新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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荏原ユージライト(4975 東証二部)

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セクター:化学
業績は安定しており、今期も増収増益を維持できそう
 売上高が過去3年間続けて増加しており、中間決算の状況をみると今期も更に対前期増収を継続できる進捗具合となっている。その上売上高営業利益率も毎期向上を続けており、地味な銘柄ながら、安定的な成長を継続する可能性もある。今期の想定EPSを半期実績の単純計算から370円と考え、化学業種の平均的なPER約25倍を適用すると、適正株価水準は約9,000円と想定できる。

 実際の上場時には、あまり人気化せずにこの水準まで騰がらない可能性があるので、安めの初値がついた場合には、逆にセカンダリーのチャンスも出てくると考えられる。

事業概要
めっき用薬品等の製造・販売事業
 当社の前身は、荏原インフィルコのユージライト部で、1957年に米国ジ・ユージライト・コーポレーション(現エンソン)と技術援助契約を締結し、全自動めっき装置と関連めっき薬品に関して、日本で製造販売を開始した。

 当社グループは当社と連結子会社1社で構成され、めっきを中心とする表面処理薬品と装置を自動車・建材・水洗金具・電子部品・半導体等の分野に提供する表面処理メーカーグループである。中国・上海市には荏原ユージライト(上海)貿易有限公司を設立し、中国市場でも販売を行っている。

 当社グループの事業セグメントは、表面処理用の「薬品関連資材事業」と「装置産業」に区分される。
 薬品関連資材事業では、表面処理薬品の製造販売と関連資材の仕入れ販売を行っている。表面処理薬品には、自動車部品や水洗金具等への装飾を目的としためっき用薬品や、建築部品等への防錆を目的としためっき用薬品等を主要製品とする「基幹分野向け表面処理薬品」と、エレクトロニクス業界で、プリント基板や電子部品等を製造する工程で使用されるめっき用薬品を主要製品とする「電子分野向け表面処理薬品」がある。関連資材の主な商品は、荏原電産の「銅のエッチング(粗化)薬品」。

【表1 販売市場ごとのめっき対象部品】
事業の分類(対象市場)  めっき対象部品
基幹分野向け(自動車産業、水洗金具業界、建築業界)  フロントグリル、ドアハンドル等、給水機器、排水栓等、ボルト・ナット等
電子分野向け(エレクトロニクス)  プリント配線板、チップ部品、コネクター等

 装置産業では、全自動表面処理装置、ろ過機や洗浄装置など表面処理装置の付帯機器、自動分析管理装置の製造販売を行っている。

収支の状況
安定的に売上高は増加、利益率は毎期向上している
 05.3期は、エレクトロニクス業界で高密度・微細化への対応技術の採用によるプリント配線板市場の拡大、鉛フリー化の進展によるすず及びすず合金めっき薬品の需要増加、自動車業界の好調と国内自動車部品メーカーの中国進出によってめっき装置の新設や更新需要に採用されたことから、前期と比較して約15%の増収を達成した。

 事業セグメント別の利益率の状況が表2だが、主力である薬品関連資材事業での売上高が順調に毎期増加している上に、利益率も改善傾向にある。上記のような需要サイドでの特殊な増加要因に恵まれた面もあるだろうが、事業自体の安定的な成長性と利益率の高さ・改善傾向は、投資家にとっては安心材料となる。
 なお、当社グループでは海外での事業が含まれているが、全売上高に占める外貨建て売上高のウエイトは5〜7%程度であり、為替リスクについては特に考慮する必要はないだろう。

株式の状況
ストックオプションの希薄化効果は小、大株主にはロックアップ有り
 当社は05年8月に1:10の株式分割を実施し、発行済み株式数は1,342千株となっている。上場にあたっての公募が168千株予定されている他、オーバーアロットメント57千株について、野村證券を割当先とした第三者割当増資が実施される可能性がある。更に、表3に示すようにストックオプションの未行使残高が60,600株存在し、上場から1年以内に行使可能となる。このストックオプションを潜在株式として認識し、上場時点での想定発行済み株式数は、1,627.6千株とした。ストックオプションによる既存株式の希薄化効果は大きいものではない。

【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】
総会決議 対象株数 行使価格  行使期間
04年6月  60,600株  1,500円  06年7月〜14年6月

 主要株主(エフビーエフ2000、荏原製作所275千株)には180日間のロックアップがかけられている。エフビーエフの持ち株427千株のうち57千株は売り出しにかかっているので、実際のロックアップ対象数は、645千株となる。また、発行価格の2倍以上で主幹事証券を通じて市場売却することは可能とするオプションがロックアップには付与されている。

 目論見書での想定公募価格は5,500円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は約848百万円とされている。資金使途は、借入金の返済に300百万円、07.3期以降の研究開発設備の更新・新規設備投資資金に残額約548百万円を充当する予定。第三者割当増資による手取り金についても、設備投資資金に充当される予定。

 当社は荏原製作所の関連会社ではあるが、既に同社の保有株式ウエイトは公募・上場前の段階で約20%まで低下している。

情報開示の状況
もう少し頑張ってもらえれば、大変ありがたい
 当社ウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、事業の内容紹介と、財務ハイライト程度となっている。あとは、マネジメントメッセージと上場関連の書類・ニュースリリースを掲載して欲しいところ。


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