IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アニコム ホールディングス(8715 東証マザーズ)IPO |
業種的には面白そうだが ペット専門の損害保険事業を行っており、業種面では多数の上場企業が存在するマーケットではないことから、新奇性があると見込め、その点での人気化は期待できる。しかし、株式需給面では、IPO時の取得し易さが比較的高いこと、ストックオプション・VC出資の存在と様々な要因から、タイトな状況は望みにくい。 10.3期の業績予想に、本来の法人税率を考慮して修正したEPSは約23円程度とみられる。これに対して想定されている公募価格は1,800円であり、今後の成長性を加味しても、納得感のある公募価格とは言い難い。 あとは、久しぶりの公開案件になることでの資金需要の旺盛さと、2010年の初めての上場案件としての注目度が高いことが特徴となりそう。 連結データ(肩は対前期比(%))
アニコムグループは、保険持株会社であるアニコムHD及び100%子会社であるアニコム損害保険株式会社、アニコム パフェ株式会社、アニコム フロンティア株式会社の3社から構成されている。中核事業である損害保険事業(ペット保険)のほか、その他の事業として、動物病院支援や出版・ 保険代理店等を行っている。 損害保険事業(ペット保険)では、契約者が保険契約に基づく保険料を支払い、保険契約期間中に対象となるペットが病気やケガで診療を受けたとき、その診療費に対し、約款に基づき保険金を支払う。アニコムHDグループのペット保険事業で対象となる動物は「犬・猫・その他(鳥・うさぎ・フェレット)」で、09年12月末時点のアニコム損害保険株式会社における保有契約件数は、282,202件となり、種別の加入割合は、犬:89.6%、猫:8.8%、その他:1.6%となっている。 販売経路については代理店チャネルと直販チャネルの2つに分類しており、代理店チャネルは更に、ペットショップ代理店と一般代理店に区分している。ペットショップ代理店では全国のペットショップに保険代理店を委託しており09年12月末現在399社と代理店契約を締結、店舗数にして1,081店となっている。 一般代理店では、既存の専業保険代理店や、店舗型の保険ショップ、企業内の保険代理店(主として職域を専門とする代理店)等と契約している。09年12月末現在で378社、店舗数1,657店となっており、この中には、銀行、証券会社、生損保会社等の金融機関との業務提携による販売も含まれている。 その他の事業として、動物病院支援では、動物病院経営に必要となる顧客管理、レセプト精算、診療明細書の発行等の機能を有しているカルテ管理システム「アニコムレセプター」の開発、販売、サポート業務等を行っている。
アニコムHDのウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在、掲載されている情報は、電子公告程度。 |
09.3期にはアニコム損害保険、08年4月1日より本格的に損害保険業をスタートさせ、保険代理店における新規契約の募集を開始した。当年度は、特定保険業者であるanicom(動物健康促進クラブ)からの契約切替(anicom(動物健康促進クラブ)の契約者にアニコム損害保険のペット保険を紹介し、同社との契約に切替えること)の促進と、代理店網の拡充を推進することで新規契約の獲得に注力した。 一方、本格的な開業年度となった当期は、代理店網の構築やanicom(動物健康促進クラブ)からの契約切替促進等契約募集に係る費用をはじめとした事業費が一時的に増加したことから、損害保険事業の開始に要した当期事業費の一部888百万円を、繰延資産として計上し、翌期以降8年間にわたり均等額を償却する。また、責任準備金(保険契約に基づく次年度以降の保険金支払い等に備えるための準備金)について、通常期末における要計上額と、前期末に計上されていたものの戻入額との差額を繰入額として経常費用に計上することになる、保険契約初年度のため、戻入はなく、責任準備金繰入額3,206,百万円を保険引受費用に計上したため、経常費用は対前期比+約53.8%の増加となった。このため、連結経常収益は対前期比+48.6%増となったものの、経常損失・当期純損失を計上することとなった。 09.9中間期ではアニコム損害保険は、ペットショップ代理店において、保険料支払い方法の分割払い対応を行うべく募集システムインフラの改善を進め、契約者の利便性向上を図ったこともあり、保険加入率はゆるやかに上昇した。一方で、損保開業から注力する金融機関代理店においては、西武信用金庫、水島信用金庫、株式会社東京スター銀行など、リテール分野に強みをもつ地域金融機関代理店における取扱いが開始された。また、大阪府南部地域を中心に店舗展開するトヨタカローラ南海株式会社、輸入車代理店ではヤナセにおける保険募集が開始されるなど、ディーラー代理店網の構築を進めてきた。 表1 経常収益の状況(百万円) 08.3期 09.3期 09.9中 損害保険事業(ペット保険) 7,109 10,682 4,280 うちアニコム損害保険 26 6,473 4,280 うち正味収入保険料 -- 6,441 4,248 うち特定保険業 7,083 4,208 -- うち共済掛け金収入 6,979 1,445 -- うち前受収益戻入れ額 -- 2,433 -- その他の事業 157 117 75 動 物 病 院 支 援 45 54 25 出 版 64 22 -- 保 険 代 理 店 26 22 9 そ の 他 20 18 40 合 計 7,267 10,799 4,355 契約件数の推移は下表の通り。08.3末までの契約件数はanicom(動物健康促進クラブ)に係るものであり、09.3末以降の契約件数はアニコム損害保険株式会社に係るもの。損害保険業への移行を受け、anicom(動物健康促進クラブ)の取扱商品からアニコム損害保険株式会社の取扱商品への切替において、従来の自動継続ではなく、申込書類を全件新たに受け入れることとなったこともあり、09.3末時点の契約件数は08.3末より56,711件減少している。 表2 契約件数の推移(件) 05.3 06.3 07.3 08.3 09.3 09.12 128,832 191,785 246,634 297,917 241,206 282,202
ストックオプションの未行使残高が存在する。一部は保有確約の対象になっているものの、それを除いたボリュームでも、希薄化効果は1割以上となり、無視できない存在になっている。ベンチャーキャピタルの出資はあり、その大部分はロックアップの対象とはなっているが、全発行済株式数に対するロックアップ対象株式数で見たカバー率は決して高いものではない。 更に、公募・売り出しの単位数が9,740単位(974,000株)もあり、当たりやすいIPO=希少価値の無いIPOになっている。株式需給の点では、決して極端に悪い条件ではないものの、タイトな状況は望みにくい。 A. 発行済み株式数 3,168,600株(単元100株、09年6月に1:200株式分割後) B. 公募 740,000株、増資によるオーバーアロットメント 128,400株 C. 売出し 106,000株(売出し元は三井物産)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 774,400株 E. うち潜在株式に算入する数 652,200株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 4,689,200株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 1,210千株以上 既存株主へのロックアップ情報: ベンチャーキャピタルや会社関係者等の多数に対して180日間。但し発行価格の2倍以上での市中売却は可能。ロックアップの対象株式数は2,258,800株。 表3 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 03年3月 61,200株 500円 05年4月〜13年3月 05年4月 442,600株 750円 07年4月〜15年3月 05年4月 148,400株 750円 07年4月〜15年3月 08年6月 122,200株 4,000円 10年9月〜18年8月 (上場後6ヵ月後までの保有確約有) 目論見書での想定発行価格は1,800円で、この価格に基づく公募によるアニコムHDの手取り概算額は約1,224百万円とされている。資金使途は、子会社であるアニコム損害保険会社への投資に全額を充当する予定。 アニコム損害保険では、適切なソルベンシー・マージンの確保が必要なために、成長に応じた資本の増強を図ることを目的として、10.3期には、500百万円の増資を行う。増資によって得た資金の一部は同損保のシステム開発に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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