IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アテクト(4241 JASDAQ)IPO |
足元の業績は、譲り受けた事業の利益貢献があること、特別損失の計上が一巡したこと、当社製品を使用する電子機器業界の市況が好調なこと、の増収増益3点セットの効果によって、大幅に向上している。07.3期にも追い風要因が続くとみるかどうかによって、株価バリエーションは変化すると思われる。 06.3期実績EPS約120円に対して、06.3期がピークだとみれば業界平均PERを20倍として、想定公募価格並みの2,500円、今期業績が更に2割上振れするとみれば、3,000円の水準となる。
当社は樹脂特性と生体物質の制御をコア技術として、半導体保護資材事業と衛生検査器材事業を行っている。 半導体保護事業では、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ駆動用LSI、ICカード用LSIなどの情報電子機器部品の実装に用いられるTABテープやCOFテープなどのテープ部材の保護資材である、スペーサーテープの製造・販売を行っている。製品は原則として直接部品メーカーに販売しているが、アジアなどの海外企業に対しては商社を通じて販売している。 衛生検査器材事業では、使い捨てシャーレ・試験管・生培地、大腸菌検出用機器などのバイオ・食品・医薬品などの分野における衛生管理用品を製造・仕入れ・販売している。製品・商品は原則として食品メーカー、臨床検査会社、製薬会社、環境試験会社などの顧客に直接販売しているが、一部製品については、代理店を通じて販売している。
電子機器の販売が好調なことを背景として、05.3期、06.3期と足元では二期連続で大幅な増収増益となっている。当社の場合、半導体保護資材事業での特定の顧客先への販売ウエイトが高く、長瀬産業、MCS、新藤電子興行の上位3社に対する売上だけで、全体の売上高の55〜60%を占める状況にある。今後の当社の業績動向は、つまるところ、これら3社の業績次第となる。 05.3期は、半導体保護資材事業では、上期のデジタル家電の販売が好調であったことを受けて業績を拡大し、対前期比で+約39%の増収、衛生検査器材事業では、下記大腸菌等の検出用培地の製造・販売が寄与し、前期比+約9%の増収となった。 05.3期の当期純利益が経常利益と比較して小さくなっているのは、外部から譲り受けた大腸菌等の検出用培地に関する営業権を一括償却したことによるもの。 05.9中間期は、半導体保護資材部門で、PCモニター用液晶パネルの在庫調整が期中に終了したことで、出荷数が大幅に増加したほか、パネル出荷量に比例して、ドライバーメーカーやテープメーカーからの受注も順調に推移したことで、前年同期比+約24%となった。衛生検査器材事業でも、新製品の投入等によって、前年同期比+約10%の増収となった。 06.3期通期の業績も未監査で発表されており、下記のような特別損失が無いこと、電子機器の販売が好調なこと、譲渡を受けた事業が利益貢献していることから、大幅な増収増益なっている。 当社では過去から遊休不動産の整理を進めており、03.3期に約241百万円、04.3期に約138百万円の土地売却損を計上している。05.3期からは減損会計を早期適用して約12百万円の減損損失を計上している。更に未整理の不動産は存在するために減損損失の計上リスクはあるものの、過去から低収益不動産の整理を進めてきたことから、減損会計の適用を開始しても、逆に損失計上額は小さくて済んでいるという印象を受ける。
当社は05年10月に1:10の株式分割を実施し、06年5月時点の発行済み株式数は1,400千株(売買単位は100株)となっている。上場にあたっての公募が252千株、売り出しが148千株(売り出し元は会社関係者)、オーバーアロットメントによる売出しが60千株予定されており、オーバーアロットメント分については主幹事である大和証券SMBCを割当先とした第三者割り当て増資となる可能性がある。ストックオプションの未行使残高が下表のように133,500株存在し、全数が上場後1年以内に行使可能となることから、潜在株式とする。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、1,845.5千株とした。 【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年2月 5千株 750円 04年4月〜11年3月 04年2月 90千株 750円 06年2月〜14年2月 05年6月 43.5千株 1,000円 07年6月〜15年6月 目論見書での想定発行価格は2,500円とされており、この価格に基づく公募による当社手取り解散額は約617百万円とされている。資金使途は、約21百万円を06年5月に完成した製造設備資金の支払いに充当、約120百万円を設備投資の資金に充当、残額については借入金返済に充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式は、株主名簿上では326千株が判明した。発行済み株式数の2割弱のウエイトとなるが、ロックアップは付されていない模様であり、上場後の売り圧力となりうる。
当社ウエブサイトには、5月19日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場承認にあたっての挨拶文だけが掲載されている状態となっている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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