2143秀文社IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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秀文社(2143 ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:サービス業

増配しない理由が、よくわからない
 着実に増収傾向を維持している。しかし、減損損失による一時的な要因のある06.3期を補正して考えても、営業利益以下の利益項目をみると、抑制傾向にある。増収トレンドとあわせてみれば、利益率が着実に低下していることになる。

 このため、高い評価はしにくいのだが、想定されている公募価格でも、こうした構造的な利益率の問題、成長性の低さは考慮されていると思われ、07.3期の業績予想ベースEPSに対して、想定公募価格のPERは約8倍と、かなり低めに抑えられている。

 PERでは少なくとも10倍強の株価15,000円までは評価しても良いと考える。ただ、いずれにしても、成長性が高くないにもかかわらず、配当性向が極端に低い点は問題。配当を抑えてその分内部留保によって校舎を増加させ、結果的に利益率を低下させるぐらいなら、素直に増配して株主還元すべきだろう。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3予
売上高(百万円)
2,211
6.5%
2,356

1,231
7.9%
2,542
営業利益(百万円)
329
-10.7%
294

189

--
経常利益(百万円)
365
-10.0%
329

208
10.7%
364
当期利益(百万円)
238
-45.7%
129

118
50.1%
194
総資産(百万円)
純資産(百万円)
2,509
1,713
2,481
1,833
2,880
1,950
--
--
株主資本比率(%) 68.3% 73.9% 67.7% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
14.6%
13.9%
13.2%
7.1%
7.2%
6.1%
--
--
発行済株式数 150 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
1,586
11,419
862
12,218
789
13,002
1,293
--
配当(円/株) 25 25 -- 25

事業概要
学習塾事業と介護・福祉事業等
 秀文社グループは、秀文社と子会社1社、業務提携先であり、その他の関係会社に該当する早稲田アカデミー(早稲田アカデミーが秀文社の株式を保有)から構成されており、学習塾事業、介護・福祉事業と、その他の事業を展開している。

 学習塾事業では、小学生・中学生・高校生を対象とした進学指導を行い、中学生指導コースが主要なコースになっている。主に、宇都宮線・高崎線の沿線を中心に、埼玉県立高校への入学試験の準備を行うもの。立地に関しては、駅前ではなく、対象自動・生徒の居住地に近い住宅地に積極的に展開している。子会社では、シンガポールで、現地の日本人師弟を対象とした進学指導を行っている。

 介護・福祉事業では、訪問介護員1級・2級と福祉用具専門相談員等の養成を行う介護教育事業や、訪問介護ステーション、デイサービス、福祉用具貸与・販売、居宅介護支援、ショートステイ事業を、さいたま市内の施設で行っている。また、福祉事業は、才能開発保育を行っている。

 その他事業としては、広告・印刷業務を行っている。


収支の状況
着実に増収を維持しているが、利益率は低下傾向
 06.3期は学習塾事業で、住宅地型校舎を期中に11校開校し、既存の2校舎を閉鎖したことなどで、売上高は対前期比+約6%の増収、営業利益では対前期で減益となった。

介護・福祉事業では、介護教育部門では大宮地域で競合が激しいことから苦戦したものの、埼玉県教育訓練校の委託訓練を受託した。また、通所介護部門が年間でフル稼働したこと、保育事業で園児数が増加したこと等によって、売上高は対前期+約12%の増益、営業損益では、前期の赤字から黒字転換した。

 全体では、売上高は前期比+約6%の増収となったが、経常利益では前期比マイナス約10%の減益となった。

 06.9中間期は、学習塾事業では、期中に5校の郊外型校舎を開校し、前期に開校した11校の業績への寄与もあって、順調に推移している模様。

 介護・福祉事業では、通所介護がほぼ定員を満たす状態で推移、福祉用具貸与・販売も好調だったが、介護保険法改正の影響によって、営業損失を計上した。

表1 事業の種類別セグメントの販売実績(百万円、前期比%)
06.3期  06.9中
学習塾   2,076  +6.1% 1,078
介護・福祉  231 +12.6%  120
その他     46  -1.2%   31
合計    2,355  +6.5% 1,230

 07.3期業績予想は、中間期までの実績での進捗具合をみると、達成には問題はなさそう。増収増益の見通しだが、前期である06.3期は更にその前期と比較すると減益になっており、利益に関しては、07.3期は元の水準にやっと回復するだけになっている。

 校舎数の増加等で増収傾向にはあり、トップラインには現在のところ問題は無いようだが、今後は売上げも頭打ちになる時期がやってくる可能性もある。先行きを考えると、利益率の向上がここ2年では見られないのは残念なところ。

 06.3期は遊休地と校舎に使用している土地1箇所について、時価の下落を反映して、約88百万円を減損損失として特別損失に計上した。このため、当期利益では前期と比較して大幅な減益になった。

 秀文社では株主でもある早稲田アカデミーと企業提携に関する業務基本契約を締結している。内容は、有名私立進学コースの設置・運営・マーケティング活動での協力関係、進学指導についての講師研修、各種イベントの共同開催等を盛り込んだもの。この契約は、05年4月に期間満了となったことから、その後は契約内容を有名私立進学コースの設置・運営等に縮小更新して、提携を継続している。

 この契約変更に伴って、秀文社の業績に対する目立った影響は無いようだが、今後の契約更新は1年ごとの自動更新となっており、今後、契約内容に変更があれば、秀文社の業績に影響を与える可能性もある。

株式の状況
ロックアップのウエイトは低いが、余り気にすることはないと想定
 ストックオプションは付与されていない。ロックアップは 大株主の法人に対して掛けられているが、全発行済み株式数に占めるウエイトは小さい。ロックアップの対象になっていない既存株主からの売却リスクはあるが、追加売却した場合には、会社関係者とその法人でのシェアが50%を切る可能性もある構造になっている。ロックアップ非対象の株主からの売却も、あまり留意する必要はないだろう。

A. 発行済み株式数 130千株(単元10株、06.3に1:10株式分割後)
B. 公募 20千株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 15千株(売出し元)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 0株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 150千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株
既存株主へのロックアップ情報: 法人2社(早稲田アカデミーと栄光)に180日間。対象株数は40千株。

 目論見書での想定発行価格は11,000円で、この価格に基づく公募による秀文社の手取り概算額は187百万円とされている。資金使途は、60百万円を本社入金管理システムの更新費用に、残額を借入金の返済に充当する予定。

情報開示の状況
開示あり
 秀文社のウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライトとなっている。それなりに開示を進めているのはいいが、なにより、まずは増配すべきだろう。

IPOを申し込む時に便利な銀行・証券会社はどこか?管理人が解説します > 「IPOのための証券会社・銀行選び」

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