IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
リニカル(2183 東証マザーズ)IPO |
リニカルは08年10月7日に公募株数を727千株から50千株にする等、公開株式数を大幅に変更する発表をしています。以下では、この影響を織り込んでいません。 グロース銘柄として一定の評価はできるが、公募価格に既に織り込み済みか まだ事業立ち上げ段階であり、年々の業績は大きく伸びているグロース銘柄になっている。09.3期業績予想ベースのEPS約52円に対して、想定されている公募価格のPERは約32倍であり、10.3期以降にも、大幅な業績の伸びが織り込まれた公募価格設定となっている。 確かに、今後も業績は大きく拡大するとは考えられるが、現時点でそれが保証・確信できるエビデンスはない。成長期待はあるものの、想定されている公募価格以上に買い進むことついては、現時点では相応のリスクもあると考えられる。 連結データ(肩は対前期比(%)、08.9期以降は個別)
リニカルグループは、当社リニカルと連結子会社1社から構成されており、製薬会社の医薬品開発における治験の一部を受託するCRO事業を行っている。連結子会社については、07.5に全株式を売却したため、08.3期までが連結決算。 同業他社との差別化を図り、製薬会社からの高い評価を獲得するために、業務内容や業務形態を多角化するよりも、選択と集中を進めており、リニカルグループでは、医薬品開発の中でも、難易度・重要度の高いフェーズIIとフェーズIIIにおけるモニタリング業務と、それに付随する品質管理業務・コンサルティング業務に特化し、100%受託型の業務形態をとっている。 モニタリング業務は、治験の主要業務で、製薬会社・CROのモニタリング担当者であるCRAが、医療機関の治験実施可能性の調査、医療機関への治験の依頼、法令に基づく治験実施に関する契約の締結手続き、治験責任医師等に対する治験薬概要書・治験実施計画書の説明、医療機関への治験薬の搬入、治験実施時の薬事法等の法令・治験実施計画書の遵守状況の確認、治験の進捗管理、治験データの確認・奨励報告書の改修、治験薬の回収などを行う。 品質管理業務は、CRAが作成したモニタリング報告書や入手した手続き書類、奨励報告書の記載形式や記載内容について、品質管理担当者が関連法規・治験実施計画書・治験標準業務手順書等に則った適切性のチェックを行う。 CRO(Contract Research Organization)は、開発業務受託機関と訳され、製薬会社が行う医薬品開発について、医薬品開発段階での治験、医薬品の製造販売後臨床試験などに関わる業務の一部を代行、支援する企業を指す。 コンサルティング業務は、製薬会社に対して医薬品開発に関わる各種コンサルティングを行う業務で、具体的には、治験実施計画書の内容・治験実施方法等に関する提案や新薬候補物質に関する治験の実施可能性・治験実施計画等について、調査・報告を行う。 SMO(Site Management Organization)は、治験施設支援機関と訳され、製薬会社が行う医薬品開発の治験について、医療機関の立場で、治験に関わる医師・看護師・事務局の業務を支援する企業を指す。 |
08.3期は国内大手製薬会社からの受託業務を大幅に拡大したことで、売上高では対前期比で倍程度の増収、経常利益では対前期比で約2.5倍の増益となった。 表1 08.3期の事業部門別の販売実績(百万円、前期比%) CRO事業 1,270 +117.2% SMO事業 2 -92.3% 合 計 1,273 +107.5% リニカルでは、国内大手製薬会社に特化して取引を行う方針のため、結果として特定の製薬会社への依存度が高くなっている。直前2期での状況は下表の通り。 表2 主な相手先別の販売実績と総販売実績に対する割合(百万円、%) 07.3期 08.3期 武田薬品 144 23.5% 490 38.5% 大塚製薬 250 40.8% 462 36.3% エーザイ 112 18.3% 232 18.2%
リニカルではストックオプションを発行していたが、08年3月末で行使期限となっており、既に行使されて発行済み株式に算入されている。行使されたストックオプションを含めて個人株主がロックアップの対象になっている一方、個人株主でない株主はベンチャーキャピタルだけであるため、ベンチャーキャピタルだけがロックアップの対象からはずされている状態。ロックアップ非対象のベンチャーキャピタル保有株数は、売り出し予定の1,000千株を除くと、1,000千株となっている。 A. 発行済み株式数 12,320千株(単元100株、08.5に1:10,000株式分割後) B. 公募 727千株、増資によるオーバーアロットメント 273千株 C. 売出し 1,100千株(売出し元は会社関係者5名合計100千株、残はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 13,320千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,000千株 既存株主へのロックアップ情報: 全ての個人株主に対して180日間。対象株数は、10,320千株。 ストックオプションが存在していたが08.3に行使期限となり、既に行使済みとなっている。行使条件は、分割考慮後で156円/株。 目論見書での想定発行価格は1,700円で、この価格に基づく公募によるリニカルの手取り概算額は約1,120百万円とされている。第三者割当増資による手取り概算額424百万円とあわせた資金使途は、オフィスの移転・拡充、内部統制強化に向けたシステム投資に390百万円、事業拡大に向けた人材の採用・育成等に400百万円を充当し、残額はCRO事業の海外進出のための投融資に充当する予定。
リニカルのウエブサイトには、9月25日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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