IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
常和ホールディングス(3258 東証二部)IPO |
想定されている公募価格は、おおむね妥当〜若干の割安感も 10.3期業績予想ベースのEPS約180円に対して想定されている公募価格のPERは約10倍となる。前回の上場計画の際には、想定公募価格に対しての業績予想PERは約14倍だったことと比較すると、株価の安全面を考慮して公募価格を再検討してきた印象を受ける。 足元の業績水準が安定的に継続できるのであれば、配当利回りの良さも評価に含めて、想定されている公募価格には若干の割安感もあると思われる。さすがに、ここ半年の新興マーケット・IPOマーケットの状況の悪さも底を打ったということか。 連結データ(肩は対前期比(%))
常和ホールディングスグループは、常和ホールディングスと連結子会社11社から構成されており、常和ホールディングスグループが所有するオフィスビル等の賃貸・管理などのオフィスビル事業、ビジネスホテルの保有・運営を行うホテル事業、ゴルフ場の保有・運営を行うゴルフ事業、戸建住宅・宅地等の分譲や社宅等の保有・賃貸・管理を行う住宅事業、及びその他事業を行っている。 オフィスビル事業では、東京都内や地方中核都市において、オフィスビル等の賃貸、管理、運営を行っている。そのほか、連結子会社では、リゾートホテル等の不動産信託受益権等を保有・運営している。 ホテル事業では、東京都内・地方中核都市において、ビジネスホテル事業を「ホテルユニゾ」チェーンとして保有・運営している。ゴルフ事業では、千葉県八千代市において、パブリックゴルフコース「八千代ゴルフクラブ」を保有・運営している。
常和ホールディングスのウエブサイトには5月25日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場承認のニュースリリースが掲載されているだけとなっている。 |
09.3期は、オフィスビル事業では、08年7月に麹町物件のテナント退去があったものの、同年12月に同物件との定期借地権契約を締結したことで地代等を計上したほか、都内物件を中心に既存テナントとの賃料引上げ交渉に注力したこと等で、対前期比+1.7%の増収となった。 ホテル事業(ホテルユニゾチェーン)では、第3四半期までは客室稼働率・単価ともに順調に推移したが、秋以降には景気悪化の影響を受けたことで、国内出張需要の低迷等によって、5ホテルの客室平均稼働率は、前期並みの86.8%、客室単価は前期比16円低下となり、前期比マイナス0.7%の減収となった。 ゴルフ事業(八千代ゴルフクラブ)では、コンペ等の誘致やインターネット予約に注力したものの、雨天・降雪等天候による影響を受けたことで、一般来場者数は前期57,322名に対して、55,635名となり、対前期比マイナス2.6%の減収となった。 売上原価では、減価償却費・修繕費の減少のほか、オフィスビル事業で、広島興銀ビル底地取得による借地料の減少などがあったものの、販売費・一般管理費で人件費の増加や09年4月開業のホテルユニゾ大阪淀屋橋の開業準備費用を計上したこと等によって、営業利益は、対前期比で微増となった。 10.3期の業績予想では、売上高では、オフィスビル事業で、09年3月取得のアーバンスクエア八重洲の賃料増や麹町物件の地代収入を見込み、対前期比+約1.2%の増収を見込んでいる。ホテル事業では、ホテルユニゾ淀屋橋が09年4月に開業したことから、対前期比+約27%の増収の見込み。売上高全体では、対前期比+約6%の増収の見通し。 費用面では、08年9月取得の広島興銀ビル底地に係わる借地料や、09年3月取得のジャパン大井倉庫の借地料が減少する一方、同倉庫や09年3月取得のアーバンスクエア八重洲の減価償却費・施設維持のための修繕費のほか、ホテル事業ではホテルユニゾ大阪淀屋橋開業に伴う運営原価や同ホテル信託受益権の取得に伴う減価償却費を見込んでいる。以上から、売上原価では、前期比+約1%増にとどまり、営業利益では、対前期比+約11%の増益見込み。 表1 セグメント別の販売実績(百万円、前期比%) 07.3期 08.3期 08.12 オフィスビル 8,974 0.0% 8,819 -1.7% 6,768 ホ テ ル 2,437 +3.1% 2,508 +2.9% 1,916 ゴ ル フ 799 +3.3% 806 +0.9% 632 住 宅 661 +55.1% 199 -69.9% 118 そ の 他 18 -71.5% 34 +82.9% 3 合 計 12,891 +2.3% 12,368 -4.1% 9,438
ストックオプションとベンチャーキャピタルによる出資はない。ロックアップのカバー率は公募考慮後で約60%と高くないものの、ロックアップの対象外になっている株主は取引先金融機関が大半であり、ロックアップの有無に関係なく、売却可能性は低いとみられる。全体として、株式需給は悪くないと想定される。 A. 発行済み株式数 8,485千株(単元100株、08.7に1:10株式分割) B. 公募 2,000千株、増資によるオーバーアロットメント 300千株 C. 売出し なし、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 10,785千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 法人8社と会社関係者9人に対して180日間。対象株数は5,992,500株。また、06.7、07.3に実施した第三者割当増資計4,500株は割当先を社員持ち株会としたもので、前回の上場予定時には、上場後6ヶ月間の保有確約の対象となっていたが、今回は保有確約の対象とはなっていない。 目論見書での想定発行価格は1,720円で、この価格に基づく公募による常和ホールディングスの手取り額は約3,189百万円とされている。第三者割当増資の手取り額約481百万円と合わせた資金使途は、事業拡大のために09年3月に購入したアーバンスクエア八重洲(賃貸オフィスビル)と09年4月に購入したホテルユニゾ大阪(ビジネスホテルの不動産信託受益権)の購入資金として、それぞれ調達した短期借入金の返済に充当する予定。 |
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