IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
一建設(3268 JASDAQ)IPO |
11.1期以降も10.1期並みの利益を継続できるかが課題 10.1期には、過去の実績推移と比較して非常に大きい増益となる見通しが発表されている。9ヶ月累計決算での進捗等を見ると、10.1期に関しては、達成は可能な見通しとはなっており、この年度に関しては、あまり問題はないと見られる。 課題は、翌11.1期以降も、この10.1期見通しの水準が継続できるかであり、この点では、目論見書等、現時点で開示されている資料から判断する限り、楽観視はできないと予想する。そうした点を踏まえると、10.1期予想EPSベースでの想定子公募価格のPER約9倍は、10.1期業績予想から見れば確かに順当な価格設定だが、11.1期以降の見通しが決して楽観視できないことを考慮すると、想定公募価格はむしろ上限的な印象に見える。 個別データ(肩は対前期比(%))
一建設は、分譲住宅の施工販売を主力に、戸建住宅の分譲を事業の中心として、併せてマンション分譲、土地分譲、請負工事、その他付随業務を展開している。 戸建分譲については、関東一都六県と仙台、名古屋、大阪、福岡等の主要地方都市の、人口が多く需要が見込める地域を中心に、若年層の一次取得者をターゲットとして、建売分譲住宅を供給している。土地の仕入れから、造成、企画、設計、施工、販売、アフターサービスまでの一貫システムを構築して、事業の効率化を図ると共に、直接施工とスケールメリットによる建築コストの低減を図っている。また、地域密着型店舗運営を行い、09年10月末時点で、本店を含めて85店舗による営業を行っている。 マンション分譲では、マンション分譲用地として採算がとれると判断した情報や、戸建分譲用地の取得活動において得られた情報のうち、マンション分譲用地とした方がより有効活用できると判断した場合、その用地をマンション分譲用地として取得し、開発分譲している。 マンション分譲では、リスクを限定するために、戸建分譲売上高の5%程度を目安としている。更に、用地取得から販売代金の回収までを1年以内に完了することが可能なプロジェクトに主眼を据え、あまり大規模な開発を行わないことによって、リスクの軽減と資金の効率化を図っている。また、構造的にも複雑化を避けて、比較的建築コストを抑えられる施工方法である鉄筋コンクリート構造とすることによって、建築コストの低減を図っている。顧客としては若年層の一次取得者をターゲットとしており、間取りは2LDKと3LDKを中心に、ファミリータイプ型を主力商品として供給している。 土地分譲では、戸建分譲用地について、土地のみでの購入希望者がいる場合に、建売した場合の採算との比較考量の結果、土地での分譲を行うことがある。多棟現場において、全ての区画について建売することに販売リスクがあると考えられる場合に、一部の区画について土地での売出しをすることがあるが、当初から土地分譲だけを目的として用地を取得することはない。 請負工事としては、戸建住宅の建築請負、分譲住宅の販売に伴う追加工事・オプション工事を行っており、その他事業では、分譲住宅販売時に付随して発生するプロパンガス、引越し等の各種紹介を行っている。 |
09.1期は、金融機関における不動産関連融資の急激な縮小によって不動産取引は停滞し、雇用情勢の悪化や個人所得の伸び悩み問うによって消費者の購買意欲が低下し、不動産業界全体に不況感が漂う状況となった。 こうした状況の中、一建設では不採算店舗の見直しを図り、13営業拠点の閉鎖と7店舗の開設を行った。戸建分譲事業では、当年度に6,117棟を決済、マンション事業では211戸を決済した。この結果、売上高では対前期比マイナス約13%の減収となったものの、経常利益・当期利益では、対前期比で微増となった。 10.1期は、売上高では、主力事業である戸建分譲について、マクロ経済の底打ち観測、潜在需要を刺激する政府の各種政策等の後押しを受けて、比較的堅調に推移すると見込み、対前期比+約8%の増収の見込み。 売上原価は、土地原価と建物原価から構成されている。土地の仕入値は価格下落が鮮明になっているものの、足元では下落率も縮小して下げ止まりの状況となっている。また、建物原価は外注業者を選別し一括発注への変更や、プランの統一化などの原価低減効果が浸透して安定して推移している。こうしたことから、売上原価は売上高の対前期比+約8%増に対して、同+約4%に留まる見通し。 販売費・一般管理費では、売上高の増加に比例して増加する支払い仲介料が増加したこと等によって、対前期比+約8%の増加が見込まれているものの、売上高ほどに売上原価が増加しなかったことが寄与し、営業利益では、対前期比で、ほぼ倍増となる見通し。 表1 品目別の販売実績 09.1期 09.7中 戸建分譲 6,117棟/ 165,851百万円 3,506棟/ 91,807百万円 マンション分譲 211戸/ 5,694百万円 201戸/ 5,244百万円 土地分譲 161件/ 3,990百万円 133件/ 2,936百万円 請負工事 672件/ 574百万円 573件/ 443百万円 その他 1,169百万円 670百万円 合計 177,280百万円 101,103百万円
ストックオプションはなく、ベンチャーキャピタルの出資もない。ロックアップのカバー率もそこそこあり、株式需給の面では、特に不安要素は見当たらない。 A. 発行済み株式数 25,562,280株(単元100株) B. 公募 3,000千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 1,350千株(売出し元は会社関係者等)、既発株のオーバーアロットメント 650千株 D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 28,562,280株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報:4法人と会社関係者等13名に対して180日間。対象株数は、19,822.6千株。 目論見書での想定発行価格は2,300円で、この価格に基づく公募による一建設の手取り概算額は約6,367百万円とされている。資金使途は、戸建・マンション分譲における土地仕入れに充当する予定。
一建設のウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、財務ハイライト、電子公告など。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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