IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アルク(2496 JASDAQ)IPO |
増収傾向にあるが、利益成長力には欠ける 06.5期決算では伸び悩み売上高で微増ながら減益となった。07.5期はこの反動で、新規の発行物等の寄与によって大幅な増収増益が見込まれている。しかし増益見通しである07.5期の利益水準でも04.5期の実績には届かないレベルであり、特に高い成長力が見られるわけではない。 平均的なEPS水準として3千円程度と考えて、出版関連業種でのPERを約20倍とすれば、株価水準は60千円程度と想定する。55千円前後で想定されている公募価格は、若干のディスカウントが織り込まれているとみる。 連結データ(肩は対前期比(%))
当社グループは当社と子会社4社から構成されており、語学学習のための教育活動を主な内容とし、これに関連する通信教材・出版・研修等の事業を展開している。事業区分としては、教育事業、出版事業、研修事業の3つに区分される。 教育事業では、通信教育用教材の制作、デジタルコンテンツの提供、英語力診断サービス、留学・旅行の相談・斡旋、子供英語教室の運営、イベント等を行っている。通信教育分野での「ヒアリングマラソン」の受講者数は、06年6月末累計で約96万人となっている。 デジタルコンテンツ関連では、eラーニングとしてネットアカデミー事業、各種携帯端末業者等へのコンテンツ提供、インターネット上で語学学習をサポートするWebサイト事業、英語力診断サービス事業を行っている。 ネットアカデミー事業での06年6月末時点の累計導入実績は、国立大学61校、公立大学等24校、私立大学等132校など。コンテンツ事業では、「ポケット英辞郎」など携帯端末等で使用できるコンテンツを有償許諾している。Webサイト事業は、Web辞書「英辞郎 on the web」を主力コンテンツとして、語学学習者のサポートやオンラインショップの運営を行っており、月間約7,800万PVとなっている。 留学分野では全国4箇所にサポートセンターを設置し、学生・社会人・シニア各層のニーズに対応した世界各国の語学学校や大学などの情報提供・留学相談・手続き代行等のサービスを提供している。 子ども英語教室分野では、フランチャイズ形式の幼児・児童を対象とする英語教室を展開しており、06年6月末時点の教室数は775校、生徒数は8,600人となっている。イベント分野では、TOEICテストなどの試験対策、日本語教育能力検定試験対策、児童英語教師養成講座などの語学教育関連の各種催しを行っている。 出版事業では、「イングリッシュジャーナル」などの月刊誌・季刊誌のほか、英和・和英辞書、学習参考書、TOEICテスト受験対策本などを発行している。 |
06.5期は未監査だが決算が発表されている。前期と比較して、売上高で微増、利益ベースでは減益。 05.11中間期では、子ども英語教室のフランチャイズ展開の教室数が目標未達成で、eラーニング分野でも新しい顧客環境への対応のための新プラットフォームを開発中であることから、売上高目標が未達となっている。出版事業は、売上高が前通期実績と比較しての進捗率で芳しくないことに加えて、取次店の物流システム変更に伴う返品高が増加したことと、TOEICテストの試験内容が改定されたことによって在庫廃棄の影響によって、利益面でも減益要素となっている模様。 【表1 事業の種類別セグメントでの販売実績(百万円、%)】 05.5期 前期比 05.11中 06.5期 教育事業 4,989 +8.8% 2,457 5,221 出版事業 2,400 +2.5% 938 2,135 研修事業 913 -- 497 1,000 合計 8,303 +19.9% 3,894 8,358 07.5期の会社発表業績見通しでは、06.5期実績と比較して大幅な増収増益の見通しとなっている。これは、教育事業での通信教育用TOEIC教材の販売と、eラーニング教材の売り上げ増加、会員数の拡大と、出版事業での「英辞郎3」の刊行を織り込んでいることによる。増収増益の見通しの根拠としては、納得感はある事項ではあるので、過大な見通しを計上しているという印象は無い。しかし、新コンテンツ・出版物に増収効果を依存していることから、発行時期の遅延等のリスクは当然ありえる。
06年7月時点の発行済み株式数は100千株、上場にあたっての公募が10千株、売り出し(売り出し元は親会社と会社関係者)が11千株、オーバーアロットメントによる売出しが2,500株予定されている。オーバーアロットメント分については、主幹事である野村證券を割当先とする第三者割当増資となる可能性がある。また、ストックオプション等の未行使残高が下表のように4,350株あり、上場後1年以内には行使可能となることから、全数を潜在株式と認識する。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、116,850株とした。 【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年11月 4,350株 4万円 07年12月〜09年12月 目論見書での想定発行価格は55千円とされており、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は約500百万円とされている。資金使途は、ソフトウエア等の設備投資に400百万円を充当し、残額約100百万円については、今後の事業展開に備えておくとのこと。 また、上場と同時に現在同社が保有している自己株式5千株についても、市中放出される。ベンチャーキャピタルの保有株式数は、株主名簿上では950株だけと、僅少なウエイトとなっている。 一方、ロックアップに関しては、親会社と会社関係者・法人等7名2社に対して付与されている。ロックアップの対象となる株式数は、対象者に第三者割当増資の売り出し元が含まれるため、オーバーアロットメントが第三者割当増資となった場合の最大値として、62,580株となる。ただし、発行価格の2倍以上での売却は可能。
当社ウエブサイトには投資家向け情報開示のページがすでに設置されている。現在掲載されているコンテンツは、財務ハイライト、上場関連資料、事業分野別営業概況となっている。事業分野別の営業概況は、個人向けにもわかり易く説明されており、秀逸な内容。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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