IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
大阪工機(3173 JASDAQスタンダード)IPO |
足元の業績は悪くはないが、成長性をどこまで評価されるか 足元の実績をみると、11.3期に大幅な対前期比増益となっているが、リーマン・ショックからの回復であり、むしろ11.3期水準が実力に近いと思われる。ただ、そうとしても12.3期予想でも引き続き、比較的高い成長率を維持しており、基本的には海外マーケットを中心とした潜在的な成長力は持っているとみられる。 12.3期業績予想ベースのEPS約62円に対して、想定公募価格のPERは約13倍となる。一定の成長性は認めるものの、地味な業態ではあり、想定されている公募価格帯が当面は妥当な評価と思われる。 連結データ(肩は対前期比(%))
大阪工機グループは、当社大阪工機と海外連結子会社5社から構成されており、1) 切削工具事業、2) 耐摩工具事業、3)海外事業、4) 光製品事業の4セグメントで事業展開している。 1) 切削工具事業 当事業では、自動車エンジン部品などの金属加工業者への超硬切削工具及び特殊鋼切削工具の販売を中心とし、その他に研削工具、保持工具、精密測定機器、工作機械等を販売している。当事業で取扱う切削工具は、自動車部品などの生産ラインの設備である工作機械に装着され、高精度に金属加工を行う先端の刃物として使用されている。 大阪工機では、住友電気工業のイゲタロイをはじめとした、国内外の切削工具製造メーカーの多品種の商品ラインナップを取り揃え、多くの切削工具製造メーカーの代理店となっている。また、販売体制としては、直販部門と卸売部門の2部門体制とし、直販部門においては、切削工具の使用量が多い大手企業を中心に、当社の社員が対面による直接販売を行っており、顧客の設備機械に合わせた商品の提案やカスタム商品の対応を手掛けている。卸売部門では、大阪工機より切削工具を仕入れて販売する販売店網を経由して、切削工具を使用する国内の中小の金属加工業者を中心に商品を納入している。 2) 耐摩工具事業 当事業では、国内製缶業者向けに製缶工具等の耐摩工具の販売をしている。耐摩工具とは、雄型と雌型の対となった工具の間に素材をはさみ、工具に強い力を加えることで素材を工具の形に成形する塑性加工において主に使用されている。また、金属の圧延や引き抜き・剪断・鍛造・打抜き等でも使用され、耐摩工具は長時間の熱・圧力・摩擦に耐えて使用できることを要求されるカスタム商品であり、主な顧客は、ビールやジュース等の飲料容器缶業界、化学繊維、自動車や通信機器、半導体などの国内製造業者となっている。 3) 海外事業 海外当事業では、中国やタイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア諸国の海外顧客向けに切削工具、耐摩工具等の販売をしている。 4) 光製品事業 光製品事業では、半導体、液晶、太陽電池向けの検査装置への搭載用として、光学部品、光源装置、光ファイバーの販売を手掛けている。特に照明用光ファイバーの販売の主要顧客となる業界は、外観検査装置製造を行う業界であり、液晶ガラス、フィルム、半導体、薬の錠剤、飲料容器などの生産ラインにおいて製造中の製品の欠陥をCCDカメラで撮影し、生産ラインから欠陥品をはじく検査装置を製造している。大阪工機はその検査装置に搭載する部品として、照明用光ファイバーや光源装置を納入している。 |
■11.3期実績 切削工具事業は、主要な取引業界である自動車・電機・電子部品業界が景気刺激効果の影響を受けて順調に回復した中で、取扱商品の拡充や北関東ロジスティクスセンターの設立などシェアを高める積極策の効果があり、売上高は対前期比+33.5%の増収となった。 耐摩工具事業は、主要な取引業界である食品容器業界での設備需要の堅調な推移により、対前期比+13.2%の増収、海外事業は、主力の中国子会社の堅調な成長が牽引し、同+37.1%の増収、光製品事業は、主力の検査業界の堅調な推移と、太陽光パネル製造装置業界向けの需要の伸びがあったことから、同+45.8%の増収となった。 以上の結果、リーマン・ショックの影響により売上高が落ち込んだ前期と比較すると、売上高は+30.7%の増収となり、営業利益で同+385.7%、経常利益で+1,054.3%の大幅な増収増益となった。 ■12.3期業績予想 切削工具事業では、上半期は震災による自動車業界を中心とした一時的な生産の落ち込み等の影響があったものの、下半期からは回復と復興需要が見込めると想定し、年間を通じての切削工具の市況は横ばいと想定している。しかし、国内の同業者の淘汰や既存商品の商流が切り替わる機会があり、同事業全体では対前期比+8.7%の増収を見込んでいる。 耐摩工具事業は、主要顧客である飲料容器業界の東北工場が震災により生産設備にダメージを受け、受注が減少したものの、下半期には震災からの復興需要や缶材料の高騰で飲料缶の肉薄化が進むと想定し、対前期比+23.0%の増収の見通し。 海外事業では、タイの洪水被害による影響があるものの、中国を中心としたアジア諸国の経済成長に伴う需要増を見込み、対前期比+23.0%の増収、光製品事業は、太陽光パネル製造装置メーカー向けのソーラーシミュレーターの受注が停滞した影響により、対前期比マイナス11.7%の減収の見込み。 以上を合計した売上高全体では、対前期比+8.1%の増収を見込んでいる。営業利益以下の利益項目でも、増収効果によって+15-24%の増益の見通し。
ストックオプションもベンチャーキャピタルからの出資も存在しない、シンプルな株主構造になっている。公募・売出しの対象株式以外、ほとんどがロックアップの対象になっている状況であり、当面の株式需給には、問題点は見当たらない。 A. 発行済み株式数 2,526,320株(単元100株、11.11に1:4株式分割後) B. 公募 920,000株、増資によるオーバーアロットメント 138,000株 C. 売出し 120,000株(売出し元は法人1社、会社関係者2名)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 3,584,320株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者15名に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は2,163,400株。 目論見書での大阪工機の想定発行価格は800円で、この価格に基づく公募による大阪工機の手取り概算額は約578百万円とされている。資金使途は、切削工具事業における国内での需要拡大に対応した商品ラインナップ拡充を目的として、販売戦略商品の購入資金に200百万円、国内販売網の拡充を目的とした岐阜、長野、浜松での営業所開設経費に10百万円、海外事業における海外販売網の拡充を目的とした海外事業拠点開設として、インド現地法人の開設準備の経費に20百万円、中国現地法人における杭州での営業所開設費用に5百万円を充当する予定。残額約313百万円は、短期の借入金返済に充当する計画。 別途予定されている第三者割当増資による手取り概算額の上限101百万円については、短期の借入金の返済に充当する予定。
大阪工機のウエブサイトには2月7日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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