IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
日本郵政(6178 東証)IPO |
自己株式の取得計画は評価できるものの、想定公募価格以上の評価は難しい グループ事業全般に関して、新規事業展開に法的制限がかけられている部分が多く、足枷になっている。更に、郵便事業はeメールや宅配便、ゆうちょ銀行・かんぽ生命も同業他社との競合があり、将来的な事業展望は決して明るいとは言えない。 16.3期業績予想でのEPSに基づく、想定されている公募価格のPERは約16倍となる。現時点での将来性を考慮すると、この水準以上に評価することは難しい。日本郵政に関しては、自己株式の取得予定がある点で、今年度下半期の株式需給に改善効果が見込める点は明るい材料か。 連結データ(10億円、肩は対前期比(%))
日本郵政グループは、当社・日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険を主な事業主体として、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等の事業を展開している。 郵便事業では、郵便サービスを全国一律の料金で提供し、国内郵便に加え、万国郵便条約などの条約・国際取り決めに基づく国際郵便(通常・小包・EMS)を提供している。 物流事業では、物流サービスとして、宅配便(ゆうパック等)及びメール便(ゆうメール等)の運送業務を行っており、送達日数の短縮、チルド・冷凍荷物の対応、配送の小口化など、e多様な顧客ニーズに応えたサービスを提供している。 金融窓口事業では、日本郵便において全国に設置した直営の郵便局(15年6月末現在20,184局)及び業務を委託した個人又は法人が運営する簡易郵便局(同4,281局)において郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務等、保険窓口業務等、物販事業等を行っている他、不動産事業、提携金融サービスを行っている。
ストックオプションの未行使残高はなく、ベンチャーキャピタルからの出資もない。政府が保有する日本郵政の株式については、郵政民営化法により、政府は、保有義務のある3分の1超の株式を除き、できるだけ早期に処分することとされている。 従来からの株主=政府に対しては当面はロックアップが有効に機能することになるが、ロックアップ期間満了後は、政府保有株式の追加売却リスクが相当高いことを覚悟する必要がある。 なお、上場後期末までに約4.7億株程度の自己株式の取得を行う予定があり、この点は評価できる。 A. 発行済み株式数 4,500,000千株(単元100株、15.8に1:30株式分割後) B. 公募 0株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 495,000千株(売出し元は財務大臣(国))、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 4,500百万株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報:財務大臣に対して180日間。対象株数は4,500百万株。 目論見書での日本郵政の想定発行価格は1,350円とされている。 |
■16.3期業績予想 郵便・国内物流事業では、郵便物について、インターネットの普及等による減少傾向は続いており、一時的なマイナンバー関連の配送等による差出増があるものの、企業差出の各種請求書のWeb 化の進展等により、内国郵便物は対前期比マイナス2%の減少の見込み。 ゆうパック・ゆうメールについては、特にメール便市場において見られていたDM 市場の冷え込みが一巡すると見込み、成長著しい通販市場・e コマース市場を中心に積極的な営業活動を展開するとともに、オペレーション基盤の整備・受取利便性の向上等の取り組みにより、ゆうパックで対前期比+10%増、ゆうメールで同+7%の増加の見込み。 以上の結果、経常収益は対前期比+0.5%の微増収、セグメント利益は同+175%の増益の見通し。 国際物流事業では、トール社において、e コマース顧客の成長、アジア地域のグローバルフォワーディング市場の安定的な成長、豪州・ニュージーランド地域における国内フォワーディングの需要増等を取り込むことによる新規顧客開拓や豪ドル安の影響等を見込む一方、中国経済の減速や資源価格の下落等による既存顧客からの収益減等の影響を織り込み、営業収益は対前期比+8%の増収の見通し。 金融窓口事業では、銀行窓口業務及び保険窓口業務を始めとする金融サービスについては、委託元であるゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険と連携した研修を通じて社員の営業力を強化し、近年の傾向を踏まえ、金融預かり資産重視の営業スタイルの浸透や、お客さまニーズに対応した商品開発・高齢者サービスの充実等による養老・終身保険を中心とした新契約拡大を通じて、総貯金純増額、生命保険新契約保険料の増加に取り組む予定。 銀行受託業務の手数料は、貯金残高の増加や投信販売額の増加に伴う手数料増等を踏まえ、対前期比+0.4%の微増収の見通し。保険受託業務の手数料は、新契約保険料の増加に伴う手数料増等を踏まえ、同+5%の増収の見込み。 更に、物販事業については、他社との提携等により、商品の拡充・開発を行うとともに、営業チャネルの多様化を推進すること、また不動産事業については、JPタワー、JPタワー名古屋、大宮JPビルディング等の賃貸ビル事業、住宅事業及び駐車場事業を推進することにより、事業の大半を占める日本郵便の三事業受託業務以外の営業収益は対前期比+34%の増収の見通し。 一方、日本郵便の金融窓口事業における営業費用は、サービス提供環境の整備のため、老朽化した郵便局舎等の建物、設備の改修による増や業務用機器類の更改等実施に伴う減価償却費の増加等により、対前期比+4%の増加を織り込んだ結果、経常収益は対前期比+2%の増収となるものの、セグメント利益では同マイナス39%の減益の見通し。 銀行業では資金収支等について、過去に投資した高利回りの資産が償還され、低利回りの資産に順次置き換わっていく影響から、ベース・ポートフォリオの資金収支等が対前期比マイナス20%の減収となること等により、資金収支等全体では対前期比マイナス9%の減収に見通し。 役務取引等収支については、コンサルティング営業人材の育成・増員等を進め、投資信託の販売額は対前期比+11%の増収を見込むものの、セグメント利益は同マイナス19%の減益の見通し。 生命保険業では、新契約については、学資保険による若年層の開拓、引受範囲拡大等による既存顧客層の深掘り、加入年齢範囲拡大による高齢者層の開拓等に努め、養老・終身保険を中心に新契約月額保険料の増加を見込む。 一方、保険契約が満期を迎えること等から保有契約件数が減少すること等により、保険料等収入は減少を見込み、経常収益は対前期比マイナス6%の減収、セグメント利益は同マイナス29%の減益の見通し。
日本郵政のウエブサイトには、9月16日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。財務状況や決算公告日本郵政グループ中期経営計画等の開示は従来から行われている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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