IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
フリービット(3843 マザーズ)IPO |
成長性は評価できるので、あとはVCの売却動向次第か ナローバンドからブロードバンドへシフトが進む中で衰退気味となっている事業と、成長力のある事業をうまく組み合わせて行うことで、増収増益になっている。ただ、これまでの業績・今年度の見通しには実質的な法人税負担がないので、これを考慮すると07.4期業績予想ベースのEPSは、実力としては約8,500円となる。 想定されている公募価格に対するPERは約40倍となる。足元の業績、特に利益面での急成長を考えると、成長性を加味した妥当な価格設定に思える。 上場後にはベンチャーキャピタルの保有株の売却など、需給面ではネガティブな要素がある点だけが、不安材料。 個別データ(肩は対前期比(%)、05.4期のみ個別)
フリービットは、インターネットに関わるコアテクノロジーの開発、大規模システムの運用に関する技術力を背景に、インターネットビジネスを展開する企業に対して、サービスを提供している。 フリービットの事業は、ブロードバンドインフラをサービスとして主にISP事業者に提供するブロードバンド化事業と、ユビキタスプラットフォームを技術ライセンス、またはサービスとして機器メーカー等に提供するユビキタス化事業の2つに区分される。 ブロードバンド化事業では、ISP事業者各社が個別に構築しなければならなかったネットワークやシステムを各社で共用できる仕組みを開発し、ISP事業者に対してサービスを提供している。ISP事業者は先行投資が不要であることに加えて、利用者数に応じた利用料金をフリービットに支払うことで事業運営ができるため、煩雑なネットワーク運営等の業務が不要になる。また、フリービットが提供するサービスメニューを利用することで、中小規模のISP事業者であっても、ウエブメールや掲示板機能など、大手ISP事業者と同等のサービスメニューを提供できる。 ユビキタス化事業では、次世代のインターネットプロトコルであるIPv6を現行のIPv4ネットワークで利用することが可能になる技術や、ネットワーク環境の差異を乗り越えて接続できる自社開発技術を利用したソフトウエア等によって、顧客が専用の機器の購入やシステム構築・開発を行わずに容易に顧客のネットワーク環境に依存しない専用ネットワークを構築することが可能な製品・サービスを提供している。
フリービットのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと上場関連のニュースリリース・業績予想、財務ハイライトとなっている。 |
06.4期はブロードバンド化事業では、ダイヤルアップサービスで減収、ブロードバンドサービスで増収で、相殺の結果、対前期比では約235百万円の減収となった。新規に立ち上げたユビキタス化事業では、自社で独自開発したシステムが、1社の顧客で2万台を超える規模のIP電話の運用に採用されたほか、オムロンとオービックビジネスコンサルタントの製品に採用されたことで、順調に推移した。 06.10中間期は、ユビキタス化事業では、前期に資本提携を実施した楽天との業務提携が開始され、システム開発に関わる受託開発売上が計上され、多拠点事業所向けにVPNサービスの提供が拡大するなどした。 ブロードバンド化事業では、ダイヤルアップサービスが引き続き減少しているものの、アクセス回線に光ファイバーを使用するブロードバンドサービスは順調に推移している模様。 また、費用面では、帯域制御システムが効果を発揮したことや、ダイヤルアップサービス用の回線を利用者の減少に合わせて整理したことで、ネットワーク関連の費用が当初の見通しを下回った模様で、経常利益以下では中間期段階で既に、前年通期の実績額と同程度になった。 表1 事業別の販売実績(百万円、前期比%) 06.4期 06.10中 ブロードバンド 2,848 -7.6% 1,486 ユビキタス 864 +81.0% 510 合計 3,712 +4.2% 1,996 07.4期業績予想は、中間期までの進捗率をみて、下期に若干の売上高ウエイトが高い可能性があることを考慮すると、ほぼ達成ペースになっていると想定する。全体としては、ダイヤルアップで構造的に売上が減少し、ブロードバンド関連の増収でも十分にその減収分を埋めきっていないが、新規事業分野が好調に立ち上がったことで補完されている、という印象。 フリービットは過去に先行投資負担があったこと等で赤字決算となった期があり、この影響で06.7末時点での未処理損失は約405百万円、07.4期に繰り越された税務上の繰越欠損金は約1,335百万円ある。このため、07.4期の業績予想でも実質的な法人税負担はまだ織り込まれていない模様。
ストックオプションは、行使価格が60万円と、想定されている公募価格の2倍程度になるので、実際に行使できるかは微妙な状況。07年中に行使可能になるものについては、希薄化効果を以下では考慮した。 ベンチャーキャピタルを含めた既存株主にはロックアップが掛けられていない。最近の第三者割当増資は当面の保有確約がついているが、こちらは大部分が取引先の法人が割当対象になっているので、売却制限期間が過ぎたとしても、早々に売り出されることは考えにくい。 A. 発行済み株式数 13,060株 B. 公募 1,700株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 300株(売出し元は法人)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,300株 E. うち潜在株式に算入する数 1,000株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 15,760株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,866株 既存株主へのロックアップ情報: なし。ただし05.5以降に実施した第三者割当増資939株(割当先はオービックビジネスコンサルタント、楽天等)は上場後半年間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年7月 1,000株 60万円 07年7月〜12年7月 06年7月 300株 60万円 08年7月〜13年7月 目論見書での想定発行価格は34万円で、この価格に基づく公募によるフリービットの手取り概算額は約514百万円とされている。資金使途は、データセンターのサーバ設備の増強とソフトウエア開発の設備投資に225百万円、借入金の返済に約160百万円、残額は社債の償還に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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