4577ダイトIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ダイト(4577 東証二部)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:医薬品

成長戦略の提示がなければ、想定公募価格以上には評価しにくい
 ジェネリック医薬品の製造・販売を行っており、イメージ的には今後のマーケット拡大が予想される成長余地のある有望な事業のような印象を受ける。しかしながら、足元の業績動向では、トップラインの売上高は伸びてはきているものの、利益水準としては、結局横ばいとなっており、意外に利益が伸びない結果になっている。

 こうした足元の動向を踏まえると、10.5期業績予想ベースのEPS約85円に対して、PER約16倍程度になるとみられる想定公募価格は、既に十分な水準と見られる。これ以上の価格を追うには、会社からはそれ相応の成長戦略を示してもらいたいところ。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 08/5 09/5 09/11 10/5予
売上高(百万円)
20,756
3.7%
21,523

11,767
6.9%
23,018
営業利益(百万円)
1,792
-25.3%
1,338

916
22.2%
1,636
経常利益(百万円)
1,707
-30.4%
1,188

867
18.4%
1,407
当期利益(百万円)
752
-7.8%
693

471
14.7%
795
総資産(百万円)
純資産(百万円)
22,294
4,116
26,353
6,715
26,644
7,038
--
--
株主資本比率(%) 18.5% 25.5% 26.4% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
7.7%
18.3%
4.5%
10.3%
3.3%
6.7%
--
--
発行済株式数 8,957(修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
83.9
460
77.4
750
52.5
786
88.8
--
配当(円/株) 8 15 -- 15

事業概要
原薬の製造・仕入れ販売と、製剤の製造・仕入れ販売(受託製造を含む)
 ダイトグループは当社ダイトと連結子会社2社から構成されており、原薬・製剤(医薬用医薬品、一般用医薬品)の製造販売、仕入れ販売と、原薬・製剤に係わる製造受託、健康食品他の販売を主な事業としている。

 医薬品(新薬)の開発において、医薬品原料となる原薬の製造工程等については、医薬品の特許等とも密接に係わるために、大手新薬メーカーにおいて、特に特許期間中は、原薬の生産について、基本的に大手新薬メーカーグループ内において生産を行うのが一般的である一方、ジェネリック医薬品については、特許が切れていること、ジェネリックメーカー(ジェネリック医薬品の製造販売業者)として、幅広いジェネリック医薬品を効率的に取り揃える必要性等から、原薬を自社で製造せず、他社から購入することが一般的であるとダイトでは考えている。このような医薬品業界の原薬に対する方針により、ダイトグループはジェネリックメーカーを中心として、主に自社開発の原薬を供給している。

情報開示の状況
一応、開示あり  ダイトのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されている情報は、マネジメントメッセージ程度となっている。
収支の状況
10.5期業績予想は08.5期の実績利益水準にも届かない
 09.5期は、売上高では前年同期比+約3%の増収となった。原薬では、政府による後発品使用促進策が推進される中、既存品目と2008年の新規収載品目の販売拡大に努め、抗アレルギー剤原薬、血管拡張剤原薬、消化性潰瘍剤原薬、高脂血症剤原薬などの販売が好調に推移し、この分野の売上高は対前期比+約5%の増収となった。

 製剤では、医療用医薬品で国内大手医薬品メーカーからの製造受託が好調に推移したことに加えて、08年7月に新規薬価収載された自社開発の血管拡張剤、抗アレルギー剤、解熱鎮痛消炎剤などの販売が好調に推移した一方、一般用医薬品において、しみ改善薬の売上が伸び悩んだことによって、売上高は対前期比+0.7%の増収となった。

 健康食品他では、ヒアルロン酸含有食品やコエンザイムQ10含有食品などの販売が好調に推移し、売上高は前年同期比+約7%の増収となった。

 以上の結果、売上高は対前期比で増収となったものの、設備投資に伴う大幅な減価償却費の増加等によって、営業利益・経常利益では対前期比マイナス25〜30%の減益となった。

表1 事業区分別の販売実績(前期比%、百万円)
        09.5期  09.11中
原    薬 12,469 +5.8% 7,351
製    剤 8,664 +0.7% 4,208
健康食品等   388 +6.6%  207
合    計 21,522 +3.7% 11,767

 10.5期の業績予想では対前期比で増収増益の見通しになっているが、上記要因によって09.5期が減益となった分を完全に取り戻す=08.5期の利益水準に戻る水準ですらない。10.5期の見通しに関するコメントも会社側からは発表されておらず、業績見通しに関する詳細は不明。

株式の状況
割当増資の保有確約を含めたロックアップのカバー率は、一般的な水準
 ストックオプションの未行使残高はない。ロックアップのカバー率が公募を含めた想定発行株式数に対して40%を切る水準となっていて一見低いのだが、08年6月と09年5月に実行された第三者割当増資(割当先は取引先法人等とVC)2,000千株が、別途上場後半年間の保有確約の対象となっている。ロックアップの対象者と増資の割当先はほとんど重複がなく、保有確約を含めた実質的なロックアップのカバー率は約60%程度とみられる。

A. 発行済み株式数 7,186,968株(単元100株、08.1に1:1.3株式分割後)
B. 公募 1,500,000株、増資によるオーバーアロットメント 270,000株
C. 売出し 300,000株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 0株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 8,956,968株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 536,600株
既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者等174名と法人2社に対して180日間。対象株数は、3,332,359株。

 目論見書での想定発行価格は1,370円で、この価格に基づく公募によるダイトの手取り概算額は約2,023百万円とされている。オーバーアロットメントとして予定されている第三者割当増資の手取り概算額約368百万円とあわせた資金使途は、今後の業容拡大と収益基盤の拡大に向けて、本社工場の設備投資に全額を充当する予定。具体的には、10.5期の新試験棟の建設と、10.5期〜11.5期における本社工場の原薬・製剤の製造に係わる設備投資が対象となっている。


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