IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
モルフォ(3653 東証マザーズ)IPO |
11.10期は高い成長率に急ブレーキ 携帯電話やデジタルカメラをベースとした画像処理技術を取り扱っていることから受ける印象としては、先端技術に基づく高い事業成長性を持っているように思えるが、11.10期業績予想では、10.10期までの高い成長率から一変し、意外に低い利益伸び率が想定されている。 11.10期業績予想ベースのEPSに基づく想定されている公募価格のPERは約15-16倍となる。足元での意外な安定成長振りを見ると、想定されている公募価格付近が妥当な価格設定と思える。 個別データ(肩は対前期比(%))
モルフォは、デジタル画像処理技術の研究を行ってきた東京大学出身の技術者達を中心に設立した研究開発先行型ベンチャー企業で、携帯電話やデジタルカメラ等の組込み機器をはじめとして、様々なプラットフォームにおいて画像を認知、処理、表現する、これら一連のプロセスを通して、効率的且つ高品質な次世代のデジタル画像処理フレームワークを提供している。 モルフォがこれまでに製品化したソフトウェアは17製品で、その機能の概要は、以下の通り。 1. 静止画手ブレ補正・被写体ブレ補正 動き検出エンジンを利用したソフトウェアによる静止画手ブレ補正技術。カメラで撮影する際の横ブレ、縦ブレ、前後のブレ、横の回転ブレ、上下方向の回転ブレ、光軸まわりの回転ブレなど6自由度に対応した手ブレ補正を行う。 2. 画像高速表示 携帯電話に保存されている写真を素早く表示することを目的にした技術。従来の技術では高解像度の写真、画像を表示させる際、圧縮されている画像をすべて解凍してから表示していたのに対し、当該技術は圧縮されている画像の表示に必要な部分のみを解凍するため、画像を高速で表示することが可能となった。 3. フレーム補間 滑らかな動画像再生を目的に低フレームレート映像の中間画像を生成して、動画像を滑らかに再生する技術。例えば、ワンセグTV放送等の毎秒15フレームの動画像から中間画像を生成して毎秒60フレームにするなどの技術。画像内の動きを検出し、動きに応じた中間画像をリアルタイムに作り出すことで、ワンセグTV放送等をよりなめらかで自然な見え方にすることが可能。 4. シーン自動認識 撮影シーンや被写体を自動的に認識し、最適な撮影モードや設定への切り替えを目的にした技術。QRコードを識別して自動的に読取機能に切り替える。QRコードのほか、名刺読取機能や、人物・風景・料理などが被写体の場合の最適な撮影設定への切り替えも可能にしている。 5. 動画手ブレ補正 独自の動き検出エンジンによる4自由度での手ブレ補正をリアルタイムに実現した動画手ブレ補正技術。縦方向/横方向の動きに加えて、光軸まわりの回転や前後方向の手ブレ補正を行う。 6. 顔検出 人物の顔を自動的に検出し追尾する技術。また、逆光補正及び笑顔検出機能を備えている。笑顔は目などの位置情報から笑顔の度合いを数値的に計り判定する。 7. ノイズ除去 カメラセンサーのノイズを除去する技術で、欠陥画像の判定を目的に、センサーから直接入手するローデータに対して直接画像処理する。また、エッジを検出することにより低周波のノイズを除去することができる。 8. 被写体自動追尾 指定した特定の被写体にフォーカスを合わせ、その被写体が動いてもフォーカスを合わせ続ける自動追尾機能を実現した技術。 モルフォは、国内外の携帯電話端末市場を中心にソフトウェア・ライセンス事業を営んでおり、事業の売上高はロイヤリティ収入と、サポート収入、開発収入で区分される。 ロイヤリティ収入では、主に国内外の通信事業者及び携帯電話端末機器メーカ等に対して、モルフォが独自に開発した複数のソフトウェア製品を商用目的で頒布・利用することを許諾して、主にモルフォの製品が搭載された携帯端末機器等の出荷台数に応じたライセンス料を収受している。 サポート収入は、主に国内外の通信事業者及び携帯電話端末機器メーカ等に対して、モルフォのソフトウェア製品の利用を許諾することを前提とした当社製品の携帯端末等への実装(ポーティング)支援等を行う開発サポート収入と、当社ソフトウェア製品を利用許諾した後に、一定期間の技術的なサポートを提供する保守サポート収入とに区分される。 開発収入は、主に国内外の通信事業者及び携帯電話端末機器メーカ等が試作機等へ実装し技術的な評価等を行う場合に、当社技術や製品の利用範囲を限定して当社の標準的な画像処理エンジンを提供する収入や、新たな技術や製品・サービスを創出する際に、通信事業者等の仕様により研究又は開発を請け負う収入から構成されている。 |
■10.10期実績 売上高は、国内の携帯電話端末を中心にモルフォ製品の搭載実績が着実に伸長したことからロイヤリティ収入が増加し対前期比36.9%の増収となった。開発体制の強化等を目的とした積極的な人材の獲得や先行投資的な開発投資を行ったことから販売費・一般管理費は増加したものの、増収効果によって、営業利益では対前期比65.3%の増益となった。 営業外費用では、円高の急激な進行に伴う為替差損を計上したが、経常利益では対前期比62.4%の増益、当期利益では対前期比43.3%の増益となった。 表1 売上区分別の販売実績(百万円、前期比%) 10.10期 10.4期 ロイヤリティ収入 1,090 +56.5% 515 サポート収入 207 +15.2% 70 開 発 収 入 119 -24.6% 185 合 計 1,417 +36.9% 771 ■11.10期見通し 11.10期業績予想では、増収かつ営業・経常利益増益の見通しとなっている。当期利益についても、繰越損失の一掃による課税開始が要因であり、対前期減益そのものは問題ではない。
上場後に即行使可能なストックオプションが一定量残っている。一方、ベンチャーキャピタルの出資がいるものの、一部はロックアップの対象にもなっており、ロックアップでカバーされていないVC保有株のボリュームは大きなものではない。 A. 発行済み株式数 1,153,200株(単元100株、11.5に1:200株式分割後) B. 公募 240,000株、増資によるオーバーアロットメント 50,000株 C. 売出し 95,400株(売出し元は法人)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 245,600株 E. うち潜在株式に算入する数 195,800株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,639,000株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 116千(うちロックアップ対象45.6千株)株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者11名と一般法人6社、ベンチャーキャピタル4法人に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は1,215,800株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年9月 98,000株 400円 07年9月〜15年9月 05年9月 11,000株 400円 07年9月〜15年9月 06年3月 84,000株 1,300円 08年3月〜16年3月 08年12月 2,800株 1,650円 10年4月〜18年1月 11年1月 42,400株 2,450円 13年2月〜21年2月 11年1月 7,400株 2,450円 13年5月〜21年5月 目論見書でのモルフォの想定発行価格は2,050円で、この価格に基づく公募によるモルフォの手取り概算額は約445百万円とされている。資金使途は、新たに創出した基盤技術を応用したソフトウェア製品の開発や、既存ソフトウェア製品のバージョンアップ、既存技術を応用した新たな製品の開発等、独自の画像処理技術やアルゴリズムに関する研究開発に全額を充当する予定。
モルフォのウエブサイトには6月16日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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