IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
パシフィックシステム(3847 JASDAQ)IPO |
株式の需給面での安心感はあるものの、それだけでは評価しにくい 親会社である太平洋セメントとの取引は売上高全体のうち約30%を占める。親会社との関係がかなり深い状態での親子上場であり、足元の利益率は一応向上はしているものの、親会社との取引関係が、親会社自体の意向次第で、どうとでもなる状況下で、しかもその業績に与える影響が大きい状態では、一般的な見方での業績評価は難しい。 07.3期業績予想ベースのEPS約180円に対して、想定されている公募価格のPERは約10倍となる。初値段階で高い評価を得ることは当然難しいだろうし、親子上場によるディスカウント要素は十分に織り込まれていると考えるが、一般の投資家がわざわざパシフィックシステムに投資する意義は見出しにくく、状況次第では公募価格を割り込む可能性もあるとみる。 連結データ(肩は対前期比(%))
パシフィックシステムグループは当社パシフィックシステムと子会社1社から構成されており、情報サービス事業を展開している。親会社は太平洋セメントで、親会社との間では情報サービス事業全般にわたる取引を行っている。子会社では、主に生コンクリート業界向けシステムを開発・販売している。 事業内容は、機器等販売、ソフトウエア開発、システム販売、システム運用・管理等の4つに区分される。 「機器等販売」では、パソコン・サーバー・周辺機器とパッケージソフト等の販売を行っている。 「ソフトウエア開発」では、製造業・流通業・金融業等に対してアプリケーションシステムの受託開発業務を行っている。 「システム販売」では、センサーカメラで撮影した画像をデジタル処理することで、形状の計測や傷等の欠陥認識を行う画像処理システム、生産者が納めた農産物の大きさ・品質に関する評価等を行う農業生産管理システム、生コンクリート工場における受注・売上・請求・会計等の事務処理や、生コンクリートの製造・出荷、品質管理に関する生コンクリート業界向けシステム等の自社開発システムの販売と、ネットワーク構築等のインフラサービスを行っている。 「システム運用・管理等」では、ユーザーシステムの運用・管理サービス、パソコン教育等を行っている。
パシフィックシステムのウエブサイトには投資家向け情報開示のページは設置されているものの、3月22日時点では実質的なコンテンツの掲載はない。 |
06.3期は売上高では、顧客の投資延期や価格低下圧力の強まりなどを受けて対前期でマイナス4%の減収となった。売上総利益では、利益率の良いシステム販売での売上が増加したことや原価改善によって対前期比で増加したものの、上場準備などの一般管理費の増加によって、営業利益と経常利益では対前期で減益となった。 表1 事業区分別の販売実績(百万円、前期比%) 06.3期 06.9中 機器等販売 1,247 -15.6% 674 ソフトウエア開発 1,836 -7.5% 748 システム販売 2,202 +3.4% 1,020 システム運用・管理等 2,224 -1.6% 1,127 合計 7,511 -4.4% 3,571 07.3期予想では、機器等販売ではパソコン機器更新需要が一段落することで、売上高は対前期比マイナス5%の減収、ソフトウエア開発では、大規模開発が少なく、新規開発技法によるソフトウエア開発はまだ立ち上げ時期であることから、売上高は対前期比マイナス1%の減収を見込んでいる。 システム販売では、画像処理システム関係と、出荷システム関係、ネットワーク・セキュリティ関係などで増加を見込み、売上高は対前期比+24%の増収、システム運用・管理等はアウトソーシングユーザーのシステム運用に前期と比べて大きな変更が無いことから、ほぼ前期並みの売上高の想定となっている。売上高全体では、対前期比+約5%の増収の見込み。 これに対して費用面では大きな増加がない想定となっており、売上高の増加がそのまま利益に貢献する形となって、経常利益では対前期比+約26%の増益の見込みとなっている。 07.3期の通期の業績予想は、特に利益項目については、中間期実績と比較して過大に見えるが、システム開発関連特有の事情として、期末に検収が偏る傾向にあることが影響している模様。 子会社では生コンクリート業界向けのシステム商品の開発・販売を行っているので、生コンクリート業界の好不況が業績に影響を与える。生コンクリートの全国出荷量は1990年にピークとなった後、毎年減少傾向にあり、2005年度にはピーク時から36%減少するという状態になっている。このため、今後の同業界向けの取扱高の増加については、見込みにくい状況。
ストックオプションとベンチャーキャピタルの保有はない。また、既存株主のうち、従業員持株会を除いた全ての株主がロックアップの対象になっている。株式の希薄化や既存株主からの売り出しはほとんど考慮しなくてよい状態になっている。 A. 発行済み株式数 1,380千株(単元100株、05.5に460千株増資後) B. 公募 100千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 100千株(売出し元は太平洋セメント)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,480千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者13人と法人3社を対象に6ヶ月間。これは、社員持ち株会を除く全ての既存株主が対象になっており、対象株数は1,259千株。 目論見書での想定発行価格は1,800円で、この価格に基づく公募によるパシフィックシステムの手取り概算額は約160百万円とされている。資金使途は、新商品の開発のための研究開発資金に22百万円、残額の138百万円は運転資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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