6640第一精工IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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第一精工(6640 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:電子機器

公募水準は妥当だが、半年前の増資割当価格との差は気になる
 デジタル家電等と自動車販売が最近好調であることを背景として、第一精工の業績は順調に拡大している。07.3期の会社発表業績見通しベースでのEPSは約175円で、これに基づく想定公募価格のPERは約18倍となる。

 来期以降に更に業績が向上する可能性もあるが、とりあえずは今期予想を基にすると、想定されている公募価格は妥当な水準と考えられ、特に割安感はない。

 06年3月に金融機関を対象とした第三者割当増資が1株当り2千円で、その約半年後の公募・売り出しの価格が3千円オーバーとなっていることについては、疑問が残る。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 07/3会予
売上高(百万円)
27,516
21.3%
33,382
9.3%
36,498
営業利益(百万円)
2,104
101.1%
4,232

--
経常利益(百万円)
1,701
134.8%
3,995
19.1%
4,760
当期利益(百万円)
1,006
93.9%
1,951
35.9%
2,652
総資産(百万円)
純資産(百万円)
29,273
4,695
35,009
8,055
--
--
株主資本比率(%) 16.0% 23.0% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
16.0%
5.8%
23.0%
11.4%
--
--
発行済株式数 15,222.8 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
66.1
308
128.2
529
174.2
--
配当(円/株) -- 5 --

事業概要
電子・電装・精密部品と半導体製造装置の製造・販売
 第一精工グループは、第一精工と子会社22社から構成されており、電子・電装・精密部品と半導体装置の製造・販売を主な業務としている。事業の種類別セグメントでは、電子・電装・精密部品事業と半導体設備事業、その他の事業に3区分される。

 電子・電装・精密部品事業の主な製品は、細線同軸コネクタ等のコネクタ、自動車電装部品、HDD用機構部品やコンピュータ部品となる精密プラスチック機構部品。地域的には、シンガポール・中国・香港・フィリピン・マレーシア・インドネシア・米国でそれぞれ製造・販売している。

 コネクタ・エレクトロニクス機構部品の主な用途は、携帯電話などの移動体通信市場と、ノートパソコン向け、HDD向け、デジタル家電向けとなっており、特に細線同軸コネクタは、超小型電子機器の内部接続に特異性があり、携帯電話・ノートパソコン向けに供給している。

 自動車電装部品・内装部品の主な用途は、車載用センサー、パワーウインドウ用スイッチ、自動車用コネクタ、ランプソケット、トランスミッション関連部品、車内空調部品であるベンチレータなど。

 半導体設備事業では、半導体製造の後工程で、樹脂で半導体内部を保護するためにパッケージ工程で投入される半導体樹脂封止装置と、この装置に搭載して半導体の種類や形状に合わせて制作する半導体封止用金型、全自動封止用テープ貼機等を主な生産品目としている。

 その他の事業では、子会社で、液晶表示用導光板加工機やプラスチックレンズ関連加工装置等のゲートカット・仕上げ加工機などのプラスチック成形周辺機器を製造・販売している。
収支の状況
デジタル家電と自動車販売の好調が追い風となって業績拡大
 06.3期実績では、電子・電装・精密部品でブロードバンド化・モバイル化・カーエレクトロニクス化が進む中で、携帯電話・ノートパソコン・デジタル家電向けの製品が好調であり、更にセンサー等の自動車部品についても、国内外での自動車生産が好調であったことを追い風に、堅調に推移した。セグメントとしては売上高で対前期比+約29%の増収、営業利益で+約71%の増益となった。

 一方で、半導体設備事業では伸び悩み、売上高では対前期比 -約11%の減収となった。営業利益ではコストダウン等で、増益を確保した。その他の事業では、液晶バックライト導光板用の精密加工機を開発し、次世代の高輝度タイプの生産設備として販売が順調に進み、対前期で増収増益。

表1 事業の種類別セグメントの利益状況(百万円、%)
       電子電装  半導体 その他 連結
05.3売上高  23,052  4,028  434  27,515
05.3営業利益 2,970    17  149   2,104
05.3利益率   12.9%  0.4%  34.3%   7.6%
06.3期売上高 29,726 3,568  536  33,832
06.3期営業利益 5,088 151  201   4,232
06.3利益率   17.1%  4.2%  37.6%  12.5%
売上高は外部顧客に対する売上高

 07.3期の会社予想では、売上高は、電子・電装・精密部品事業で、高機能携帯電話やデジタル家電、HDD、PC、カーナビの需要拡大と、自動車用コネクタ・センサー・ベンチレーターの受注増を見込んで、前期に引き続いて好調を維持する見通し。半導体設備事業と、その他の事業でも、増収が見込まれている。売上高全体では、前期比+約7%の見通し。

 利益ベースでも、売上高の増加率ほどには経費等が増えない見通しで、経常利益・当期利益では共に前期を上回る見通しとなっている。

株式の状況
ストックオプションとベンチャーキャピタルの保有は無し
 第一精工は04年7月に1:10の株式分割を、06年3月に第三者割当増資を実施し、06年10月時点の発行済み株式数は12,272,800株(取引単位は100株)で、上場にあたっての公募が2,500千株、売り出しが500千株(売り出し元は会社関係者)、オーバーアロットメントによる売出しが450千株予定されている。オーバーアロットメント分450千株については、主幹事である大和証券SMBCを割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプション等の希薄化要素は無い。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は15,222,800株とした。

 目論見書での想定発行価格は3,150円で、この価格に基づく公募による第一精工の手取り概算額は、7,829百万円とされている。第三者割当増資の手取り概算額約1,417百万円とあわせた資金使途は、4,124百万円を生産設備等の設備投資に、約388百万円を子会社向けの融資に、残額を借入金の返済に充当する予定。融資先の子会社では、資金を生産能力増強のための設備投資に使用する予定。

 06年3月の第三者割当増資は、銀行3行を割当先としたもので、発行価格2,000円、発行数250千株。上場にあたってロックアップは全ての既存株主に対して、かけられていない模様。

情報開示の状況
実質的に開示はまだ
 第一精工のウエブサイトには、10月18日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場関連のニュースリリースと、財務情報として売上高の推移だけが開示されている。財務情報が売上高だけというのは、いかにも寂しく、せめて利益(営業・経常・当期)・一株当り利益ぐらいは、掲載してほしい。



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