IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
前田工繊(7821 東証二部)IPO |
利益率の改善は目覚しいものがあるが、今後の持続性をどう評価するか 過年度の実績から07.9期の見通しまで経年的にみると、売上高は安定的に増加している一方で、経常利益等の利益項目では、目覚しい伸び率を示している。主には、環境資材関連での価格転嫁とコストダウンによって、利益率が年々改善されている模様。 07.9期業績予想ベースのEPSは約280円で、想定されている公募価格のPERは約11倍となる。07.9期で利益成長が止まるシナリオなら、妥当なディスカウントといえる水準だが、今後もこうした利益率の向上が見込めるとすれば、更に高く評価することもできる。現時点で将来の利益成長を織り込むことにはリスクがあるので、とりあえずは公募価格+2割程度までの評価が安全と推測する。 連結データ(肩は対前期比(%))
前田工繊グループは、当社前田工繊と子会社2社から構成されている。主な事業内容は、1. 土木資材、建築資材の製造販売と各種汚濁防止用フェンスの製造・販売などの環境資材事業、2. 各種繊維を原料とした産業資材の加工製造・販売、不織布の製造・販売などの産業資材事業。 環境資材事業での主な製品は、盛土補強材、土木シート、接着アンカー、プラスチック擬木、海洋汚濁防止シート、オイルフェンス、暗渠排水材などとなっている。また、子会社では、汚濁水の拡散防止用のシルトフェンスや、流出油の拡散防止用オイルフェンス、水の富栄養化防止の分画フェンス、ごみ・浮草・流木防止用のネットフェンス、灰・泡防止用のアッシュ&バブルフェンスなどの各種フェンスの製造・販売を行っている。 産業資材事業では、細巾織物二次製品や、クリーンルーム内で使用し、専用のクリーン洗濯機と超純水・超音波を利用した洗浄を行う、精密機器洗浄用ワイピングクロス、不織布等が主な製品。
前田工繊のウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、会社概要と財務ハイライトとなっている。 |
06.9期は、環境資材事業で、盛土補強材、景観資材が好調なことに加えて、河川関連製品・防災関連製品でも市場開拓が進んで売上高が増加したことによって、対前期比+約10%の増収となった。このセグメントの営業利益も、原油価格が高騰したことに伴って合成樹脂原料と原糸価格の値上げがあったが、製品価格への転嫁を進めたことと、製品仕様の見直しなどによって、対前期比+約35%の増益となった。 産業資材事業では、IT産業のクリーンルーム内で使用されるワイピングクロスの需要が旺盛だったことから、売上高は対前期比+約37%の増収。しかし、営業利益ではクレームが発生したことと老朽化設備の改修投資に関する償却負担が増加したことで、対前期比マイナス約12%の減益となった。 その他事業では、耐震補強工事の受注が減少したことで、売上高・営業利益ともに大幅に減少し、今後の受注改善が見られないこと、収益性の悪化が見込まれることから、この事業から撤退した。 07.3中間期でも、環境資材と産業資材の中ではワイピングクロスの需要は好調とのこと。環境資材事業では、前期に引き続いて固定費の削減と製品仕様の見直しを進めており、利益率は前期と比較して大幅に向上している。 表1 セグメント別の利益率(百万円、%) 環境資材 産業資材 その他 連結 06.9期売上高 9,532 2,124 331 1,690 06.9期営業利益 1,074 114 10 804 06.9期利益率 11.3% 5.2% 32.8% 6.9% 07.3期売上高 5,563 1,104 -- 6,667 07.3期営業利益 868 106 781 07.3期利益率 15.6% 9.2% 11.7% 07.3中間期の進捗率からみた07.9期の業績予想の達成確度については、特に問題は無いように見える。07.9期予想を06.9期実績と比較すると、売上高は安定的に増加する見通しだが、利益項目では大幅に増加する見通しになっているが、これも中間期の進捗率をみると、特に問題はない。07.3中間期までの実績(表1参照)をみても、目論見書での会社コメントをみても、主力事業である環境資材事業では、相当なコストダウンと価格転嫁がされている様子で、この分野の利益率の改善には目を見張るものがある。
既存株主ではオーナー一族のウエイトが高く、大半がロックアップ対象になっている。ベンチャーキャピタルの出資分はなく、株式需給としては、特に問題点は見当たらない。 A. 発行済み株式数 1,938,880株(単元100株、04.9に1:20株式分割後) B. 公募 550千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 100千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント 90千株 D. ストックオプション等の残高総数 38,500株 E. うち潜在株式に算入する数 38,500株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 2,527,380株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 売出人を含めた会社関係者等4名と1法人に180日間。対象株数は1,638,880株。ただし、発行価格の2倍以上での売却は可能。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年9月 38,500株 1,370円 07年9月〜13年9月 目論見書での想定発行価格は3,000円で、この価格に基づく公募による前田工繊の手取り概算額は約1,517百万円とされている。資金使途は、生産能力の増強と、増産対応のための製造設備改修に40百万円、システム能力向上と無い舞踏性対応に73百万円、借入金の返済資金に950百万円、残額については、今後の設備資金に充当する予定。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||