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債券購入の手引き 5 >> 個人向け社債の法人向け債との違い |
例えば、10年満期の社債を格付けAAAの企業が発行する場合には、10年物の国債金利が1.3%として、AAAのスプレッドが10bp(ベーシスポイント、1bp=0.01%)とすれば、1.3%+0.1%=1.4% と金利が決定されます。 これに対して、個人向けの場合は、基本的に対国債スプレッド方式は採用しません。個人の場合には、国債の金利水準がベンチマークとはなっていないためです。むしろ、銀行の定期預金、郵便局の定期貯金との金利水準差が、社債の需給に影響を与えます。従って、こうした預金金利との水準差を勘案して、個人向け社債の金利は設定されています。 数年前には、こうした金利決定プロセスの違いから、個人向け債のほうが法人向けよりも金利が高いケースもありましたが、最近では銀行の預金金利が極端に低水準化したために、個人向け社債の金利が低くなる形で、法人向け債に対してサヤ寄せをしてきました。
例えば、同じ100億円を企業が調達することを前提とした場合、個人向けであれば、100万円単位としても、1万人に売る必要があるのに対して、法人向けの場合は100人に売ってしまえば完売です。この分、販売にかかるコストが変わってきます。 更に、その後の利払いや元本償還についての管理コストも人数比例で変わってきます。つまり、法人向けのほうが販売・管理コストが安く済みます。このため、個人向けの社債は、多くの場合コストが高い分だけ、金利がディスカウントされる傾向にあります。 ただし、個人向け社債の発行目的は、必ずしも資金調達だけではないため、他の目的でコスト増分が回収できると発行体が考えれば、金利から販売・管理コストを控除しない金利設定になるケースもあります。
それでも個人向けに社債を発行するケースがあるのは、資金調達以外の目的があるからです。 資金調達以外の目的としては、主に「自社ファンを増やす」ことがあげられます。他の資産運用の手段よりも、若干利回りの良い金融商品を提供することで、自社ファンの顧客を増やし、囲い込みをすることが目的となります。 レアケースとしては、財務内容の悪い企業の場合、法人向けに社債発行しようとすると、格付けが低いことから、金利が高くなります。これを回避するために、個人向け社債の金利が法人向けと比較すると格付けにそれほど敏感ではない特性があることを利用して、個人向け社債を発行することがあります。つまり、低格付け会社の場合には、法人向けよりも低い金利で資金調達をすることが可能なので、個人向けに敢えて発行することがあります。
個人向けの場合には、そもそも途中換金するケースが少ないために、マーケットが形成されないわけですが、遺産分割等で、やむをえず換金の必要性が発生した場合にも、売り先が見つからないことが、よくあります。 個人向け国債の場合には、これを国が買い取ることで、流動性を担保しているのですが、一般社債の場合には、こうした救済措置はありませんので、注意が必要です。 |
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