IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
第一生命保険相互会社(10年4月以降は株式会社、8750東証)IPO |
想定売出し価格以上の評価は難しい 既に報道されている通り、超大型の上場案件となる。規模は大きい一方、10.3期業績予想ベースのEPS約5,000円に対して、想定されている売出し価格のPERは約30倍となる。 会社規模は大きいものの、業績面では09.3期の落ち込みから10.3期はなんとか持ち直した状態であり、08.3期並みの利益水準に過ぎない。日本国内での生命保険事業を、今後の人口動態予測を踏まえて普通に考えれば、成長性が評価できるものではない。 以上を考えると、想定されている売出し価格以上に現状では評価できる状況にはない。やはり、例えばアジア進出などの、成長戦略の提示が欲しいところ。 なお、生命保険の既契約者で株式を割当てられた、いわば「非自発的な投資家」にとっては、第一生命の経営に支障が発生した場合に、保険金の支払い額減少等による保険価値の目減りと株式価値の毀損が同時に発生するリスクがある。保険契約を継続しながら株式まで保有することには、メリットよりもデメリットのほうが大きいように思われる。 連結データ(肩は対前期比(%))
第一生命グループは、第一生命のほか子会社15社(うち連結対象3社)と関連会社37社(うち持分法適用30社)から構成されている。 第一生命では、保険業法に基づく免許・認可を得て生命保険事業を行うほか、損害保険ジャパン、American Family Life Assurance Company of Columbus、第一フロンティア生命保険等の業務の代理・事務代行や、証券投資信託受益証券等の窓口販売業務などを行っている。 グループ会社では、生命保険業企業年金関連事務等の生命保険業に密接に関連する保険関連事業や、外部収益の獲得を目的に国内外での投資運用・投資助言事業、有価証券投資事業、銀行業のほか、第一生命の営む生命保険事業に付随・関連する事項として、専門ノウハウの集約や高度化等を目的に第一生命から分離のうえ、第一生命等からの総務関連・その他の受託業務などを行っている。
第一生命のウエブサイトには、「投資家向け」とは銘打っていないものの、「ディスクロージャー」の表記で情報開示のページが既に設置されている。既に決算資料や英文アニュアルレポートが作成・掲載されている。 |
09.3期の保険引受業務では、個人保険・個人年金保険を合わせた新契約高は、少子高齢化やライフスタイルの多様化による死亡保障ニーズの低迷等の影響により、前年同期比マイナス15.4%となった。一方、保有契約高のうち解約・失効等により減少する契約高は、既契約者へ加入状況をお知らせする「生涯設計レポート」の発送に連動したお客さま訪問等を実施したことにより、前年度より改善したものの、新契約高を上回った。この結果、個人保険・個人年金保険を合わせた保有契約高は、前年度末と比べて4.6%減となった。 個人保険・個人年金保険を合わせた新契約年換算保険料は、第一フロンティア生命の変額年金保険の販売実績が順調に推移したこと等により、前年同期比10.0%増となったものの、保有契約年換算保険料は、新契約の年換算保険料を減少契約の年換算保険料が上回ったことにより、前年度末比で0.6%減となった。医療保障・生前給付保障等の第三分野の保有年換算保険料は順調に増加し、前年同期比0.8%増となった。 団体保険の保有契約高は、総合福祉団体定期保険や団体信用生命保険の増加等により、前年同期比で0.6%増となったものの、団体年金保険では、株価の下落等を受け特別勘定の残高が減少したこと等により、保有契約高は前年度末比4.6%減となった。 保険料等収入は、第一フロンティア生命保険株式会社における変額年金保険の販売実績が順調に推移したこと等により、前年同期比3.2%増、保険金等支払金については、満期保険金が増加したこと等により、同4.3%増となった。 資産運用業務では、資産運用収益で利息・配当金収入は金融市場の悪化によって、前年同期よりも減少したものの、有価証券売却益の増加によって、前年同期比14.9%増となった。しかし、資産運用費用は、金融市場が悪化する中でリスク性試算の圧縮を図ったこと等によって、有価証券売却損が前期と比較して増加、有価証券評価損も増加し、主に外貨建て債券のヘッジコストである為替差損は、ヘッジ付外債の残高増加によって増加した。以上の結果、資産運用収益と資産運用費用の差額としての資産運用関係損益は、前期の4,598億円から、マイナス2,575億円となった。 10.3期業績予想の前提は、日経平均株価10,546円、10年国債金利1.29%、為替92円/USDで、金融市況が前期に比較して回復基調にあることを受けて、10.3期には業績が回復し、08.3実績並みの水準に戻ることが想定されている模様。
既に報道されているように、700万単位が売出しによって公開される、超大規模な公開案件となる。売出し約7百万株の内訳は、国内売出し4,609,535株、海外売出し2,496,635株の予定で、国内売出しのうち2,112,900株を第一生命が指定する安定保有先に売り付ける予定。 安定保有先は、ロックアップの対象になっているが、これらの引受先は従来からの第一生命との親密な取引先であり、株式保有関係について言えば、これまでは第一生命だけが相手先の株式を保有する「片持ち」の状態から、相互に株式を持ち合う「持合」に変化することになる。仮にロックアップが無くても、基本的に保有株式を売却することは考えにくい。 A. 発行済み株式数 10,000千株(単元1株) B. 公募 なし、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 7,106,170株(売出し元は同社社員)、既発株のオーバーアロットメント 100,000株 D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 10,000千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報:既存株主は存在しないが、上記安定保有先(指定先)に対して180日間。 目論見書での想定売出し価格は15万円とされている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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