IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
セルシード(7776 JASDAQ / NEO)IPO |
自らが小規模VCとなって投資する気概があれば 業績が黒字化するのは、現時点の見通しで三年後であり、上場したからといって一般投資家がこの銘柄に飛びついたとしても、当面はまだまだ投資の果実が得られる段階ではない。 ただ、バイオベンチャーに対しては共通して言えることだが、研究が進展して、技術面等でのブレークスルーがプレスリリースされてしまってから投資をしたのではタイミングとしては遅きに失することにはなる。今の時点で投資を行うことは、ベンチャーキャピタルの役割を肩代わりするだけのことではあるが、将来の果実を得るための方法としては、リスクテイクをするという判断はありえるだろう。 連結データ(肩は対前期比(%)、08/12のみ個別)
セルシード社グループは、当社セルシードと欧州における細胞シート再生医療事業の推進主体である連結子会社1社から構成され、日本発の細胞シート工学技術に基づいて作製される「細胞シート」を用いて、従来の治療では治癒できなかった疾患や障害を治す再生医療アプローチである「細胞シート再生医療」の世界普及を目指して、再生医療支援事業と細胞シート再生医療事業の2つの事業を展開している。 再生医療支援事業では、細胞シート再生医療の基盤ツールである「温度応答性細胞培養器材」とその応用製品の研究開発・製造・販売を通じて、再生医療の研究開発を支援している。細胞シート再生医療事業では細胞シート再生医療医薬品とその応用製品の研究開発・製造・販売を通じて、細胞シート再生医療の普及を推進している。 なお、再生医療支援事業は既に製品を販売して売上高を計上している、細胞シート再生医療事業は現在事業化準備段階にあり、まだ売上高計上には至っていない。 再生医療支援事業の主な製品概要は、以下の通り。 ■細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCell 温度応答性ポリマーの一種を器材表面に固定した細胞培養器材で、温度制御だけで無傷の細胞シートを回収することができる研究用途の製品。主な用途は、再生医療研究等に用いる組織の培養及び回収、細胞シートの積み重ねによる3次元組織の作製など。 ■細胞回収用温度応答性細胞培養器材RepCell UpCellの器材表面に特殊な加工溝を設けた細胞培養器材で、温度制御だけで無傷の細胞を個別細胞もしくは小コロニー状で回収することができる研究用途の製品。主な用途は、一般的な細胞培養方法で回収しにくい細胞(成熟樹状細胞など)の培養及び回収、蛋白質分解酵素に弱い抗原を保持したままでの培養細胞の回収など。 細胞シート再生医療事業では、現在主に5つの再生医療製品パイプラインの研究開発を行っており、その名称と現在の研究開発段階は以下の通り。 基礎研究・前臨床研究 臨床研究 臨床開発(治験) 1. 角膜再生上皮シート >> >> ○ 2. 心筋再生パッチ >> ○ 3. 食道再生上皮シート >> ○ 4. 歯周組織再生シート ○ 5. 軟骨再生シート ○
セルシードのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されてるいコンテンツは、事業紹介と電子公告、FAQとなっている。事業紹介は、単に他のサイト内ページにリンクを貼ってあるだけではあるが、事業内容が一般投資家にとってはわかりにくい銘柄であることを、企業側が十分認識して、それなりに対処してくれているという点では、評価できる。 |
10/12期の業績予想では、再生医療事業では国内外での機材販売を積極的に推進し、細胞シート再生医療事業では欧州において再生角膜上市に向けて、欧州医薬品審査庁へ販売承認申請を提出するとともに、人道的使用に伴う提供と、販売提携先からのマイルストーン収入の売上計上を予定している。以上によって、前期より19百万円増の増収を見込んでいる。 一方、販売費・一般管理費では、欧州での事業拡大計画に基づく人件費と研究開発費等を織り込んだことで、前期よりも680百万円増加する見通しであり、営業損益ベースでは、前期よりも赤字が拡大する見通しとなっている。 ■マイルストーン開示 マイルストーン開示での11/12期、12/12期の事業計画は、主に細胞シート再生医療事業の収益増強を通じて、12/12期に全社ベースで期間損益を黒字化することを目標としている。 再生医療支援事業では、国内外で主に温度応答性細胞培養器材販売促進活動に注力し、12/12期の売上高を09/12期見込額(87百万円)と同水準を目標とし、当面先行投資期が続くものの、売上高増加によって12/12期には事業別損益の赤字額を前期比で縮小することを目指す。 