IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
日本管理センター(3276 JASDAQスタンダード)IPO |
株式需給等の点で不利な点もあるが、業績の伸びは目覚しい 実業の大部分について、外部に委託しているという、ユニークな事業スキームを持った、一括借上げ方式の不動産事業を展開している。足元の業績の伸びも、10.12期実績と11.12期業績予想では、目覚しいものとなっている。 ただ、分類してしまうと不動産セクターとなってしまう点で、銘柄としては折角の成長性を持ちながら、やや地味な存在となっている。更に、ストックオプションやベンチャーキャピタルからの出資も多い点では、やや不利な点も持っている。 全体としては、11.12期業績予想ベースEPSに対して、想定されている公募価格のPERは約7倍に留まり、もう少し高い評価も可能と考えるが、やや地味な銘柄に見えてしまう点が気懸かり。 個別データ(肩は対前期比(%))
日本管理センターは、不動産オーナーから不動産物件(賃貸マンション、賃貸アパート等の賃貸住宅)を一括して借り上げ、これを一般入居者に転貸する、一括借り上げ事業(SSL)を全国展開している。 建築工事、リフォーム工事や賃貸物件の管理は、日本管理センターと提携している全国のパートナー企業(不動産管理会社、建築会社、リフォーム会社)が担当している。CP(提携建築会社)、RP(提携リフォーム会社)、SLP(提携高専賃建築会社)が不動産オーナーと直接、工事請負契約を締結し、日本管理センターの一括借り上げ適用物件の建築工事やリフォームを行い、仲介業務と賃貸管理業務はJP(提携賃貸管理会社)へ委託している。 日本管理センターでは、アリアンツ火災海上保険と損害保険契約を締結し、保険期間中に賃料収入が保証賃料を下回った物件について保険金を請求することができ、一括借り上げを行っていることに対する事業リスクを軽減している。 日本管理センターの収益構造は、以下の3項目からなる。 1. 不動産収入: 入居者からの賃料と、CP, SLPから当社一括借り上げ事業を営業ツールとして物件建築を受託した対価として受領する初期手数料、不動産オーナーから受領する事務手数料から構成されている。 2. 加盟店からの収入: パートナー加入契約締結時にパートナーから受領する加入金と月会費から構成されている。 3. その他収入: 不動産オーナーに対するブロードバンドサービスの販売収入と不動産オーナー等へ販売する建築部材の販売収入から構成されている。 |
■10.12期実績 不動産収入では、パートナー企業数の増加に伴い、不動産オーナーへのSSLの提案が積極的に行われたこと等から、SSL物件の受注・受託は順調に推移した。当年度の管理物件累計戸数は、28,350戸、純増戸数は7,007戸となり、売上高は対前期比+36.2%の増収となった。 加盟店からの収入は、営業担当者を増員したことやセミナー開催等で新規加盟会社を獲得した。当年度の加盟社数の増減は、JP+31社、CP-4社、RP+36社、SLP+2社となったものの、売上高は対前期比マイナス6.7%の減収となった。 以上の結果、全体の売上高は対前期比+35.1%の増収となり、増収効果によって営業利益・経常利益では、対前期比でほぼ倍増の増益となった。 表1 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%) 10.12期 11.6期 不動産収入 14,965 +36.2% 9,000 加盟店収入 372 -6.7% 217 その他収入 177 +94.2% 113 合 計 15,514 +35.1% 9,331 ■11.12期業績予想 売上高は、借上げ個数の増加に伴い、入居個数が増加することや、提携パートナー数が増加すること、ブロードバンドや建築部材等の売上が増加することを織込み、対前期比+28.1%の増収の見通し。 売上原価と販売費等の増加も見込んでいるものの、増収効果によって、営業利益以下では、対前期比+約30〜40%の増益を見込んでいる。
ベンチャーキャピタルからの既存出資がそこそこのボリュームであり、ストックオプションの未行使残高も、上場直後から即行使できる状態で、結構なボリュームが存在している。その一方で、ロックアップのカバー率は高くなく、株式の需給面では、決して良好な環境とは言えない。 A. 発行済み株式数 931,500株(単元100株、10.10に1:100株式分割) B. 公募 35,000株、増資によるオーバーアロットメント 29,000株 C. 売出し 160,000株(売出し元は会社関係者59千株、残はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 147,000株 E. うち潜在株式に算入する数 147,000株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,142,500株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 297,600株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者3名と法人4社に対して180日間。対象株数は581,100株 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 03年12月 84,300株 167円 04年1月〜13年12月 04年10月 46,200株 834円 04年11月〜13年12月 05年9月 16,500株 1,167円 05年10月〜13年12月 目論見書での日本管理センターの想定発行価格は1,600円で、この価格に基づく公募による日本管理センターの手取り概算額は約47百万円とされている。別途予定されている第三者割当増資による手取り額約42百万円と合わせた資金使途は、業務効率化と管理機能強化を図ることを目的としたプロパティマネジメント基幹システム構築のためのシステム開発投資に充当する予定。
日本管理センターのウエブサイトには、9月26日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社概況として決算公告等と、上場承認のプレスリリース等が掲載されているに留まっている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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