IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
キトー(6409 東証)IPO |
現時点では公募価格以上には評価しにくい 08.3期業績予想を含めて、足元の状況は増収増益トレンドを維持している。しかし、正直なところ、目論見書を見る限り、なぜ好調な業績になっているのかは理解しにくい。 08.3期業績予想ベースのEPS約24千円に対して想定されている公募価格のPERは約17倍となる。再生銘柄としてディスカウント評価される可能性がある点と、上記の理由を考えると、想定されている公募価格以上には、現時点では評価しにくい内容。 上場半年後には、過去に同社のMBOを引き受けた投資ファンドに対するロックアップが終了するので、以降はファンドの売却リスクも考慮する必要がある。 連結データ(肩は対前期比(%))
キトーグループはキトーと子会社11社で構成されており、主な事業内容は、巻上機・クレーン等の製造・販売となっている。 販売体制は、国内は代理店制度を採用して、主に特約代理店傘下の販売店の一般流通ルートを通じて供給している。海外では、関連子会社と海外代理店を通じて販売している。 製品別では、顧客ニーズの最大公約数を規格化した見込み生産品である標準製品と、顧客の荷役の内容や環境条件によって異なるニーズをとらえてオリジナル設計をした特殊製品に分類される。また、その他に部品の提供やメンテナンス等のアフターサービスを行っている。 キトーは元来店頭登録による株式公開を行っていたが、バブル崩壊以後に業績が悪化したことから、2003年にカーライル・グループが出資し、株式非公開化によるMBOを行った。
キトーのウエブサイトには7月11日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。過年度の決算概要が開示されているに留まっており、上場承認関連のニュースリリースも掲載されていない。 |
07.3期は、国内販売では、主力製品である電機チェーンブロック、レバーブロック、手動チェーンブロックなどのシェア拡大に注力した。海外では、北米市場で風力発電業界への拡販施策を展開したほか、中国では半導体向けクリーンルーム用クレーン製品の製造を開始した。 以上の結果、売上高では対前期比+約18%の増収、営業利益以下の利益項目でも対前期比+20%以上の増益となった。 表1 07.3期 品目別の販売実績(百万円、前期比%) 標準製品 23,752 +17.7% 特殊製品 6,660 +26.8% その他 1,381 -5.4% 合 計 31,794 +18.2% 08.3期業績予想でも、07.3期ほどの対前期伸び率ではないものの、堅調な増収増益の見通しになっている。ただし、現在の段階では第一四半期の状況も確認できないため、達成確度の点では若干割り引いて考えておいたほうが無難かもしれない。
キトーは投資ファンドによるMBOを過去に実施した関係で、ファンドの持ち高が大きくなっている。一部は上場時の売り出し対象になっているが、この売り出し完了後にも、約60万株を保有している計算になる。ロックアップ対象にはなっているので、上場後の6ヶ月間は考慮不要だが、長期保有の場合には、この全数が市場売却されるリスクを織り込む必要がある。 これに対して、ストックオプションに関しては、希薄化効果は大きいものではない。 A. 発行済み株式数 132,993株(05.6に1:2株式分割後) B. 公募 0株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 47,694株(売出し元はベンチャーキャピタル42,724株、会社関係者4,970株)、既発株のオーバーアロットメント 7,153株 D. ストックオプション等の残高総数 4,124株 E. うち潜在株式に算入する数 4,124株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 137,117株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 108,283株 既存株主へのロックアップ情報: 投資ファンド2社に180日間。対象株数は108,283株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年3月 2,212株 25千円 06年3月〜14年2月(07.7行使分を除く) 05年3月 1,088株 55千円 07年3月〜15年2月 05年3月 824株 55千円 06年3月〜14年3月 目論見書での想定売出し価格は40万円。配当政策は連結での配当性向20%以上を目処としている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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