6627テラプローブIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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テラプローブ(6627 東証マザーズ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

現状ではエルピーダメモリとの親子上場に意義は見出せない
 11.3期業績予想PERに基づく想定公募価格のPERは8.5倍となる。これだけを見ると相当に安全サイドを織り込んでいるように見えるが、半導体化関連の産業は景気影響を受け易い傾向にあり、当社の場合も業績の変動幅が大きい。特に割安感は無いように思える。

 テラプローブの売上高のうち、10.3期で72%、10.9期で68%が親会社であるエルピーダメモリに対する販売となっている。台湾子会社を中心として取引先を増やして、エルピーダメモリ以外向けの売上高の増加を企図してはいるものの、当面はエルピーダ向けが主力となる。

 公募で特別なディスカウントがされている状態でもなく、こうした状況下では、当テラプローブの株式を敢えて取得することの意義は薄く、エルピーダメモリ株式で十分代用できると考えられる。エルピーダメモリグループとしては、資金回収の目的があるだろうが、一般投資家にとっては、公募価格の水準をどうという以前の問題として、この親子上場には明確な意義は見出せない。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 09/3 10/3 10/9 11/3予
売上高(百万円)
18,624
-4.2%
17,836

10,224
23.7%
22,064
営業利益(百万円)
-3,890

2,892

2,414
103.7%
5,891
経常利益(百万円)
-4,232

2,585

2,259
115.8%
5,578
当期利益(百万円)
-5,903

2,231

1,601
77.9%
3,970
総資産(百万円)
純資産(百万円)
36,942
15,169
32,739
17,661
34,772
19,210
--
--
株主資本比率(%) 41.1% 53.9% 55.2% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
--
--
7.9%
12.6%
6.5%
8.3%
--
--
発行済株式数 10,216(修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
--
1,485
218
1,729
157
1,880
389
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
半導体のウエハテスト、ファイナルテスト及びテストに関する開発受託
 テラプローブ・グループは、当社テラプローブと海外連結子会社1社から構成されており、半導体製造工程におけるテスト受託を主たる業務としている。

 一般的に半導体製造工程は、ウエハ上に半導体チップを作り込む前工程と、半導体チップを組立しパッケージングする後工程に分類される。この前工程で行う検査をウエハテストといい、後工程で行う検査をファイナルテストといい、テラプローブでは、どちらのテスト工程も受託している。

 ウエハテストとは、ダイシング前のウエハ状態で、ウエハ上に作り込まれた半導体チップの電気特性を検査し、良品・不良品の判別を行うもので、具体的には、回路が作り込まれたウエハ上の半導体チップにあるパッドの一つ一つに、プローブと呼ばれる細い探針を当てて電気信号を流し、半導体回路が設計どおりに機能しているかをテスタ、プローバ等の装置を用いて電気的に検査する。

 さらにテラプローブでは、蓄積したノウハウを利用したプログラムの改良を提案し、顧客から支給されたテストプログラムを基に多数個同時測定用プログラムを開発したり、プローブカード設計を受託することなどによって、一回のテストでより多くの半導体チップを検査できるようにし、テスト効率を上げることで、顧客のウエハテストのコスト低減に貢献している。

 また、ファイナルテストとは、組立終了後のパッケージ状態で設計どおりに機能するかどうかの検査のほか、最終製品の外観異常の有無を検査するパッケージ外観検査などを含む。

 テラプローブの事業は、半導体の分野別に区分したメモリ事業とシステムLSI事業に区分される。メモリ事業は、テラプローブの親会社であるエルピーダなどの半導体メーカーや半導体受託製造企業(ファンダリ)が生産したメモリ製品のウエハテスト業務の受託が中心となっている。

 システムLSI事業は、国内外の半導体メーカーやファンダリが生産したSoC、イメージセンサ、アナログなどの半導体製品のウエハテスト業務の受託が中心で、その他にファイナルテスト業務も受託している。

