新規上場の目論見書に基づいた、IPO=新規公開株式の銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research
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テクノマセマティカル(3787 マザーズ)

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セクター:情報・通信業
年次ごとの業績変動が大きく、現在の利益水準を維持・成長できるかは不透明
 携帯電話等、当社製品の組み込まれた製品の販売状況や、こうした電子機器等に当社製品が採用されるかどうかに、業績が大きく左右される傾向にある。05.9中間期は全体としては好調に推移しており、下期に利益が偏重して計上される傾向にあることから、06.3期のEPSは、過年度の実績を考慮して、半期の進捗ペース以上の5,000円程度にはなると考えられる。

 一方で、想定公募価格帯は30万円とされており、仮にEPSを5,000円とすると、公募価格のPERは約60倍と相当高い水準にあると考えられる。足元の業績動向を下にすれば順当かもしれないが、業績の年次変動が大きい中では、この利益水準を今後も維持できる保証はなく、やや公募価格には割高感があると考えられる。ロックアップのかかっていないVC保有株式が多いことも、懸念材料である。

事業概要
数学的手法を用いた画像・音声処理製品の製造・販売
 当社は数学的手法に基づいて独自に開発した革新的アルゴリズム「DMNA」を用い、国際標準規格に基づいた画像・音声・音響処理を行うためのソフトウエア製品・ハードウエア製品の開発・販売、当社製品を搭載する機器製品又は半導体製品の計画立案・設計等を支援する顧客コンサルティングを行っている。DMNAは、因数分解・折り返し演算・階層化処理等の数学的処理を用いて、演算の負荷を劇的に削減する新アルゴリズムで、これを用いた製品は、低消費電力・高画質・高音質等の特徴を持つ。標準的に使われている画像処理ソフトウエアに、DMNAを適用した場合と、DMNAを適用しなかった場合の演算量を比較すると、DMNAを適用することで、演算量を約40%削減する等の効果がある。

 主要な事業は、携帯電話やデジタルスチルカメラ等における組み込みシステムで動作するソフトウエアライセンス事業と、これらの電子機器に使われる大規模半導体向けにIPと呼ばれる設計データを提供するハードウエアライセンス事業に区分される。DMNAの応用範囲・適用した製品は以下の通り。

【表1 DMNAの主な適用製品】
情報携帯端末: モバイル情報機器、携帯電話、動画像配信、デジタルTV
産業用装置: 放送機器、音楽配信、映像配信、カーナビゲーション
ニューメディア: 動画像配信ディスク、ポータブル音楽プレイヤー
画像・音声メディア機器: デジタルスチルカメラ、プリンター、セットトップボックス
メディア無線端末: FAX、無線端末
セキュリティシステム: 電子データ暗号化等

収支の状況
製品販売状況によって大きく変動する可能性がある
 05.3期には、ソフトウエアライセンス事業では、MPEG-4動画機能ソフトウエアがカメラ付き携帯電話に継続して採用されており、累積出荷台数が400万台を超える状況となっている。これによって、当事業部門での売上高は前期比+47.6%の増加となった。一方、ハードウエアライセンス事業では、MPRG-4動画機能ハードウエアIPが携帯電話用LSIを開発している半導体メーカーに採用されたものの、前期に採用されたデジタルカメラ用LSI向けハードウエアが不振であったために、前期比-72.2%の大幅な売上げ減となった。

 05.9中間期には、両部門の販売実績金額は表2のように逆転しており、その時々で採用される製品の状況によって、売上高が大きく変動する可能性があることを示している。

 当社の販売先である大手電機メーカーは3月決算の会社が多いことから、下期偏重の予算執行となる傾向がある。当社製品を顧客が購入する場合にも、こうした下期偏重の傾向が現れている。05.3期実績での売上高の上期・下期の比率は、38:62となっている。

株式の状況
ストックオプションの行使可能時期は先だが、VC保有株は需給悪化材料
 当社は04年9月に1:3の株式分割を実施し、発行済み株式数は19,200株となっている。上場にあたっての公募が2,000株予定されている。また、下表に示すストックオプションの未行使残高があるが、行使可能となるまでに期間があることから、潜在株式としては認識しない。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、21,700株とした。

【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】
総会決議  対象株数  行使価格  行使期間
04年9月    1,660株    8万円   06年10月〜13年9月
05年6月      49株    8万円   07年7月〜14年6月
合計 1,709株

 筆頭株主の保有分には180日間のロックアップがかけられている。このロックアップは、発行価格の2倍以上で主幹事証券会社を通じて市場売却することは可能とするオプション付きとなっている。筆頭株主の保有株は10,800株だが、このうち300株は売り出し対象となっているため、ロックアップの対象となるのは、10,500株となる。全株式のうち約半数がロックアップとなる。また、ベンチャーキャピタルの保有分が6,400株あり、このうち1,700株は売り出し対象となっている。このVC保有分はロックアップ対象となっていない。発行済み株式数の約3割を占める無視できないウエイトであり、上場後の需給悪化材料となりうる。

 目論見書での想定公募価格は30万円で、これに基づく公募による当社手取り概算額は、約683百万円とされている。資金使途は、当社オリジナルのLSI製品の開発研究、試作品の製作、及び量産のための委託加工費等の研究開発資金として600百万円を充当し、残額を運転資金とする予定。

情報開示の状況
開示水準は一定のレベルにはある
 当社ウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメントメッセージと財務ハイライト、決算広告となっている。マネジメントメッセージは、他社に類をみないほど短く簡潔なものとなっている。メッセージが長ければ良いというものではないが、当社の場合、あまりに簡潔なメッセージであるため、開示に対する姿勢がどのようなものなのか、推測不能。


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 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。
 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。
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