セルシードでは09/12期よりバイオ研究機器製造・販売の世界的大手であるThermo Fisher Scientific 社経由で海外での細胞培養器材販売を本格的に開始しており、今後も欧州・米国を中心とした海外市場の開拓を行う。国内では、細胞シート再生医療の研究開発に対して、文部科学省や内閣府等の大型の公的補助がなされることが決まっており、今後温度応答性細胞培養器材の需要増加が期待できる。 また、セルシードでは09年4月から独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「iPS細胞等幹細胞*産業応用促進基盤技術開発/iPS細胞等幹細胞の選別・評価・製造技術等の開発」プロジェクトに参画してiPS細胞の培養に適した器材の開発を行っており、新製品の研究開発にも引き続き積極的に取り組む。 細胞シート再生医療事業では、10/12期より欧州で角膜再生上皮シートの人道的使用を本格的に推進してその売上高を計上することを目標とし、11/12期中に欧州における角膜再生上皮シート販売承認を取得することを目指す。さらに提携活動を推進して、11/12期に角膜再生上皮シートの米国展開に伴う販売提携契約一時金など計157百万円、12/12期に心筋再生パッチ共同開発契約一時金500百万円を獲得することを目標としている。これらを通じて、12/12期に事業別損益を黒字化することを目指す。 表1 11/12期、12/12期の事業計画(百万円) 11/12期 12/12期 売上高 534 1,853 営業利益 -806 3 経常利益 -786 24 当期利益 -790 18 売上高の内訳: 再生医療支援事業11/12:107百万円、12/12:427百万円、細胞シート再生医療事業11/12:146百万円、12/12:1,706百万円
一般的なバイオベンチャーの株主構成と同様、セルシードの場合も、ベンチャーキャピタルからの出資が多く、またストックオプションの残高も多い点が特徴になっている。 ベンチャーキャピタルからの出資は、上場時点で約半数を占める。ロックアップは一部のVC等に対してかけられているが、カバー率は、相当低く設定されている。ストックオプションに関しても、一部の行使価格は想定されている公募価格よりも高いものの、行使時期に関しては既に制限はなく、価格面さえクリアされれば、上場直後から即行使可能な状態になっている。 上場直後の流通株式数としては、OAを含めた公募・売出しの約23,300単元に加えて、ロックアップの対象となっていないVC保有株式20,000単元以上、更にストックオプション約4,000単元が存在する。株式需給面では、相当な緩和状況が予想される。 A. 発行済み株式数 3,825千株(単元100株、09.10に1:100株式分割後) B. 公募 1,500千株、増資によるオーバーアロットメント 304千株 C. 売出し 527,200株(売出し元はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 565,500株 E. うち潜在株式に算入する数 565,500株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 6,194,500株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,983,800株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者等9名とベンチャーキャピタル多数に対して180日間。対象株数は、1,094,500株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 02年6月 188,300株 958円 04年6月〜12年6月 03年8月 220,200株 1,155円 05年8月〜13年8月 05年3月 157,000株 1,537円 08年4月〜16年3月 目論見書での想定発行価格は1,440円で、この価格に基づく公募によるセルシードの手取り概算額は約1,966百万円とされている。オーバーアロットメントとして予定されている第三者割当増資の手取り概算額約402百万円とあわせた資金使途は、細胞シート再生医療事業と再生医療支援事業の研究開発資金に1,177百万円を充当し、残額を欧州での角膜再生上皮シート事業の立上げとグループ事業の世界展開体制構築へ向けた必要な人材の採用・育成などに必要となる運転資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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