8944ランドビジネスIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ランドビジネス(8944 JASDAQ)IPO

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セクター:不動産業
成長性高く、人気化する可能性大だが、資本構造は脆弱
 当社業績は、基本的には販売用不動産の販売状況次第であり、手元に保有している販売在庫8物件をどの決算期に販売計上するかにかかってくる。1物件平均15億円とし、今下期に2物件販売すれば、年間売上高は約70億円、3物件販売すれば85億円の売上高となる。

 妥当な販売ペースを半期で2〜3物件とすると、当期利益では、8〜9億円が見込め、EPSは25千円となる。これまでの当社の成長性の実績と業種面での人気から高いPERがつくことが予想されるので、PER40倍で100万円、PER50倍で130万円程度といった水準もありえると想定する。
 ただし、当社の資本構造は脆弱なため、上場後即の増資が懸念材料である。

事業概要
不動産の開発、賃貸、売買事業
 当社グループは、当社及び連結子会社1社から構成されており、不動産に関わる開発、売買、賃貸、設計・施工監理、及びこれらに関する調査・企画、コンサルティング業務を行っている。
 事業分野別セグメントの概要は、表1の通り。

 連結子会社である潟Cンタープラネットは、現時点で従業員はおらず、オフィスビル・商業施設の2物件を保有して、賃貸管理・建物管理を行っている。今後は、3年後を目処として当社が行っているアセットマネジメント受託業務を、当子会社に移管する予定となっている。

【表1 事業分野セグメントの概要】
デザインクリエイティブ / 不動産所有者に対してノウハウを提供し、不動産の有効活用をサポートするコンサルティング事業と、設計監理、建築事業。
インカムマネジメント / 不動産の賃貸事業と、アセットマネジメント受託業務事業
グロースインベストメント / オフィスビル・商業施設などの既存物件を取得して、リフォーム・リニューアルを行う事業方式と、新規に用地を取得してオフィスビル・商業施設を提供する開発型の事業方式。
ニューデベロップメント / マンションでは「ラナイヘリテイジ」、戸建では「ハオス」シリーズを中心に、一般顧客向けの分譲及び投資家向けの一棟売りを展開。

所有不動産の一覧は表2の通りで、東京都心の千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区の5区に保有している物件が多い。また、販売用・仕掛り販売用の不動産を多数保有していることが特徴である。販売用不動産には賃貸物件が多く含まれているが、こうした短期的には資金回収出来ない物件と、未竣工・未稼働資産を保有していることが、後述する当社の財務面を圧迫する要因となっている。

 なお、保有している不動産等について、目論見書では、現時点での減損会計の適用可能性は無いとされている。

収支の状況
手元にある販売用不動産の販売状況次第で、売上高は大幅増の可能性も
 当社では03.9期までは、デザインクリエイティブ事業とインカムマネジメント事業が主要な事業であったが、不動産需要の増加を背景に、事業の転換を図り、グロースインベスト事業とニューデベロップメント事業の用地・既存オフィスビル等の物件の取得に注力した。

 04.9期には、区分所有していたオフィスビルを約18億円で、賃貸マンションを約12億円で販売したことによって、グロースインベストメント事業とニューデベロップメント事業の売上高が大きく増加した。

 05.3中間期においても、オフィスビルを約12億円で売却したほか、当社グループが出資する特別目的会社から資産売却による配当が約5億円発生したことによって、グロースインベストメント事業での売上が大きくなっている。

 こうした経緯によるセグメント別の利益状況が表3であり、1物件10億円単位の売却案件が発生することで、そのセグメントの売上が大きく増加する構造になっている。表2に示すように、販売用不動産等で、「販売在庫」は相当程度保有しているので、販売物件が枯れる心配は当面ないと思われるものの、大型物件の販売が発生するかどうかが、当社の期間損益には重大な影響を与える構造に変わりはなく、その点で、今後の業績動向も予想しにくくなっている。

保有している販売用不動産と、04.9期以降に販売した物件との価格が仮に同程度とし、年間に2物件を販売すれば、ほぼ04.9期並みの売上高(50億円規模)になる。今上期には既に1物件販売済みであり、仮に下期に2物件販売すれば、年間売上高は70億円となる。05.3月末時点で、手元には8物件の販売可能不動産を保有していることから、今後の販売状況によっては、大きく売上高が増加する可能性もある。

有利子負債残高〜足元で約140億円あり、上場後も、財務基盤は脆弱
 当社事業は、借入金等の有利子負債によって調達した資金で物件を取得し、その物件の売却代金を有利子負債の返済に充当するパターンでの事業サイクルとなっている。このため、事業が拡大するにつれ、有利子負債残高は増加しており、05年3月末時点での有利子負債残高は表4のように約140億円で、有利子負債依存度約80%、株主資本比率約8%と非常に財務体質が脆弱になっている。

 今回の上場にあたっての公募による資金調達での概算手取り額は約10億円(公募価格ベース)が見込まれているが、その使途は、不動産購入資金と建設資金に充当するとされており、有利子負債の返済に充当する予定は無い。従って上場後に、財務体質の改善を目的に、増資が実施される可能性を考慮する必要がある。(上場時の公募では価格を抑制せざるをえないため、上場後の時価発行増資のほうが会社にとって都合が良いという見方もできる。)

 また、当社グループの05年3月末時点での借入金のうち、15億円と約16億円について、財務制限条項が付いており、この条項に抵触した場合には、借入金を一括返済する義務が生じる。財務制限条項(トリガー)は以下の表の通りだが、現在の当社の経営状態から考えると、トリガーが発生する可能性は相当低いと考えられる。

【表5 借入金に関わる財務制限条項】
15億円
@ 株式公開後の単体期末の資本の部が、直前または株式公開直後(05.9月末)の資本の部の金額のいずれか高いほうの80%を下回らないこと。
A 株式公開後の単体のPLでの経常損益がマイナスとならないこと。

約16億円
@ 株式公開後の期末の資本の部が、04.9末の資本の部の金額の75%以上とすること。
A 株式公開後、期末の営業損益と経常損益がマイナスとならないこと。

株式の状況
ストックオプションによる希薄化は軽微
 当社は、05年5月に1:20の株式分割を実施し、05年6月時点での発行済み株式数は、30,980株となっている。今回の上場にあたっての公募が3,500株あるほか、ストックオプションとしての新株予約権の残高が1,340株あり、この分は表6のように、来年から行使可能となる。以上から、上場時点での想定発行済み株式数を、35,820株とした。

【表6 ストックオプションの未行使残高の状況】
決議日 対象株式数 行使価格  行使期間
04年9月  1,340株  3万円/株  06年9月〜11年9月

情報開示の状況
一定の開示水準が今後も期待できる
 当社HPには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在のところは、財務ハイライトとマネジメントメッセージしか見ることは出来ないが、ハコは既に作られていることから、今後も一定水準の情報開示が期待できる。


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