IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
トライウォール(3957 JASDAQ)IPO |
東アジアマーケットを中心に成長余地を持つ点は評価できる 06.12期から07.12期にかけての業績の段差は特殊事情による一時的なもので、業績のトレンドとしては、中国・東南アジア子会社の業容拡大等が貢献することで、着実に伸びてきている。 08.12期業績予想ベースのEPS約130円に対して、想定されている公募価格のPERは約13倍となり、足元の業績動向を踏まえれば、妥当な印象。将来の更なる業績の拡大も期待できる半面、逆に、東アジア地域の経済環境に業績が左右される可能性もあるため、中国経済の失速リスク等を考えうると、楽観視は出来ない。 08.12期業績予想でも、配当されない方向になっている模様だが、特別な成長銘柄というわけでもない以上、配当を明示したほうがいいのではないかと思われる。 連結データ(肩は対前期比(%))
トライウォールグループは当社トライウォールと連結子会社38社・持分法適用関連会社1社から構成され、重量物包装材等の製造・販売を行っている。主に取り扱っている製品は、トライウォール製品と、ユニパック、一般ダンボール・その他となっている。 トライウォールグループが主に取り扱う重量物包装材であるTri-Wall Pak / Bi-Wall Pakは、自動車部品、機械装置等の重量物の輸送梱包材として1952年に米国トライウォールコンテナーズ社が開発した強化段ボール。 通常の段ボールは波型に段をつけた紙(中芯)に2枚の紙を貼り付けた一層の構造になっているが、Tri-Wall Pak / Bi-Wall Pakは段ボールシートの段を三層または二層として強度を高め、重量物包装材に特化した独特な構造になっている。 また、トライウォールグループでは、Tri-Wall Pak / Bi-Wall Pakで実現している軽量かつ高強度と、一般の段ボールの中間の需要に応えるため、Tri-Wall Pak / Bi-Wall Pakとは一部異なる紙構成を用いた二層・三層の段ボールをその他トライウォール製品として提供している。 なお、「Tri-Wall Pak」の商標権は世界で5社が保有しており、各社がそれぞれのテリトリー別に世界規模で同一規格のTri-Wall Pakの製造販売を行っている。当社トライウォールグループは、日本、韓国、台湾、中国、東南アジアとインドを含む極東アジア地域における商標権を所有し、このテリトリーにおいて、Tri-Wall Pakの製造・販売を行っている。 ユニパックは、樹脂を用いたリターナブル(通い箱)目的の重量物の輸送梱包材。同品は、米国シュアート社から当社に対して極東地域(日本、韓国、台湾、中国、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド等)において製造販売を行うライセンスを付与されている。 この他、トライウォールでは、一般段ボールやプラスチック段ボール、紙管等のその他の包装に係わる製品の製造販売を行っている。 生産工程は、原料となる原紙等から段ボールシートを生産する貼合工程と、段ボールシートを裁断して段ボールボックスを生産する製函工程に区分される。 貼合工程では、日本・韓国で段ボールボックスに加工を行うものについては、外部の製造委託先である日本・韓国の各協力工場から段ボールシートの供給を受け、自社による生産は行っていない。中国、台湾、インド他東南アジア地域については、子会社が生産を行っている。 製函工程については、日本国内外で自社で生産機能を持つ向上を設置するとともに、製函を行うことが出来るサプライヤーを協力工場として組織化(ファブリケーターネットワーク)し、製品の提供を行っている。 |
07.12期はトライウォール製品では中国地域で子会社を4社設立、東南アジアでは同地域に進出した日本企業や欧米等の外資系企業を中心に製品供給をするとともに、現地顧客企業の取り込みを図り、ベトナムで子会社を設立した。日本・韓国市場では、好調な経済環境を背景として、既存顧客との安定した取引が継続した。以上から、同製品の売上高は対前期比+約12%の増収となった。 ユニパックでは、日本からの輸出拡大を背景とした顧客企業の需要はあったものの、主要顧客のレンタル期間満了に伴って、売上高は対前期比マイナス約4%となった。一般段ボールら製品では、中国においてビール用ケースの受注が好調だったことにより対前期比+約40%の増収となった。 以上から、売上高全体では対前期比+約19%の増収となったが、原油高によるガソリン高騰によって運送費が増加したこと、新規工場の設立に伴う経費を計上したこと等によって、営業利益では対前期比マイナス約6%の減益となった。更に、営業外で前期は為替差益を約183百万円計上したが、今期は為替差損を約71百万円計上したことで、経常利益ではマイナス約37%の減益となった。 特別損益でも、前期には借入金の債務免除益を約200百万円計上したことに対して、今期は、過年度の前受け金の修正を行ったことと、遊休資産の除却損を計上したことで、特別損失を計上しており、当期利益が対前期比較で大幅に減少した要因になっている。 表1 品目別の販売実績(百万円、前期比%) 07.12期 08.6期 トライウォール 6,443 +12.0% 3,396 ユニパック 1,435 -4.3% 639 一般段ボール 2,794 +40.7% 1,557 そ の 他 905 +113.1% 631 合 計 11,578 +19.8% 6,225 08.12期業績予想では、トライウォール製品では、中国・東南アジアで需要が増加しており、とりわけ中国での製函子会社の伸長と、タイ製函子会社の本格稼動が寄与することで、同製品の通期の売上高は対前期比+約9%の増収見通し。 一般段ボール製品でも、他社の一般段ボール工場では対応できない大型ケースの生産が可能な設備をトライウォールでは保有しており、ビール・ケースなどの受注増加などによって、対前期比+約13%の増収の見通し。 以上から、全体の売上高では対前期比+約14%の増収となる見通し。 販売費・一般管理費では、業容の拡大による人件費の増加や内部管理体制構築のためのコスト等によって、増加する見通しになっているものの、増収効果によって、営業利益以下の利益項目では、対前期比+約30%程度の増益になる見通し。
ストックオプションの行使条件の詳細については、「別途定める契約による」となっており、内容がよくわからないため、潜在株式に全数を算入した。ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが比較的高く、一部はロックアップの対象になっているが、対象外のウエイトも上場時点の想定発行済み株式数に対して、約8%となっており、無視できない。 A. 発行済み株式数 3,036,900株(08.7に1:300株式分割後) B. 公募 180,000株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 125,000株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント 45,700株 D. ストックオプション等の残高総数 269,700株 E. うち潜在株式に算入する数 269,700株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 3,486,600株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 1,082,100株(うちロックアップ対象外が271,500株) 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者4名と法人3社、ベンチャーキャピタル5組合に対して180日間。対象株数は2,745,900株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年3月 198,000株 984円 別途定める契約による 06年5月 71,700株 1,334円 同上 目論見書での想定発行価格は1,700円で、この価格に基づく公募によるトライウォールの手取り概算額は約286百万円とされている。資金使途は、全額を中国に展開するファブリケーターネットワークを更に拡充するための製函工場建設、研究・研修センター、物流センターの設立に充当する予定。
トライウォールのウエブサイトには9月26日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場承認のプレスリリースが掲載されている程度となっている。 |
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