IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アルトナー(2163 JASDAQ)IPO |
特に死角は見当たらず、成長性もあるものの、業態はやや地味な印象 顧客企業へ派遣する従業員を増やせば仕事があるという単純なものではないと思うが、足元では要員数を拡大することで、業績が順調に拡大するというシンプルな構図になっている。 08.1期業績予想の達成度も高いと見られ、この業績予想ベースのEPS約240円に対して、想定されている公募価格のPERは約8倍に留まる。 最近ではコンプライアンス上の問題が発生している業界ではあるが、業界大手のPERが15倍前後であることからスタートして、アルトナーの成長性と小規模企業・新興マーケットからの上場としてのディスカウントを考慮し、PERで10〜12倍の2,500円強が当面の価格水準と想定する。 個別データ(肩は対前期比(%))
アルトナーは、主として設計技術者の人材派遣に特化したテクニカルアウトソーシング事業を、宇都宮・東京・横浜・名古屋・大阪の事業所を拠点として行っている。 テクニカルアウトソーシング事業では、設計技術者を通じて、主に自動機械、工作機械、理化学機器等の設計業務、輸送機内装・外装、家電製品の設計業務等の機械設計と、電気電装設計や清算技術開発業務、電子機器全般に組み込まれる電子回路の設計業務などの電気・電子設計、電子機器全般を制御するソフトウエアの設計業務などのソフトウエア開発を提供して、顧客企業の設計開発部門を支援している。 顧客企業と取り交わす契約には、「派遣契約」と「請負契約」があるが、アルトナーでは主として「派遣契約」を顧客と締結することで、事業を展開している。ただし、一部の顧客には、「請負契約」を締結している。
アルトナーのウエブサイトには9月25日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
07.1期は、電気機器・輸送機器・精密機器関連業界を中心に受注が増加し、新卒者の大量採用・研修を行い、更に全社平均稼働率は対前期比でマイナス1.4ポイントながらも97.0%と高い稼働率を維持した。これらによって、売上高では、機械設計で対前期比+約13%の増収、ソフトウエア開発で前期比+約656%の大幅な増収となった。売上高全体では、対前期比+約22%の増収。 売上高の増加に応じて、営業利益以下の利益項目では、対前期比+約140%以上の大幅な増益となった。 表1 職種別の販売実績(百万円、前期比%) 06.1期 07.1期 機 械 設 計 1,785 2,026 +13.5% 電気・電子設計 1,598 1,625 +1.7% ソフトウエア開発 79 601 +656.1% テクニカルアウトソーシング計 3,463 4,253 +22.8% その他の事業 17 -- -- 合 計 3,480 4,253 +22.2% 08.1期業績予想では、新卒社員技術者の採用を増加させ、既存社員技術者の契約単価アップと高稼働率を維持することを織り込んで、対前期比+約18%の増収の見通し。 利益項目では、社内体制強化のための管理系社員の増加による人件費の増加や新入社員の教育研修費の増加があるものの、売上高の増加に応じて、対前期比で30-40%の増益の見通しとなっている。 通期の業績予想に対する中間期の進捗状況をみると、売上高・利益ともに半分に達していないものの、下記の季節変動要因を考慮すると、通期見通しの達成には特に問題は無さそうに見える。 業績の季節変動については、上期に4月の学卒新入社員が入社して約3ヶ月の新入社員教育を行うことでのコストアップ、下期には新入社員の配属によって稼動人員が増加し、派遣社員の稼働率が上昇することがあるため、下期に偏重する傾向にある。 06.1期と07.1期の実績では、売上高では上期対下期の割合は47:53程度だが、営業利益・経常利益では20-25:80-75と、相当下期にウエイトがかかっている。
出資しているベンチャーキャピタルはロックアップの対象で、上位の既存株主では唯一ロックアップの対象になっていない従業員持株会は保有確約の対象になっている。ストックオプションの未行使残高も大きいものではなく、株式受給に関しては、特に問題点はない。 A. 発行済み株式数 782千株(単元100株、07.6に1:4株式分割後) B. 公募 100千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 100千株(売出し元は会社関係者60千株、残はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント 30千株 D. ストックオプション等の残高総数 5,720株 E. うち潜在株式に算入する数 5,720株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 887,720株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 80千株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者7名とベンチャーキャピタル1社に180日間。対象株数は、670,656株。また、06年10月に実施された第三者割当増資(分割考慮後で20千株、割当価格750円、割当先は従業員持ち株会)は上場後6ヶ月間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年6月 5,720株 650円 07年7月〜12年6月 目論見書での想定発行価格は2,000円で、この価格に基づく公募によるアルトナーの手取り概算額は約174百万円とされている。資金使途は、設備投資資金として派遣技術員の労働時間等の管理システムへの投資に70百万円、本社・事業所の半期開設・増床・移転に伴う建物附属設備の購入等に59百万円を充当する予定。残額は、借入金の返済に充当する。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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