6052イーピーミントIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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イーピーミント(6052 JASDAQスタンダード)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:サービス業

足元は頑張っている印象だが、成長性の評価は現時点では難しい
 11.9期の業績予想については、震災影響を受けながらも前期名身の利益水準に踏みとどまる見通しとなっており、この点では一定の評価はできるだろう。ただ、そうした短期的な利益圧迫要因が無くなってからの成長要素があるかとなると、現時点では明確に見通せるだけの実績は揃っていない。

 11.9期業績予想ベースでのEPS約180円に対して、想定されている公募価格のPERは約9.4倍となる。現時点では、想定公募価格以上に評価できる情報はなく、公募価格辺りが妥当な水準であろう。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 09/9 10/9 10/6 11/9予
売上高(百万円)
3,348
21.2%
4,058

3,530
24.9%
4,410
営業利益(百万円)
501
21.0%
607

640
-4.7%
610
経常利益(百万円)
499
21.4%
606

640
-4.9%
609
当期利益(百万円)
284
25.1%
355

361
-4.5%
345
総資産(百万円)
純資産(百万円)
2,794
2,153
3,385
2,459
3,560
2,755
--
--
株主資本比率(%) 77.1% 72.7% 77.4% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
17.9%
13.2%
17.9%
14.5%
18.0%
13.1%
--
--
発行済株式数 1,921,900(修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
148
1,120
185
1,280
188
1,433
180
--
配当(円/株) 30 40 -- 45

事業概要
臨床試験を実施する医療機関に対する支援等
 イーピーミントは、臨床試験等において、医療機関からその業務の一部を受託し、臨床試験等が適正かつ円滑に実施されるように医療機関の業務を支援するSMO事業を行っている。

 SMO事業は、新薬開発における治験と製造販売後臨床試験を支援の対象としており、事務局業務とCRC業務に大きく区分される。

 事務局業務では、主に臨床試験実施体制を持たない医療機関や、臨床試験への成熟度の浅い医療機関に対する臨床試験実施のための標準業務手順書(SOP)の整備や治験事務局、治験審査委員会(IRB)の設置・運営等の支援、臨床試験の受託促進や実施体制の整備等を行っている。

 CRC業務では、CRCが治験担当医師、被験者、製薬企業等との調整を行い、臨床試験が医療機関で円滑に実施されるように、治験担当医師等、医療機関における実務機能の支援を行っている。具体的には、被験者対応、スケジュール管理、同意取得(インフォームド・コンセント)の補助、症例報告書の作成支援、モニタリング、監査対応等の医療行為外の実務支援を行っている。

 また、イーピーミントでは「その他」の事業として、臨床研究に関する倫理指針に準拠する研究支援として、研究計画書の作成、症例報告書、同意説明文書の作成、同意説明補助資料の作成支援等を行っているほか、医療用医薬品の臨床試験で培った経験・ノウハウを活かして,健康食品の素材の安全性や作用機序、効能効果を確認するための臨床試験支援業務を行っている。

SMO(Site Management Organization): 医療機関が行う臨床試験の実施にかかわる業務の一部を医療機関から受託する、治験施設支援機関。
CRC(Clinical Research Coordinator): 医療機関において臨床試験の実施をサポートする看護師、薬剤師、臨床検査技師等。

収支の状況
震災影響を受けながらも、11.9期は前期並み利益を確保する見通し
■10.9期実績
 SMO業界では、背手約企業の効率的な臨床試験の運営を目的に、製薬企業やCRO(開発業務受託機関)が拠点を持つ大都市圏で実施施設を選定する傾向や、委託するSMOを集約する傾向にある。こうした環境の下、イーピーミントの売上高は、対前期比+21.9%の増収となり、増収効果によって、営業利益・経常利益では対前期比+20%強の増益となった。

■11.9期業績予想
 イーピーミントは東北地方に拠点を持っており、3.11震災影響としては、直接的な被害はほとんど無かったものの、被災地エリアの医療機関や被験者、製薬企業の活動への影響から、一部の治験の中断や開始の遅れなどが発生している。

 ただし、イーピーミントでは、前年度から取り組んできた提案型営業の推進やプロジェクト管理体制のシステム化によって、効率的な受注の獲得、治験進捗上の課題の早期発見、対応強化を行ってきたことから、被災地以外のエリアでの業績は好調に推移している。

 以上の結果、売上高は対前期比+8.7%の増収の見通し。売上原価では、治験コーディネーターを中心に積極的な増員を行ったことで、対前期比で+10.8%の費用増を見込んだ結果、営業利益、経常利益ではほぼ前年度並みと想定している。

株式の状況
ロックアップのカバー率が低いのは、筆頭株主である親会社が対象でないため
 ストックオプションの未行使残高はあるものの、発行済み株式数に占めるウエイトは1%程度であり、大きな影響はない。ベンチャーキャピタルの保有株式が公募・売出しの半分程度の規模があり、これはロックアップの対象になっていない。このVC保有分については、上場直後の株式需給の緩和リスクと認識する必要がある。

 ロックアップの対象株式数が212千株しかなく、見た目上のロックアップのカバー率は低い。しかし、ロックアップの対象となっていない筆頭株主(公募前で60%以上保有)が親会社であり、この保有株式の売却は考えにくいことから、実質的には、VC以外の売却リスクは低いと見てよいと思われる。

A. 発行済み株式数 1,645,100株(単元100株)
B. 公募 220,000株、増資によるオーバーアロットメント 37,500株
C. 売出し 30,000株(売出し元は親会社等)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 19,300株
 E. うち潜在株式に算入する数 19,300株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,921,900株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 126,900株
既存株主へのロックアップ情報: 法人1社と会社関係者等9名に対して6ヶ月間。但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。対象株式数は212,400株

表1 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議 対象株数 行使価格 行使期間
02年6月 17,000株  500円 04年6月〜12年6月
04年3月  2,300株 1,000円 06年4月〜13年12月

 目論見書でのイーピーミントの想定発行価格は1,700円で、この価格に基づく公募によるイーピーミントの手取り概算額は約331百万円とされている。

 資金使途は、業務の生産性向上と管理機能強化を図るための業務管理統合システム構築のためのシステム開発投資として100百万円、イーピーミントと提携して治験を実施する医療機関を新規に獲得し、当該医療機関における治験実施体制を整備する費用に100百万円、治験の実務支援を行う人材確保費用として131百万円を充当する計画。

情報開示の状況
開示なし
 イーピーミントのウエブサイトには8月17日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。


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