IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
3640電算(東証二部)IPO |
減益の業績見通しであれば理由までしっかり開示してもらわないと、評価出来ない 業績に関しては、特に悪いというほどでもないが、10.3期は対前期で減収減益となっており、更に11.3期業績見通しでも、更に減収減益の見通しとなっている。更に、減益見通しそのものはともかく、業績見通しにおいて、11.3期の減益理由等が記載されていない点は、投資家に対して不親切と言わざるをえない。 11.3期業績見通しベースのEPS約475円に対して、想定されている公募価格のPERは約7倍となる。特殊事情等で減益ということであれば、その分考慮もするが、特に理由が開示されていない以上、現状のPER7倍以上に評価できるポイントは見当たらない。 個別データ(肩は対前期比(%))
電算グループは、電算と非連結子会社1社から構成されており、情報処理事業として、評価コンサル、システム設計・開発、システム提供、保守、運用サービスといったフェーズからなる、顧客の一連のITライフサイクルに対し、一貫してサービスを提供するワンストップトータルソリューションを提供しており、各フェーズにおいて、「情報処理・通信サービス」「ソフトウェア開発・システム提供サービス」「システム機器販売等」「その他関連サービス」を主な業務としている。 なお、電算グループは親会社の信越放送株式会社の企業集団に属し、その親会社の企業集団において情報処理事業セグメントに位置付けられている。親会社の企業集団に属する他の会社と事業領域は競合していない。 各業務の概要は以下の通り。また、主要な取引先は、長野県・新潟県を中心に、全国の地方公共団体、民間企業、医療機関、諸団体等。 1. 情報処理・通信サービス ■情報処理サービス: 電算のコンピュータ受託計算処理・オンライン処理及びデータ入力業務、流通業向けのVAN事業、施設管理・システム運用管理業務等。 ■インターネットサービス: 長野県内の地方公共団体、民間企業及び一般個人を対象とした、インターネットサービスプロバイダ事業。電話回線や光回線だけでなく、ケーブルテレビ会社と連携し、ケーブルテレビの回線を利用したインターネット接続サービスを行っている。 ■データセンターサービス: 強固なセキュリティマネジメントシステム、震度7クラスの地震から機器を守る耐震免震構造、24時間365日有人による運用・監視体制を備えたデータセンターによるハウジングサービス、ホスティングサービス、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)サービス、運用・監視サービス等。 2. ソフトウェア開発・システム提供サービス ■ソフトウェア開発: ソフトウェアの受託開発、ソフトウェア保守サービス、コンテンツ制作サービス等。主に民間企業を対象に、システムの企画から設計、開発、運用、保守まで、システムインテグレーションサービスを提供している。 ■システム提供サービス: 電算の主力商品である総合行政情報システム「Reams」等、主に地方公共団体向けのパッケージシステムの開発・販売と、付随するシステム運用支援サービス、プロダクトソフト保守サービス等。地方公共団体向けには、自社開発のパッケージシステムであるため、頻繁な法制度改正に対して迅速なシステム変更が可能であり、各種情報処理サービス等のアウトソーシングを含めた総合的なメニューでサービスを提供している。 3. システム機器販売等: ソフトウェア開発やシステム提供サービスに付随する機器やシステムの販売及び帳票等の用品販売。 4. その他関連サービス: システム機器の賃貸サービス、外部委託による機器システム保守サービスや、その他、自社による機器保守サービスやLAN構築等のシステム環境構築サービス、コンピュータ関連の教育研修サービス等。 |
09.3期には、公共分野では後期高齢者医療制度システム、地図情報システム等の開発・販売、Reams.NETへの切り替え促進や、eLTAX (地方税電子申告システム)等の積極的な販売活動のほか、産業分野では製造業・リース業向けシステムの開発・販売及び医療機関向け事業での電子カルテ等の積極的な販売活動や、システム開発における品質・生産性の向上とコスト削減の推進を重点施策として事業を推進した。 情報処理・通信サービスでは、Reams.NETへの切り替えにより自庁内処理が進んだことやダウンサイジングの流れによる受託計算処理の減少等、情報処理サービスの減少により、売上高は前年同期比マイナス8.2%減となった。 ソフトウェア開発・システム提供サービスではReams.NET、後期高齢者医療制度システム及びリース新会計システムの開発・販売等の受注により、売上高は前年同期比20.6%増、システム機器販売等ではReams.NETへの切り替え、戸籍システム・LGWAN(総合行政ネットワーク)の機器リプレイス及び医療機関向けの電子カルテシステム等の販売の増加により、売上高は前年同期比13.7%増となった。 その他関連サービスでは、新リース会計基準の適用により、機器賃貸サービスの転リース取引において、受取リース料を売上高に、支払いリース料を売上原価とする方法から、売上総利益額を売上高に計上する方法に変更したことで、売上高は前年同期比マイナス21.1%減となった。 以上の結果、売上高ではシステム提供サービスの売上が増大した等により、前年同期比6.0%の増収となり、更に、借入金の繰り上げ返済による支払利息の削減等、経費削減を図ったことによって、経常利益は前年同期比+43.2%、当期純利益は同+63.3%の増益となった。 表1 業務の種類別販売実績(百万円、前期比%) 09.3期 09.12期(3Q) 情報処理・通信サービス 3,639 91.8% 2,578 ソフト開発・システム提供 6,817 120.6% 4,148 システム機器販売等 3,222 113.7% 1,404 その他関連サービス 1,394 78.9% 1,052 合 計 15,073 106.0% 9,183
ストックオプションは存在するものの、行使可能になるまで1年かかるため、潜在株式には算入していない。また、ロックアップが設定されており、そのカバー率が非常に高いのだが、ロックアップの対象となっている株主は、取引先である大手法人ばかりとなっている。今後の取引等を踏まえて、通常の慣行では、保有株式を易々と売却する株主では、元々なく、ロックアップそのものについては、なくても実効性には大差は無いように思える。 ロックアップの解除条件の一つとして、特に主幹事が野村證券の場合には、従来「発行価格の2倍以上」とされていたものが、今回は「1.5倍以上」に下方修正されている。変更の背景としては、従来の「2倍」ではヒットするケースが無く、効力に乏しかったことがあると推測される。下方修正されたことで、ヒットするケースが当然発生しやすくはなるが、それでも現在の市況等を踏まえると、1.5倍以上としても、発動するケースは、当案件をはじめとして、なかなか発生しないように感じる。 A. 発行済み株式数 1,256,800株(単元100株) B. 公募 190千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 5千株(売出し元は法人)、既発株のオーバーアロットメント 29千株 D. ストックオプション等の残高総数 20千株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,446,800株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報:法人13社に対して180日間。対象株数は、約1,242千株。但し、発行価格の1.5倍以上での市中売却は可能。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 09年06月 20,000株 公募価格 11年06月〜16年06月 目論見書での想定発行価格は3,500円で、この価格に基づく公募による電算の手取り概算額は約604百万円とされている。資金使途は、次期給与システム一式に71百万円、社内サーバ仮想化設備に23百万円、UPSバッテリー交換に23百万円、監視カメラシステム更新に19,百万円、総合福祉システムライセンス料に10百万円を充当する予定。残額は、当座貸越として借り入れている借入金1,000百万円の返済に充当する予定。
5月21日時点で、電算のウエブサイトには、投資家向け情報開示のページは設置されていない。参考による情報としては、上場承認のニュースリリースと決算公告が掲載されている程度。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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