新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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企業の情報開示 >> 米国での投資家向け企業情報開示の動向
PSLRA法のセーフハーバー・ルールとレギュレーションFD


PSLRA法の免責条項(セーフハーバー・ルール)
PSLRA法とは
 1995年に承認された証券民事訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act)で、そのポイントは、企業が予測した将来情報が大きく間違ってしまうリスクを投資家に警告している限り、将来情報を提示する会社は証券訴訟から守られる、という点にある。

免責条項(セーフハーバー・ルール)の概要
 セーフハーバー規定で保護を受ける対象は、証券の発行者(企業)、発行者の為に行動する代理人(役員、従業員など)、発行者に依頼され、発行者の為に意見表明する外部審査人、証券の引受人、であり、これらの者が行った将来予測の表示に限定される。

 保護規定の内容は、企業が発信する将来情報が、’projection’、’estimation’、’forecast’等に基づいていることを明示し、将来予測であることを適切な注意喚起のコメントによって明記すれば責任を負わない、としている。

 また、この他にも、将来情報が合理的な投資家であれば投資判断の根拠とすべきでなく、重要ではないと判断される場合は、予測を表明したものに責任はない、等の規定がある。

セーフハーバー・ルールでカバーされない範囲
 株式の新規公開(IPO)の場合や、株式公開買い付け、上場廃止の場合には、免責条項で将来情報をカバーすることは出来ない。また、財務諸表もカバーされない。

将来情報に含まれる項目
 将来情報に含まれる項目としては、以下のものが代表的である。
・ 収益、利益、一株当り利益、設備投資、配当、資本構成、その他の財務項目についての予想値
・ 将来の事業に関する経営計画、目標
・ 会社の製品・サービスについての計画、目標
・ 将来の経済状況に関する記述
・ Management Discussion And Analysis(経営者による財務分析)に含まれる情報
・ 以上の内容の基礎となる前提条件

日本での状況
 日本においては、これと同様の法律や業界の自主規制はない。日本企業でこのセーフハーバー・ルールに留意しないといけない企業は、ADRを発行して取引所に上場又はNASDAQに登録している企業だけとなる。

レギュレーションFD
レギュレーションFDとは
 2000年8月に米国証券取引委員会(SEC)が採択した、公平開示規則(Regulation Fair Disclosure)。証券発行者(企業)、企業の経営幹部、IR担当者、広報担当者等がアナリストやファンド・マネージャーに対して一般に公表していない重要な情報を漏らすこと、つまり、選択的な情報開示を禁じたもの。

 また、重要情報に関する開示方法や、意図しない開示(「うっかり」開示)の場合には、速やかに開示さなければいけない、等の規定がある。

選択的に情報を受領できない者
 この規則は、発行者による市場のプロとの情報伝達、又は、発行者の有価証券の保有者が情報に基づいて取引することが理性的に予想される場合における有価証券保有者への情報伝達に限って適用される。

 選択的に情報を受領できないとされる対象者は、具体的には、証券会社と、アナリストを含むその関係者、投資顧問及び年金基金等機関投資家のファンド・マネージャー、投資会社(投資信託)である。一方、適用されない対象としては、弁護士・会計士・投資銀行の担当者や、受領した情報に関する守秘義務を負う者、格付会社、その他日常的なビジネス上の情報交換などが、例外とされている。

日本企業への適用
 この規則では、米国内のクローズドエンド型以外の投資会社、外国政府と、外国民間発行体が適用除外の対象とされている。外国民間発行体(Foreign Private Issuer)とは、1993年証券法の規則405条、1934年証券取引所法の規則3b-4で、以下の条件に合致さない全ての外国民間発行体を指す。

1. 発行済み議決権株式が50%を超えて、米国の居住者に、直接又はADR等の形で登録上保有されている。
2. 執行役員・取締役の過半数が米国の市民又は居住者である、又は、発行体の資産の50%以上が米国内にある、又は、発行体の事業が主として米国において経営されている。

 従って、日本国内の上場企業で、この規定に直接該当するケースはほとんどない。

モザイク情報の開示とアナリストの存在意義
 モザイク情報とは、それ単独では選択的情報開示の規制対象となる重要情報ではないが、それらの情報が幾つか組み合わさることによって、重要情報と同等の重要性を構成する可能性が高い情報を指す。これらは、「重要」な情報ではないため、原則的には選択的に開示されることも可能である。

 従って、未公開だが重要ではない情報を幾つか組み合わせることで、アナリストが独自の分析を行い、投資判断することについて、この規則は禁じているわけではない。むしろ、モザイク情報を基にどれだけ正確に重要情報を推測していくかに、アナリストの存在意義・アナリストのサービス価値が、かかっていると言える。

日本での状況
 日本においては、これと同様の法律や業界の自主規制はない。ただし、日本の証券市場・企業の信頼性の維持の観点から、留意すべきポイントであることには、間違いない。





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