3057ゼットンIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ゼットン(3057 名証セントレックス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:小売業

業績面・株式需給面では問題ないが
 07.2期会社予想では当期減益の見通しとなっているのは、前期までは繰越損失があったために、実質的な法人税負担がなかったことの反動であり、業績自体は順調に伸びていると見て問題ない。

 株式需給面でもストックオプション残高とベンチャーキャピタルの保有があるものの、大きな影響はない水準であり、目立ったリスクはない。今期予想ベースEPS約3千円に対してPER30倍強で想定されている公募価格には一定の割安感はある。

リスクとしては、従来設備の耐用年数を極端に長くとっていたことに代表されるガバナンス・コンプライアンス上のリスクが考えられる。上場前後の短期間では問題はないだろうが、長期的には、注意すべき点と考える。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/2 06/2 06/5 1Q 07/2会予
売上高(百万円)
1,783
65.3%
2,948

818
28.0%
3,773
営業利益(百万円)
-157

148

46

--
経常利益(百万円)
-159

170

43
20.5%
205
当期利益(百万円)
-253

188

23
-35.5%
121
総資産(百万円)
純資産(百万円)
993
-47
1,099
231
1,442
349
--
--
株主資本比率(%) -4.8% 21.0% 24.2% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
--
--
15.5%
81.2%
3.0%
6.4%
--
--
発行済株式数 39.627 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
--
--
4,735
5,831
568
8,818
3,054
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
公共施設における飲食店舗開発・再開発事業
 ゼットンは、06年7月末時点で、東海エリアに13店舗、関東エリアに10店舗、関西エリアに1店舗の計24店舗のレストラン店舗を運営している。

 事業分野としては、パブリックイノベーション&リノベーション、コマーシャルイノベーション&リノベーション、デザイン能力を活用してグラフィックデザインの企画・製作や公共施設などへのコンサルティングを行う、プランニング&コンサルティングの3事業に区分される。

パブリックイノベーション&リノベーションでは、自治体等が運営する公共施設、美術館・博物館などの文化施設、空港・駅等の公共交通機関に関連する施設を主なターゲットとしている。


収支の状況
業績には問題ないが、会計処理を変更した経緯には違和感あり
 05.2期は、大型店舗出展のための先行投資を行ったことで経常赤字となった。また、耐用年数を変更したことで過年度分の減価償却を実施したことと、人件費の計上基準を現金主義から発生主義に変更したこと等による前期損益修正損を特別損失に計上したことで、当期赤字になると共に、債務超過となった。

 06.2期はパブリック部門では前期に開店した3店舗の売上げが通期で寄与し、期中に3店舗を開店した。コマーシャル部門では、前期に3店舗を閉店、1店を開店し、当期には2店を新規開店した。また、05年3月から9月にかけて開催された愛知万博に出店し、05年9月に名古屋テレビ塔下の広場内に1ヶ月限定の店舗を出店した。以上によって、前期と比較して大幅な増収となり、この増収効果と前期に会計処理方法の変更に伴う一時的な費用計上を行ったことの反動によって、増益となった。

表1 06.2期 事業別の販売実績(百万円、%)
        販売実績  前期比
 フードサービス 953  +358.5%
 ブライダル    309 +7,733.0%
パブリック小計 1,263  +495.8%
コマーシャル  1,667    +6.8%
プランニング&コンサルティング 16 +70.9%
合計       2,947   +65.2%

 07.2期については、第一四半期の進捗率が利益についてはちょうど25%となっており、売上高の進捗率が悪い点はやや気になるものの、まずは順調に推移していると考えられる。当期利益ベースでは減益の見通しとなっているが、これは2期前に赤字決算、債務超過になったことで前期の法人税負担がほとんどなかったことが影響しているだけで、07.2期には通常に戻るだけのことになる。

 今後のリスク要因としては、ゼットンは約400人の臨時従業員を雇用しているが、来年には労働契約法や労働基準法、パートタイム労働法が改正される可能性がある。改正法の中では、残業代の割増率が現状の最低25%から50%に変更される案や、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用基準を拡大する案が検討されている。こうした法制度改正の動向によっては、業績に影響を受ける可能性がある。

 ゼットンの有利子負債は06年2月末時点で約499百万円、総資産に対する比率は約45%と、比較的高い水準にある。ただし、上場にあたっての公募資金は全額を借入金の返済に充当する予定となっており、公募増資による効果だけで、有利子負債は約250百万円減少し、前期末時点の半額の水準まで一気に低下する。また、今期は黒字決算の見通しであり、利益による内部留保も期待できる。従って、財務体質面については特に留意する必要はないだろう。

 前述の耐用年数の変更は、建物について、従来34〜41年としていたものを8〜20年に変更したもの。変更前の耐用年数は常識的に考えれば異常値であり、普通の水準に修正したことになる。現時点では修正済みであり、今後の収支影響等は当然ないものの、こうした異常な会計基準を平然と適用していたことに対しては、経営に対する疑問=ガバナンス・コンプライアンス上の疑問を感じる。

株式の状況
VC保有株とSO残高はあるが、影響は大きくない
 ゼットンは06年7月に1:3の株式分割を実施し、06年7月時点の発行済み株式数は35,475株となっている。上場にあたっての公募が3,000株、売出しが2,000株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプションの未行使残高が2,652株存在する。このうち1,152株は上場直後から行使可能となることから、潜在株式と認識する。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、39,627株とした。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議 対象株数 行使価格  行使期間
04年2月  576株  2,778円 06年2月〜14年2月
04年2月  576株  2,778円 04年2月〜14年2月
05年11月 1,500株 33,334円 07年12月〜10年11月

 目論見書での想定発行価格は95千円で、この価格に基づく公募によるゼットンの手取り額は約245百万円とされている。資金使途は、全額を借入金返済に充当する予定。

株主名簿でのベンチャーキャピタルの保有株式数は360株で、ロックアップ対象とはなっていないが、これまでの割当については、上場後半年間は保有することを確約している。

情報開示の状況
開示なし
 ゼットンのウエブサイトには9月19日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。財務情報のページはあるが、準備中となっている。開示水準については、あまり期待しないほうが良いように感じる。


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