IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
日本和装ホールディングス(2499 JASDAQ)IPO |
成長鈍化傾向にはあるが、成長継続中であり、公募価格には割安感 09.4期会社発表の業績予想ベースでのEPSは約6,300円となっており、想定されている公募価格に対しては、PER約15倍の水準となる。 一般的には和装関連の業界は、成長率が低いと考えられるが、当社の場合には過去と比較すると鈍化傾向にあるものの、依然として成長を継続している。また、上場による信用補完での販売促進効果も見込まれる。PER15倍程度の水準では一定の割安感があり、PER20倍の12万円程度までは十分評価される実力を持っていると考える。 公募・売り出しの合計枚数は多く、比較的「当り易い」銘柄となるが、公募・売り出し以外の既存株は当面市中放出されることはない点では、株式需給も良好。 個別データ(肩は対前期比(%))
当社の事業は「日本和装」事業の単一セグメントで、06年度ではフランチャイズ契約を含めて全国で26局、319会場で主として「4ヶ月無料きもの着付教室」を運営している。また、このほかに、着物等の加工から納品までの一貫した工程管理を行っている。 「4ヶ月無料きもの着付教室」は、着物文化のPR活動で、着物文化の普及啓発と販売仲介業務を行うもの。具体的な運営方法は、着物に関心のある受講希望者をテレビコマーシャルと新聞広告等の各媒体を使って募集し、10名前後の人数で1クラスを編成して、毎週1回各2時間、全15回のカリキュラムで着付教室を実施している。 ここでの販売仲介業務はでは、当社と販売業務委託契約を締結した全国の着物や帯のメーカーと和装品全般の総合卸売り業者約50社が、各契約企業の取り扱い商品を受講者に販売する際に、販売の仲介業務を行っている。 また、「4ヶ月無料きもの着付教室」の受講者には、着付けに使用する和装小物を販売し、教室を終了した受講者を対象に、「ランクアップ教室」、「復習コース」等を展開して、各契約企業から受講者への販売機会を設けている。 以上の事業内容による当社の収益は、各契約企業への販売仲介業務による仲介手数料・代金回収代行手数料、各契約企業からの着物加工工程管理請負による加工請負料・納品代行手数料、小物の販売による収入・フランチャイズ契約を締結した企業からのロイヤリティ収入であり、それぞれ、手数料売上高、加工料売上高、小物売上高、その他売上高として区分計上している。 |
09.4期の業績予想が会社から発表されている。売上高では、新規地域への事業拠点の進出や関東地区・東海地区での教室設備の拡充、修了者向けの「ランクアップ教室」などの新しい形態の教室の充実を織り込んで、対前期比+約13%の増収が見込まれている。 一方、利益ベースでは、新規地域への進出や教室設備の拡充がコストアップ要因となり、経常利益以下の利益項目では売上高の対前期伸び率以下の伸び率となる想定。事業の拡大は図れているものの、それに応じて増分売上高の利益率が向上する仕組みとはなっておらず、現在の事業構造では、増収見通しを単純には歓迎できない。 【表1 売上区分別の販売実績(百万円、%)】 売上区分 販売実績 前期比 手数料売上高 4,481 +9.1% 加工料売上高 1,159 +3.4% 小物売上高 184 -7.6% その他売上高 15 +79.7% 合計 5,841 +7.4% 【表2 受講者数と開講クラス数】 08.4期 前期比 受講者数 27,991人 -3.8% 開講クラス数 2,810クラス -2.1% 契約企業への販売機会(A)の提供回数 5,925回 -3.7% (A)への参加受講延べ人数 52,821人 +3.6% (A)での購入者延べ人数 27,785人 +5.4% 過年度と比較すると、09.4期業績見通しでの対前期利益伸び率は低下しており、これまでの急成長のステージは終わったのではないかとの印象を受ける。特に、教室の受講者数は、08.4期は対前期比で-3.8%となっている。これは、開講クラス数自体が同-2.1%となっていることに比例している部分が大きいと思われるが、収入の基になる受講者数=パイの大きさ自体が縮小傾向にあることには、注意する必要があると思われる。
当社は06年6月に1:100の株式分割を実施し、06年8月時点の発行済み株式数は84,300株となっている。上場にあたっての公募が6,400株、売り出しが6,400株、オーバーアロットメントによる売出し(売り出し元は共に会社関係者)が1,800株予定されている。ストックオプションの未行使残高が4,210株あり、上場後一年以内に行使可能となるので潜在株式と認識する。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、94,910株とした。 【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 06年6月 4,210株 公募発行価格 07年6月〜17年6月 目論見書での想定発行価格は96千円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は約561百万円とされている。資金使途は、約75百万円を新規事業所の開設と既存教室の環境整備に係わる設備投資資金に充当し、残額は将来の事業展開のための設備資金に充当する予定。 売り出し人となっている会社関係者1名に対しては180日間のロックアップが付されている。但し、発行価格の2倍以上での売却は可能。公募前時点での既存株主は2名だけで、ロックアップ対象となっている筆頭株主が84,300株・95.2%を保有している。もう一人の既存株主は、発行済みのストックオプションの全数を持っており、上場時点では現物は保有していない状態。従って、上場時点では、公募と売り出し以外の株式は一切市中に放出されない。
当社ウエブサイトには8月9日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社案内の中に、業績推移のページがあるが、売上高が掲載されているだけとなっている。現在準備中なのかもしれないが、投資家向けの情報開示は上場承認された時点から始まっていると考えるべきであり、もう少し、真剣に情報開示をしたほうが良いと思う。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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