IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
OATアグリオ(4979 東証二部)IPO |
地味だが成長性は高い一方、公募価格には既に織り込み済みか 農業・農薬関連の事業である点、東証二部への上場を予定している点から派手さはみられないが、足元の業績の伸びは非常に高い。14.12期業績予想でのEPSに基づく想定されている公募価格のPERは約17倍となる。 現時点での成長性の高さは既に公募価格に一定水準で織り込まれているとみられる。現時点でこの水準以上に評価する材料は見当たらない。 連結データ(肩は対前期比(%))
OATアグリオは前身である大塚化学薬品が農薬の製造販売を開始したことで、事業をスタート、その後OATアグリオ経営陣がベンチャーキャピタルの支援を得てMBOを実行し、現在に至る。 OATアグリオグループは、当社OATアグリオと連結子会社2社と非連結子会社3社から構成されており、農薬・肥料の研究開発、栽培技術の探求、製造及び国内外での販売を主たる事業としている。OATアグリオグループは、防除技術と施肥灌水技術、バイオスティミュラントの3技術ごとにサービスを提供している。 防除技術では、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、植物成長調整剤等、農薬の研究開発と製造を行い、全農など商社やメーカー向けに販売を行っている。 販売体制は、国内は全国7ヶ所の支店・営業所により新規顧客獲得・販路拡大を行っている。海外向けは、パキスタンに販売会社を設立したほか、タイ・カンボジアを中心に、人口増加率の高く今後の成長が見込まれるアジア地域への販売を強化している。 施肥灌水技術では、施設園芸農家向けに養液土耕栽培システムと肥料の販売を行っている。養液土耕栽培システムは、養水分を正確に作物の株元に供給できるシステムで、作物の生育ステージに合わせて水と肥料の正確な施用を自動化することで、農作物の収穫量向上に貢献するもの。現在、全国2,800軒の農家に導入されている。導入されている作物は、トマト、いちご、きゅうり、ピーマンなど。 バイオスティミュラントでは、植物本来の免疫力を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫体制と成長促進を促す農薬の提供を行っている。 |
■13.12期実績 防除技術分野では、新規殺菌剤を上市し好調に推移したこと等によって、売上高は対前期比+6.1%の増収となった。 施肥灌水技術分野では、主力の粉体肥料の品質を改善し、生産者が使用しやすい形状にリニューアルした肥料の販売を開始した。また、東北地方の震災復興の一環として、施設園芸や植物工場が新設されており、OATアグリオの水耕栽培肥料が多数導入された。この結果、同分野の売上高は、対前期比+2.2%の増収となった。 バイオスティミュラント分野では、ブラジルを中心とした南米や東欧を中心とした欧州において出荷が好調に推移し、同分野の売上高は対前期比+23.0%の増収となった。 以上の結果、グループ全体の売上高は対前期比+5.9%の増収となり、営業利益は同+39.8%、経常利益で同+53.0%の増益となった。
ベンチャーキャピタルからの出資がある。MBOの当事者であった関係で高いシェアを持っているものの、ロックアップの対象となっている。 ストックオプションの未行使残高もあり、こちらは発行済株式数の1割程度を占めている。時価総額を判断基準とする行使制限がついているが、現状の株式数ベースで株価2,890円程度が基準となり、行使制限の発動可能性は高いものではないとみられる。 A. 発行済み株式数 2,768千株(単元100株、13.11に1:100株式分割後) B. 公募 100千株(自己株式)、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 700千株(売出し元はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント 120千株 D. ストックオプション等の残高総数 280,000株 E. うち潜在株式に算入する数 280,000株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 3,048千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 1,437,700株 既存株主へのロックアップ情報:ベンチャーキャピタル1組合と法人13社、会社関係者21名に対して180日間。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 13年8月 280,000株 1,300円 13年8月〜28年8月 *上場後3年以内の時価総額が一度でも80億円を下回った場合は1/2の行使制限、90億円を下回った場合は3/4の行使制限(1/4行使不可) 目論見書でのOATアグリオの想定発行価格は4,200円で、この価格に基づく公募によるOATアグリオの手取り概算額は約414百万円とされている。 資金使途は、設備投資資金に370百万円、運転資金に44百万円を充当する予定。設備投資の内訳は、鳴門工場の生産効率化を図るため、ミキサーやタンク等の肥料製品生産設備の更新投資に50百万円、肥料製品生産設備の搬入口の変更等の改善投資に50百万円、農薬製品の製剤試作設備に30百万円を充当する予定。 また、新規事業として食品残渣などの未利用資源を活用した有機肥料開発のため、亜臨界実験装置の設備投資に240百万円を充当する予定。
OATアグリオのウエブサイトには、5月28日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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