 行使価格 行使期間
04年6月 88株 263千円 上場日〜14年6月
04年6月 78株 263千円 06年6月〜14年6月
06年2月 824株 590千円 08年2月〜16年2月
06年6月 134株 590千円 08年6月〜16年6月

 目論見書での想定発行価格は56万円で、この価格に基づく公募によるアールテック・ウエノの手取り概算額は約1,063百万円とされている。第三者割当増資の手取り概算額約260百万円と合わせた資金使途は、全額を新規医薬品研究開発費に充当する予定。具体的には、08.3期内に、外部委託研究費とライセンス導入費で約1,130百万円の充当を予定している。



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