IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
日本エマージェンシーアシスタンス(6063 JASDAQスタンダード)IPO |
マーケット環境さえ良ければ、もう少し高く評価したいところ 12.12期業績予想での当期利益は対前期比で減益の見通しだが、これは繰越欠損金の解消に伴う法人税の本格課税によるものであり、基本的に足元では高い業績の伸びを示している。 12.12期業績予想ベースのEPS約118円に対して、想定されている公募価格のPERは約10倍となる。成長率の高さや業種・業態の新奇性を考慮するともう少し高く評価することも可能と考えられるが、マーケット環境が良くない状況では、妥当な水準とみることもやむをえないか。 連結データ(肩は対前期比(%))
日本エマージェンシーアシスタンスグループは、日本エマージェンシーアシスタンスと連結子会社4社から構成され、医療アシスタンス事業とライフアシスタンス事業を展開している。 医療アシスタンスサービスは、海外旅行や海外駐在、海外渡航中に病気や怪我をしたサービス受益者が、自国にいるときと比べて不自由なく必要な医療を受けられるように「コーディネート」するサービス。医療アシスタンス事業は(1)海外旅行保険の付帯としてのサービス提供(損害保険会社からの受託による医療アシスタンスサービス)と(2)自社展開のアシスタンスサービスの提供に分かれる。 (1)海外旅行保険の付帯としてのサービス提供では、損害保険会社のサービス規約に従い、海外旅行保険加入者(被保険者)が自国外において被った怪我や病気に対して、電話での対応から受診支援、搬送に至るまでの医療に関する様々なアシスタンスサービスを損害保険会社から受託している。当事業で、日本の大手損害保険会社等からサービス提供を受託しており、損害保険会社より、年間契約料収入と対応件数に応じた収入を得ている。 日本エマージェンシーアシスタンスは、被保険者からの電話連絡を受けると、日本エマージェンシーアシスタンスの所有する海外医療機関や医療関係者とのネットワークを活用し、症状等に応じた適切な現地医療機関の紹介や治療の手配を行う。手配先の医療機関に対しては医療費の支払い保証を行う。 被保険者の受診後は、医療機関から当社または海外センターに請求書が送付されるため、その請求書の明細を精査した上で被保険者に代わり医療費の立替払いを行う。その後、日本エマージェンシーアシスタンスは損害保険会社に対し支払い明細書の発送と立替えた医療費の請求を行い、損害保険会社からは立替費用と案件に応じたフィーの支払いを受ける。 自社展開のアシスタンスサービスは、以下の通り。 1. 事業法人向けアシスタンスサービス 海外展開している事業法人や官公庁との直接契約で海外駐在者、海外渡航者の医療支援を含めた危機管理と危機対応に関するサービス。現地の医療状況の調査や予防接種、健康診断の手配、病気の際の受診等を提供している。 2. 留学生危機管理サービス 海外留学する学生の危機管理として、医療支援をはじめ、連絡が取れない場合や行方不明時の捜索、海外生活における身近な問題の解決支援など、広く留学生活を支援するサービス。 3. 中国遺棄化学兵器処理事業に関する医療支援サービス 第二次世界大戦中に日本軍によって中国に遺棄された毒ガス等化学兵器の処理に係る日本政府の一連の事業の医療支援サービスを内閣府より受託している。具体的には、爆弾処理担当者の健康管理、処理時に万が一被爆した際の必要な作業から搬送手配等を行っている。 4. 国際医療交流支援サービス 国際医療交流事業に係るサービスを、国内大手シンクタンクを通じ、広告代理店及び旅行代理店とともに受託し、外国人患者と日本の医療機関とのマッチングや医療通訳の派遣など一連の受入手配業務を行っている。 ライフアシスタンス事業では、現在クレジットカード会社からカード会員に対するコンシェルジュサービスを受託し、クレジットカード会社からの年間契約料収入を得ている。 |
■12.12期 医療アシスタンス事業では、損害保険会社向け海外旅行保険付帯サービスは、海外渡航者数の回復に伴いアシスタンスサービスの提供件数が増加したほか、中国遺棄化学兵器処理事業に関する医療支援サービスにおいて現地での処理事業が本格化したことで取引額が増加した。また、当期から新たに国際医療交流支援サービスに関する売上高が加わったこともあって、売上高は対前期比+19.2%の増収となった。 ライフアシスタンス事業では、クレジットカード会社向けコンシェルジュサービスで、クレジットカード会社との年間契約料が増加したことにより、売上高は対前期比+16.6%の増収となった。 増収に伴い、営業利益で同+62.9%、経常利益で同+80.2%、当期純利益で同+112.2の増益となった。 ■13.12期業績予想 医療アシスタンス事業では、損害保険会社向け海外旅行保険付帯サービスに関して、医療情報やアシスタンスノウハウの蓄積、国内外の医療機関とのネットワークの強化によるアシスタンスサービスの品質の向上に取組むことを織り込み、売上高は対前期比+19.7%の増収の見通し。 ライフアシスタンスサービスでは、サービス品質の向上に伴う年間契約料収入の順調な推移と新規案件の獲得を見込み、売上高は対前期比+25.%の増収を見込んでいる。以上合計で、売上高は対前期比+20.7%の増収の見通し。 事業の拡大に伴う人件費の増を見込むものの、増収効果によって、営業利益出たい前期比+49.4%、経常利益で+40.2%の増益の見通し。一方、当期利益では、繰越欠損金の解消に伴う法人税課税増を織り込み、対前期比マイナス15.5%の減益の見込み。
ベンチャーキャピタルからの出資はあるが、ロックアップの対象となっている。ストックオプションの未行使残高もあるが、こちらも行使可能となるまで半年以上の猶予がある状態であり、当面の株式需給に特に影響する要素は無いとみられる。 A. 発行済み株式数 1,038千株(単元100株、12.3に1:400株式分割後) B. 公募100,000株、増資によるオーバーアロットメント 51,400株 C. 売出し243,200株(売出し元は会社関係者74千株)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 81,600株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,189,400株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 414,000株 既存株主へのロックアップ情報:ベンチャーキャピタル9組合と会社関係者1名、法人1名に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は、882,400株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 10年11月 67,200株 625円 13年1月〜20年10月 10年11月 14,400株 625円 13年10月〜20年10月 目論見書での日本エマージェンシーアシスタンスの想定発行価格は1,200円で、この価格に基づく公募による日本エマージェンシーアシスタンスの手取り概算額は約102百万円とされている。資金使途は、医療アシスタンス事業における基幹業務システムの改修にかかる設備資金として12.12期に15百万円、電話システムの改修にかかる設備資金として13.12期に5百万円、ライフアシスタンス事業における電話システムの改修にかかる設備資金として12.12期に4百万円を充当する予定。 また、13.12期において、本社オフィス増床に伴う什器備品購入費用として5百万円を充当する予定。残額は、新規大型案件の獲得等に伴う人員増加にかかる人件費及び国際医療交流支援サービスなどの新規事業を強化するための採用、育成費用等に充当する予定。
日本エマージェンシーアシスタンスのウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。但し、準備中となっており、掲載されている情報は、ない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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