8711 FXプライムIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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FXプライム(8711 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:証券、商品先物取引業

業績を取り巻く今の状況は悪くないものの、今後は楽観視しにくい面も
 09.3期業績予想ベースのEPS約140円に対して、想定されている公募価格のPERは約9倍となっている。

 単純に、足元業績の高い成長性を考慮すると割安には見えるものの、最近のIPOマーケットの冷え込みや、FXプライムの最近の業績自体に最近の「FXブーム」が貢献していると考えられる点で、一過性のブームが去ってからの業績懸念がある点などを考慮すると、あまり高い価格形成は期待しにくいところ。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 07/3 08/3 08/6 09/3予
売上高(百万円)
1,056
216.6%
3,345

1,380
71.9%
5,752
営業利益(百万円)
214
568.2%
1,432

699
45.7%
2,086
経常利益(百万円)
211
576.8%
1,429

697
42.3%
2,034
当期利益(百万円)
119
601.8%
836

411
41.9%
1,187
総資産(百万円)
純資産(百万円)
7,324
1,449
16,106
2,285
16,639
2,696
--
--
株主資本比率(%) 19.8% 14.2% 16.2% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
2.9%
8.2%
8.9%
36.6%
4.2%
15.3%
--
--
発行済株式数 8,300 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
14.4
174.5
100.8
275.3
49.6
324.8
143.0
--
配当(円/株) -- -- -- 25

事業概要
外国為替保証金取引を中心とした外国為替取引事業
 FXプライムは、個人投資家向けのインターネットを媒体とする外国為替保証金取引を中心とした外国為替取引を主たる事業としている。

 外国為替取引事業は大別して以下の4つに分類され、全て当事者間の相対取引となっている。

1. 個人投資家がFXプライムに直接取引契約を申し込み、取引を行う「外国為替保証金取引」

2. FXプライムの扱う外国為替保証金取引の媒介契約を締結した媒介元から紹介を受けた個人投資家と取引を行う「外国為替保証金取引」で、FXプライムは、媒介元から紹介を受けた個人投資家が取引を行う都度、媒介元に対して手数料を支払う。

3. FXプライムの取引システムをASP方式によって提供している外国為替保証金取引会社(金融商品取引業者)との間の「外国為替取引」

4. 個人投資家・外国為替保証金取引会社との取引によって生じる、FXプライムの外国為替持高(ポジション)のリスク回避のために行う銀行等金融機関との間の「外国為替取引」(カバー取引)

 また、外国為替取引関連サービス事業として、ASPサービス業務等を行っている。これは、FXプライムが開発・管理するシステムを、外国為替保証金取引会社や情報配信会社等の契約相手方に貸与する事業。

情報開示の状況
開示なし
 FXプライムのウエブサイトには8月20日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。「お知らせ」として、上場承認や業績予想・四半期決算短信などのプレスリリースが掲載されている。
収支の状況
マーケット・投資家層の拡大に伴って業績は急成長
 08.3期は、年度末の外国為替保証金取引の口座数は対前期末比+186%増加し、約26千口座となった。また07年5月にカブドットコム証券が外国為替保証金取引を開始するにあたって、ASPサービスを提供するなどした結果、取引高が拡大し、営業収益は対前期比+約216%の増収となった。増収に伴って、経常利益・当期純利益ではともに対前期比約7倍の増益となった。

表1 営業収益の推移(百万円)
          07.3期  08.3期
外国為替取引事業収益
手数料収入     973  435
外国為替取引損益 66 2,854
その他(受取利息)  4   32
外国為替取引関連サービス事業収益 12 23
合計           1,056 3,345

 09.3期の業績予想では、外国為替保証金取引市場では、これまでに引き続いて個人投資家への裾野が広がること等を前提に、下記のように口座数・年間取引高が対前期比で倍以上に増加することを見込んでいる。これによって、預り保証金残高でも対前期比+50%強を見込み、営業収益全体では、対前期比+約71%の増収となる見通し。

表2 09.3期業績予想の前提緒元
             08.3期  09.3予  前期比
期末口座数     26千口座  61千口座 +130.5%
年間取引高    950億通貨 2,200億通貨 +131.6%
預り保証金残高 9,335百万円 14,300百万円 +53.2%
* 期末口座数・年間取引高には外国為替保証金取引システムのASP提供先分は含まない。

 営業費用では、新規口座獲得のための各種媒体への積極的な広告宣伝活動による広告宣伝費を対前期+65%増加と見込んでいること等によって営業費用全体が増加する見込み。これによって、営業収益では上記のように+約71%の増収を見込んでいるものの、営業利益・経常利益では、対前期比+40%程度にとどまる見通しとなっている。

株式の状況
株式需給は伊藤忠商事の政策判断次第か
 既存株主としては、伊藤忠商事が80%以上の圧倒的シェアを持っている。ベンチャーキャピタルからの出資が一部入っているものの、そのシェアは低い。既存株主に対するロックアップはかけられていないが、ベンチャーキャピタルの売却リスクについては、特に大きいものではない。

 問題としては、伊藤忠商事がどれぐらいのシェアを維持するつもりなのかとなる。実質的な支配権・経営権を維持する予定であれば、持ち株を大幅に売却することはないだろうが、伊藤忠の本業とのシナジー等を考慮すれば、持ち株を大きく減らす可能性も十分ありえるだろう。

A. 発行済み株式数 7,050千株(単元100株、08.5に1:500株式分割後)
B. 公募 1,250千株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 1,340千株(売出し元は伊藤忠商事1,180千株、カブドットコム証券160千株)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 0株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 8,300千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 211,500株
既存株主へのロックアップ情報:なし

 目論見書での想定発行価格は1,300円で、この価格に基づく公募によるFXプライムの手取り概算額は約1,486億円とされている。資金使途は、今期のシステム開発等の設備投資に約1,027百万円を充当し、残額については来期以降の設備投資に充当する予定。



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