IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ヘリオス(4593 東証マザーズ)IPO |
個人投資家の誰でもがリスクテイクできる案件ではないとみられる 公募による資金吸収額予定が約140億円超と、創薬ベンチャーではかなり規模の大きいIPO案件となる。研究途上の製品は商品化されるかどうかの見極めが現時点では極めて困難であり、特に受け取る情報量が少ない個人投資家にとっては、投資の是非の判断を行うことが事実上不可能な案件とみられる。 研究開発の初期段階にある創薬ベンチャーでは、当該企業と親密な情報連携をとることが出来る機関投資家が開発資金を負担するのが、本来の筋ではないかと思われる。現時点でのIPOは一般の投資家にとって非常にリスクが大きい。 個別データ(肩は対前期比(%))
ヘリオスは、化学物質の合成によって医薬品を作製する従来型の化合物医薬品(低分子医薬品)分野に加え、中核的な事業領域と位置付けているiPS細胞に関連する技術を活用した再生医療等製品(iPSC再生医薬品)分野において、医薬品の研究開発を行っている。 化合物医薬品分野では、九州大学の研究グループが発見したBBG250という染色性の高い色素を主成分とした眼科手術補助剤を、産学連携機構九州からの独占的ライセンスに基づき開発している。 ヘリオスは、上記の眼科手術補助剤に関する日本以外の全世界向けの独占的なサブライセンスをDutch Ophthalmic Research Center International B.V. (DORC社)に付与しており、DORC社は、EU加盟国において、EU加盟国における安全規格に適合しているCEマーキング適合製品として、この眼科手術補助剤を製造・販売している。 日本国内については、わかもと製薬に内境界膜を含む網膜等、後眼部についての独占的サブライセンスを付与しており、わかもと製薬が製造販売承認の取得に向けて開発を進めている。 欧州におけるサブライセンス先であるDORC社は、既にBBG250を使用した眼科手術補助剤を製造・販売しており、ヘリオスは、この売上に対してロイヤルティ収入を受け取っている。また、欧州以外の地域においてもサブライセンス先が開発を進めており、そのうち日本以外の地域においてはDORC社から承認を取得した後にロイヤルティ収入等を、日本においてはわかもと製薬からマイルストン収入及び承認を取得した後に製品の販売に応じた収入を得る計画となっている。 iPSC再生医薬品は、iPS細胞を分化誘導して作製した健康な細胞を移植することによって、高齢化などにより機能不全に陥った細胞等を置換して機能を回復することを目的としている。 ヘリオスでは、理化学研究所(理研)が中心となって考案したiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞(RPE細胞)への分化誘導方法等に関する知見を基にして開発したヘリオス独自のノウハウを用いて、iPS細胞から分化誘導したRPE細胞の効率的な培養方法の確立に成功した。そこで、ヘリオスは、iPSC再生医薬品として製剤化されたRPE細胞を使って、根本的な治療法が確立されていない加齢黄斑変性の新たな治療法を開発すべく、より安全かつ効率的な生産方法の確立や治験に向けた準備を進めている。 国内では、共同開発先である大日本住友製薬からマイルストン収入を得るとともに同社による開発費用の負担を得る。また、ヘリオスは、大日本住友製薬との合弁会社であるサイレジェンに製造及び販売促進業務を委託し、サイレジェンに対してこれらの委託費用を支払う一方で、サイレジェンのヘリオスに対する製品売上に対してロイヤルティ収入を得るとともに、サイレジェンから供給を受けたRPE細胞を医療機関に販売することにより製品の販売収入を得る計画。 |
■14.12期実績 当期には、大日本住友製薬と共に眼疾患領域におけるiPSC再生医薬品の将来的な製造及び販売促進を行うための合弁会社として、サイレジェンを設立した。また、これに伴い、大日本住友製薬よりマイルストン収入を受領し売上に計上している。 化合物医薬品分野においては、BBG250を主成分とする眼科手術補助剤に関し、前期末にアキュメンより事業譲渡を受けたことにより、ロイヤルティ収入を当期より売上に計上している。 ■15.12期業績予想 売上高では、欧州での眼科手術補助剤の売上に係るロイヤリティ収入と、ニコンの再生医療事業に関するコンサルティング収入を見込んでいる。前期には大日本住友製薬からのマイルストン収入を計上したものの、当期はマイルストン収入の予定が無いため、売上高は対前期比マイナス74%の減収の見通し。 売上原価に上記眼科手術補助剤のロイヤリティの支出を見込み、研究開発費が前期と比較して大幅に増加することを見込み、前期以上の営業損失・経常損失を計上する見通し。
ストックオプションの未行使残高が大量にあるものの、行使可能期間までしばらくの猶予があるため、潜在株式には算入していない。ベンチャーキャピタルからの出資はあるものの多くは無く、ロックアップの対象ともなっている。当面の株式需給にえいきょうを与える項目は無いものとみられる。 A. 発行済み株式数 33,677千株(単元100株、14.12に1:100株式分割後) B. 公募 10,100千株、増資によるオーバーアロットメント 1,515千株 C. 売出し 0株、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 3,614,900株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 45,292千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 807千株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者3名に対して90日間。それ以外の会社関係者1名とベンチャーキャピタル他法人10社に対して90日間、但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は約34,458千株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 12年12月 1,421,900株 100円 16年1月〜25年1月 14年5月 1,243,000株 1,000円 16年7月〜24年6月 14年5月 750,000株 1,000円 16年7月〜24年6月 14年10月 40,000株 1,000円 16年11月〜24年10月 14年10月 160,000株 1,000円 16年11月〜24年10月 目論見書でのヘリオスの想定発行価格は1,550円で、この価格に基づく公募によるヘリオスの手取り概算額は約14,348百万円とされている。別途予定されている第三者割当増資の手取り概算額限2,160百万円と合わせた資金使途は、研究開発費及び設備資金に充当する予定。 具体的には、日本における加齢黄斑変性を適応症とするiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植法の研究開発費に2,431百万円、欧米における加齢黄斑変性を適応症とするiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植法の研究開発費に12,529百万円、日本におけるITインフラ等及び研究設備への設備投資に95百万円、新規シーズの獲得とライセンス取得・維持その他の研究開発費に1,451百万円を充当する予定。
ヘリオスのウエブサイトには5月14日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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