IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
バンクテック・ジャパン(3818 JASDAQ)IPO |
自動的に増益となる要因を持っているものの、バイアウトファンドからの売却圧力がリスク 06.12期の会社発表見通しは大幅増益が予定されているが、売上高が増加したことによるものと、費用の中でウエイトの高い営業権と長期前払い費用の償却額が売上高に係わらず固定的に発生していることが影響している。 この償却額は06.12期見通しを発射台に、2年後の08.12期には約580百万円減少する予定になっており、07.12期以降は、この分がそっくり増益要因となる。 この要因だけで、税引き後利益は06.12期見通しに対して約40%増となる約250百万円程度の増益効果がある。従って06.12期見通しベースでのEPS約3,600円に対して、潜在的なEPSは約5,000円程度と想定する。想定公募価格10万円に対するPERは約20倍となり、一定の割安感はある。 一方で、株式需給面では、バイアウトファンドからの相当量の売却圧力が予想され、厳しい状況とみる。 個別データ(肩は対前期比(%))
バンクテック・ジャパンは、米国レコグニション・エクイプメント社の日本子会社として設立された後、米国親会社の合併によって社名変更した。2003年に当社のマネジメントバイアウトを実施して現在に至る。 バンクテック・ジャパングループは、当社と子会社2社から構成されており、イメージ情報の処理に関するソリューションを顧客に提供するためのハードウエア・ソフトウエアの開発・製造・販売と、それらの機器のメンテナンス・保守部品の販売を主たる事業としている。 バンクテック・ジャパンが提供している代表的な業界向けイメージ情報ソリューションは、以下の通り。 ■金融機関、コンビニエンスストア向け決済イメージシステム イメージOCR(光学文字読取装置)、イメージ・スキャナなどのハードウエア等で、事務集中部門の税公金精査業務を効率化するシステム。 ■国民健康保険団体連合会、社会保険診療報酬支払基金向けレセプト審査、支払いイメージシステム イメージOCR、イメージ・スキャナなどのハードウエア等で、レセプト(診療報酬請求明細書)の審査・支払い等の業務を効率化するシステム。 ■運送会社向け配送伝票イメージシステム 顧客が捺印した配送伝票のイメージを完全ファイリングし、配送状況の管理や「お届け伝票」の照合などにイメージ情報を活用するシステム。 メンテナンスその他事業では、ハードウエア、ソフトウエア、プロダクト、開発業務アプリケーション・ソフトウエアを含めたメンテナンス・サービスを定例的に、または顧客の要望に応じて提供している。また、ハードウエアの消耗部品や用品を提供している。 |
05.12期は流通・運輸・ノンバンク業界向けの売上高が減少したこと等で、売上高は対前期比でほぼ横ばいとなった。また、新規顧客に対するプロジェクト案件の利益率に低いものがあったことや、受託プロジェクトの立ち上げに経費をかけたこと等によって、経常・当期利益では減益となった。 【表1 事業部門別の販売実績(百万円、%)】 05.12期 前期比 06.6中 イメージ情報ソリューション 5,185 -3.7% 3,070 メンテナンスその他 3,059 +5.4% 1,518 合計 8,244 -0.5% 4,589 06.12期の業績予想では、売上高で、金融機関の設備投資の回復傾向を背景として銀行、クレジットカード会社、生命保険会社向けの売上高が増加することを想定している。また、05.12期に受注した受託事業も、06.12期の売上に貢献する見通し。以上によって、対前期比+約16%の増収見通しとなっている。 費用サイドでは、国内で製造する高速スキャナの生産が増加したことで原価率が改善されることと、販売費・一般管理費ではMBOの際に発生した営業権の償却等の固定費的なコストが多いために、売上高の伸びほどにはコストが増加しない見通し。これによって、06.12期は経常利益・当期利益の対前期比で、ほぼ倍増となる増益見通しとなっている。 当社は米国バンクテックグループから最優遇価格で購入する権利や独占販売権を取得しており、長期前払い費用・営業権として資産計上している。これらの償却額が年度を追うごとに減少していくので、他の条件が変わらなければ当面は増益が継続される。 【表2 長期前払い費用と営業権の償却額の予定(百万円)】 06.12期 07.12期 08.12期 690 343 110
バンクテック・ジャパンは06年6月にB種優先株式1株に対して普通株式4株を交付したことで、06年8月時点の発行済み株式数は104,620株となり、種類株式は全て無くなった。上場にあたっての公募が5,000株、売り出しが8,500株(売り出し元はベンチャーキャピタル)予定されている。ストックオプションの未行使残高が11,775株あり、このうち3,887株は上場後1年以内に行使可能となることから、潜在株式として認識する。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、113,507株とした。 【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年4月 3,887株 5万円 07年5月〜15年3月 06年3月 7,888株 88千円 08年4月〜16年2月 目論見書での想定発行価格は10万円で、この価格に基づく公募によるバンクテック・ジャパンの手取り概算額は470百万円とされている。資金使途は、400百万円を設備資金に、残額を借入金返済に充当する予定。 上場後180日間のロックアップ契約がバンクテック・ジャパンと主幹事日興シティグループ証券との間で合意されている。内容は、この期間内に株式分割とストックオプションを除いて、株式や新株予約権等の新規発行・売却を行わないというもので、既存株主に対する通常のロックアップとは異なる。 株主名簿でのベンチャーキャピタルの保有株式数は83,470株であり、ここには売り出し対象の8,500株が含まれているものの、発行済み株式数の7割強を占める高いウエイトとなっている。筆頭株主がバイアウトファンドであり、これまでの経緯から考えれば妥当なところではある。
バンクテック・ジャパンのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライト程度となっている。上場前段階としては、平均的な開示水準といえる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||