 メモリ事業、システムLSI事業とも、上記テスト業務のほか、プログラム開発やプローブカード設計なども受託している。また、顧客については、上記のほか、半導体製品の設計のみを行い生産を外部に委託するファブレスメーカーや、回路設計の一部や全てを半導体メーカーやファブレスメーカーから受託しているデザインハウスからも受託している。

 なお、テラプローブ・グループの事業は、10.3期までは「テスト受託事業」と「開発受託事業」に区分していたが、11.3期からは、「メモリ事業」と「システムLSI事業」に区分を変更している。テスト受託事業は、ウエハテスト業務、ファイナルテスト業務が該当し、ウエハテスト業務は現在メモリ事業及びシステムLSI事業において、ファイナルテスト業務はシステムLSI事業において行っている。また、開発受託事業は、新製品のテストプログラム開発や、顧客の製品のテストコスト削減のためのプローブカード開発、既存プログラムの改良などであり、現在はメモリ事業において行っている。

収支の状況
09.3期のリーマン・ショックから10.3期は回復、11.3期は更に業績を伸ばす見込み
■10.3期業績
 10.3期の半導体業界は、金融危機の影響による急激な生産調整があったものの、その後の生産状況は比較的順調な回復を見せ、概ね好調に推移し、テラプローブ・グループの主要な受託品であるDRAMの市場は、景気低迷の影響でDRAM生産各社が設備投資を抑制したため、供給能力に大きな変化がないことや、夏場以降Windows7の市場投入に伴うPC向け需要が増加したことで市場価格が上昇し、好調に推移した。

 このような状況の下、テラプローブ・グループにおけるDRAMを中心としたメモリ製品のテスト受託は、台湾でDRAMメーカーの増産により受託額が増加した。日本では、前09.3期後半は金融危機を発端とする世界的な経済環境悪化の影響により半導体生産も低迷していたが、09.3期第4四半期を底として10.3期前半は受託額が増加に転じた。

 しかし、テスト受託した製品についてテスト負荷の軽いものの割合が増加し、一方、年度前半と同程度のウエハ枚数であったため、テラプローブが保有するテスト装置の稼働率が低下したことによって、後半は受託額が減少する結果となった。メモリ製品以外のテスト受託に関しては、最終製品の需要の減退により顧客の生産量が減少し、受託量が落ち込んだことで売上が低調となった。

 また、半導体業界の急激な事業環境の悪化により新型テスタへのニーズが減り、既存テスタの使用期間が長期化したことと、耐用年数の到来した旧型テスト装置について顧客の利用ニーズが増加したことを背景として、10.3期第2四半期より、当初予定による残存耐用年数と経済的使用可能予測期間との乖離が明らかとなった固定資産について耐用年数の変更を行っている。これにより10.3期の減価償却費は耐用年数変更前と比べて大幅に減少した。

株式の状況
VC無し、ストックオプションはあるがウエイト小
 ベンチャーキャピタルからの出資はない。ストックオプションの未行使残高はあるものの、全体に占めるウエイトは大きくない。更に、主要な株主はロックアップの対象になっているので、当面の株式需給に関しては、特に問題は無いように見える。

A. 発行済み株式数 7,680千株(単元100株、10.5に1:10株式分割後)
B. 公募 1,600千株、増資によるオーバーアロットメント 480千株
C. 売出し 1,600千株(売出し元はエルピーダメモリ等)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 510,700株
 E. うち潜在株式に算入する数 456,200株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 10,216.2千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株
既存株主へのロックアップ情報:法人4社に対して90日間。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。対象株数は7,680千株。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
08年2月456,200株 2,650円 10年3月〜15年3月
10年3月 54,500株 2,650円 12年4月〜17年4月

 目論見書での想定発行価格は3,350円で、この価格に基づく公募によるテラプローブの手取り概算額は約4,931百万円とされている。上場時に予定されている第三者割当増資の手取上限額約1,487百万円と合わせた手取概算額約6,418百万円の資金使途は、全額をシステムLSI事業のテスト受託能力の強化を目的とした半導体検査設備等の投資資金に充当する予定。

情報開示の状況
開示なし
 テラプローブのウエブサイトには、11月15日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。


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