IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
デクセリアルズ(4980 東証)IPO |
目新しい点もないが、課題点も見当たらない 光学材料を中心とした化学メーカーで、足元の業績は堅調に伸びている。16.3期業績予想でのEPSに基づく、想定されている公募価格のPERは約15倍となる。 業績面からは妥当な水準になっているものとみられるが、昨今の円高・好況を背景とした業績予想である点には、特に長期保有の観点からは注意が必要と思われる。 連結データ(肩は対前期比(%))
デクセリアルズグループは当社デクセリアルズと子会社11社から構成されており、光学材料、電子材料、接合材料等の製造・販売を主要な事業としている。 光学材料部品事業は、光学フィルム、光学樹脂材料、光学ソリューションの3カテゴリーに区分される。主にスマートフォン、タブレットPC、パソコン向けの製品であり、ディスプレイの需要に対応している。全て顧客仕様に合わせてカスタマイズした上で、液晶パネルメーカー及びセットメーカー等に販売している。 同事業の主な製品・ソリューションの内容は以下の通り。 ■反射防止フィルム: 液晶パネルの表面に貼り付けることで外光の反射を低減し、パネルの視認性を向上させる機能を持つフィルム。 ■光ディスク用紫外線硬化型樹脂: DVD, BD等の光ディスク用の表面保護のためのコーティング剤・接着剤 ■光学弾性樹脂: フラットパネルディスプレイでディスプレイモジュールとカバーガラスの貼り合わせに使われるアクリル樹脂を主原料とした透明な樹脂状の接着剤 ■光学ソリューション: 中国における当社光学材料製品の採用拡大を目的とした、主にスマートフォン・電子リーダー・デジタルカメラ向けの光学モジュールの製造 電子材料部品事業は、接合関連材料、異方性導電膜、リチウムイオン電池2次保護素子、マイクロデバイスの4カテゴリーとなる。異方性導電膜は、スマートフォン、タブレットPC等の小型化、薄型化、狭額縁化、軽量化に寄与している。 同事業の主な製品・ソリューションの内容は以下の通り。 ■接合関連材料: 半導体・通信・車載機器向けの粘着テープ等の機能性接合材料 ■異方性導電膜: ガラス・プリント基板に電子部品を接続する、導通と絶縁の機能を兼ね備えた接着フィルム ■リチウムイオン電池2次保護素子: リチウムイオン2次電池を過電圧や過電流から保護するためのヒューズ ■マイクロデバイス: 主にプロジェクター向けの無機偏光板・無機波長板 |
■16.3期業績予想 光学材料部品セグメントでは、光学ソリューションカテゴリーで、前期にタッチパネルの部材仕入れから製造・販売までを行う事業から、顧客であるディスプレイメーカーのパネル貼り合わせ工程のソリューション提供を軸とした事業へとビジネスモデルを転換しており、当期は大幅な増収を見込んでいる。 光学樹脂材料カテゴリーでは、前期から売上貢献の始まった光学弾性樹脂の新製品がタブレットPC及びスマートフォンでの採用モデル数が増加すること等によって、売上高が増加する見通し。以上から、同セグメントの売上高は対前期比+約25%の増収の見通し。 電子材料部品セグメントでは、異方性導電膜カテゴリーにおいて、ディスプレイ向けの既存製品の堅調な販売に加えて、新製品の寄与及びカメラモジュール等のディスプレイ以外の用途向け売上の拡大により、対前期比+約5%の増収となる見通し。 以上の結果、全体の売上高は対前期比+15.4%の増収、営業利益・経常利益では同+20%前後の増益となる見通し。当期純利益は前期に税負担の軽減項目が発生したことの反動により、減益となる見通し。
ストックオプションの未行使残高があり、ボリュームは大きいものではないが、全数が上場直後から行使可能になるとみられる。ベンチャーキャピタル等からの出資があるが、ロックアップ対象となっている。その他ロックアップ対象となっていない大口株主に対しても保有確約の予定があり、当面の株式需給には特段の課題はないものとみられる。 A. 発行済み株式数 63,000千株(単元100株、15.5に1:100株式分割後) B. 公募 0株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 49,363千株(売出し元は金融機関、ベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント 4,686千株 D. ストックオプション等の残高総数 2,011,600株 E. うち潜在株式に算入する数 2,011,600株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 65,011,600株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,970千株 既存株主へのロックアップ情報:投資銀行・ベンチャーキャピタル9法人等と会社関係者2名に対して180日間。対象株数は63,292,200株 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 13年3月 385,200株 500円 15年3月〜23年3月 14年4月 1,446,400株 580円 16年4月〜24年4月 14年1月 180,000株 840円 16年11月〜24年11月 目論見書でのデクセリアルズの想定発行価格は1,570円とされている。
デクセリアルズのウエブサイトには、6月27日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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