新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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カネミツ(7208 大証二部)

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セクター:輸送用機器
株価要因としては上振れ・下振れ共に考えにくく、至って地味な上場となる予想
 売上高は毎期順調に増加しているが、利益面では原材料である鋼材価格の上昇や要員の増加等の利益圧迫要素があるために、05.3期には対前期比で経常減益となっている。今期も同様のコストアップ要素が継続するものと考えられるので、今期想定EPSは60円前後と考える。

 一方、業種としては人気化しにくく、更に大証二部への上場ということでの不人気リスクや一株当り(一単元ではなく)の金額の小ささが需給面でのネガティブ要素として存在する。このため、PERでは12倍程度、最大でも15倍程度と予想する。以上から、想定する株価レンジは700〜800円程度と考えられる。

事業概要
自動車・農業機械等向けの鋼板製部品の製造・販売
 当社グループは、当社及び連結子会社1社の計2社で構成されており、自動車・農業機械及び一般機械用の鋼板製プーリ(ベルト等を介して回転することによって動力を伝達する部品。「滑車」。)の設計・開発・製造及び販売を主な事業としている。

 当社の主力製品である鋼板製プーリは、自動車用エンジンにしようされるベルトの形状・断面によって5種類に区分され、自動車のエンジンのウォーターポンプ、クランクシャフト、オルタネータ、パワーステアリング、エアーコンプレッサ、テンションなどに装着されている。

 また、農業機械や一般機械への供給も行う他、プーリの開発で培われた塑性加工技術をエアバッグ用部品・トランスミッション用部品・ギア製品等に応用して、プーリ以外の自動車部品の開発・生産につなげている。

収支の状況
売上高は安定的に増加しているが、鋼材価格の上昇がネック
 05.3期は、売上高は過去のトレンドを踏襲して、安定的に伸びている。費用面では、鋼材価格の値上がりや、工場の新設・要員増の影響によって増加している。これによって、前04.3期と比較すると、売上高では増収となっているものの、経常利益段階では減益となっている。04.3期の当期利益が他の年次と比較して小さくなっているのは、減損会計の早期適用による特別損失の計上約373百万円によるもの。

 当社製品は海外(タイ)での販売が含まれているが、05.3期の売上高に占めるタイでの売上高ウエイトは約7%程度であり、全体業績に対して為替レート等の変動が与える影響は軽微。むしろ、当社グループの仕入れ高の約9割程度がJFEスチール製の冷間・熱間圧延鋼等となっており、JFEに対する依存度の高さのほうが、事業リスクといえる。

 今期以降も売上高では過去のトレンド並みと考えれば約5%程度の増加が見込めるが、費用面では鋼材価格の上昇等のネガティブ要素があるので、現段階で増益を想定することは難しい。

株式の状況
新株引受権付き社債があるが、希薄化効果は小
 当社の発行済み株式数は05年3月時点で4,314千株となっている。上場にあたっての公募が600千株予定されているほか、下表のように新株引受権付き社債の発行残高が205,479株相当分ある。当社債の行使価格は公募価格を下回っていることから全数を潜在株式と考え、以上を合計して、上場時点での想定発行済み株式数は5,119.479株とした。潜在株式による希薄化効果は5%程度であり、大きいものではない。

【表1 新株引受権付き社債の内容】
発行年月 対象株数 行使価格  償還期限
99年8月  205,479株  292円   目論見書からは不明

 目論見書での想定公募価格は600円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は、約314百万円とされている。資金使途は、全額設備資金に充当する予定。

 直近の第三者割当増資は、04年1月に実施されており、割当価格500円でベンチャーキャピタル等が引き受けている。ベンチャーキャピタルの保有株式は、株主名簿から判明できたもので約835千株あり、このうち150千株は売り出しにかかっている。また、全ての発行済み株式にはロックアップはかかっていない。従って、公募・売り出し後に市中に追加で供給される可能性のある株数は約685千株となる。公募・売り出し分と合計すると、約1,800千株が流動株となる。

情報開示の状況
投資家のためというよりもまず、自社のために積極開示をするべき
 当社ウエブサイトには、11月27日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社情報のコーナーがあるだけで、上場関連のニュースリリースも配信されていない状態。業種・業態として目立たない上に、スポットの当たりにくい大証二部上場であることを考えれば、もう少し自社から積極的に情報配信する努力をする必要があるだろう。この状態では、上場してしばらくすれば、出来高が激減してしまう可能性もあり、会社に好ましくない状況ともなりうるだろう。


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