IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
エス・ディー・エス バイオテック(4952 JASDAQ)IPO |
強気な価格設定となっている印象 08.12期業績予想ベースのEPS約75円に対して、想定されている公募価格のPERは約17倍となる。業績は足元では堅調に推移しているし、農作物向けビジネスの安定性も理解できるが、現在のマーケット環境では、公募価格の評価はやや高いのではないかとの印象を受ける。 MBOに資金提供したファンドの出口戦略の一環としての価格設定かもしれないが、もう少し価格設定は控えめにしたほうが上場は成功するのではないかと思われる。また、会社としては、増配も検討すべきだろう。 連結データ(肩は対前期比(%))
エス・ディー・エス バイオテックは、農薬の有効成分(原体)、及び原体と補助成分を合わせて様々な剤型(粉・顆粒・液等)にした農薬(製剤)の研究開発、製造、販売を主たる事業としている。 エス・ディー・エス バイオテックの特徴は、農薬の有効成分(原体)の研究開発に重点を置いていること、横浜工場において製造しているダコニール原体・製剤を除いて、製造行為を外部に委託している点にある。 日本の農薬の流通ルートは、各JA(農業協同組合)を主体とする系統ルートと、他農薬メーカーとその系列となる販売会社を中心とする商系ルートの2つに大きく分けられる。エス・ディー・エス バイオテックの製品は、他農薬メーカーや、全農に販売され、上記の両流通ルートを通じて、農家等の末端ユーザーに供される。海外販売については、各国の現地販売会社を通じた販売と特定顧客への直接販売が中心となる。 エス・ディー・エス バイオテックの取り扱う主な製品は以下の通り。 ■殺菌剤: 植物病原菌の有害作用から作物を守る薬剤 ■水稲除草剤: 雑草等の防除に用いられる除草剤のうち、水稲栽培に使用される薬剤 ■緑化関連剤: 除草剤のうち、ゴルフ場や公園等の非農耕地・畑地で使用される薬剤、植物の生理機能を増進・抑制する植物成長調節剤 ■殺虫剤: 作物に害を及ぼす有害な昆虫の防除に用いられる薬剤
エス・ディー・エス バイオテックのウエブサイトには11月11日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。 |
07.12期は、国内では主力の殺菌剤・水稲除草剤の維持拡販に注力し、海外では、殺菌剤の需要が旺盛であった。また、殺菌剤・水稲除草剤を韓国・中国での高品質農産物用として販路を構築したこと、需要の増加に伴って横浜工場がフル稼働することで原価が低減したこともあって、売上高では対前期比+約7%の増収、経常利益では、同+約19%の増益となった。 一方、07.12期は、製造委託先との長期契約を解除したことに伴う違約金や、転籍に伴う退職給付費用の一括償却等の特別損失を約1,427百万円計上したことで、当期赤字となった。 表1 品目別の販売実績(百万円、前期比%) 07.12期 08.6中 殺 菌 剤 4,764 +14.6% 2,488 水稲除草剤 3,743 -0.4% 1,572 緑化関連剤 1,788 +10.8% 1,072 殺 虫 剤 881 -4.0% 487 そ の 他 580 +12.2% 317 合 計 11,758 +7.2% 5,938 08.12期の業績予想では、売上高は、国内において、特に水稲除草剤に対する需要が旺盛であることと、海外では円高の影響はあるものの、殺菌剤に対する需要が旺盛であることから、対前期比+約9%の増収の見通し。 売上原価で、原油価格の高騰に伴う殺菌剤原料価格の上昇による原価上昇を見込んであり、増収効果や、製造委託先との長期契約の見直しによる除草剤の原価改善はあるものの、営業利益では対前期比+約6%の増益となる見通し。 エス・ディー・エス バイオテックは、05年にMBOによって昭和電工から独立した経緯から、現在でも昭和電工が主要株主となっており、公募前段階での株式シェアは約15%を占める。また、昭和電工からの原材料仕入高は、07.12期の総仕入高に対して約46%、除草剤等の製造委託に関しても同様で、委託取引高は、同期の委託総額に対して約33%を占めている。このこと自体が即なんらかの問題となるものではないが、今後は場合によってはマイナー株主との利益相反等が発生する可能性もある。
ロックアップの対象になっていないベンチャーキャピタルがあるものの、メインのMBOファンドがロックアップの対象になっているため、当面の株式売却要因は小さい。ストックオプションも、存在はしているものの、ボリュームは控えめになっている。 A. 発行済み株式数 7,600千株(単元100株) B. 公募 200千株、増資によるオーバーアロットメント 200千株 C. 売出し 1,200千株(売出し元はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 31,360株 E. うち潜在株式に算入する数 31,360株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 8,031,360株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 5,312,500株うち、ロックアップ対象外が181,000株 既存株主へのロックアップ情報:ベンチャーキャピタル1社、法人1社と会社関係者10名に対して180日間。対象株数は6,445,360株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年8月 31,360株 527円 07年8月〜15年8月 目論見書での想定発行価格は1,250円で、この価格に基づく公募によるエス・ディー・エス バイオテックの手取り概算額は、約219百万円とされている。オーバーアロットメントとして実施される可能性のある第三者割当増資による手取り概算額約231百万円と合わせた資金使途は、基幹システム構築のための設備投資に263百万円、横浜工場の設備投資に98百万円、つくば研究所の設備投資に81百万円、残額を借入金の返済に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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