IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
データホライゾン(3628 東証マザーズ)IPO |
面白い業態だが、現時点では想定公募価格以上には評価しにくい ビジネスモデルとしては、最近の医療事情を反映したもので、定性的には成長性などを評価できる面もある。09.3期業績予想EPS約100円に対して、想定されている公募価格のPERは約18倍となり、現在の市況をベースに考えると、10.3期以降の成長分もある程度、公募価格に織り込んでいるとみられる。 ベンチャーキャピタル保有株式がロックアップ対象になっていないことによる株式需給面での不安感もあり、想定されている公募価格以上での評価は現時点では難しい。 連結データ(肩は対前期比(%))
データホライゾン・グループでは、レセプトのデータ化とデータ分析結果からの各種サービス、レセプトの発行・チェックのシステムなど、レセプトを中心とした医療関連情報事業を行っている。同事業では、医療関連データベースを中心に、レセプトOCR変換技術とソフトウエア技術を組み合わせて提供している。 医療関連情報事業は、医療関連情報サービスと医療関連情報システムに区分し、医療関連情報サービスでは、保険者向けと製薬会社向けの2つの情報サービスに分類している。 保険者向けでは、レセプトをOCR変換でデータ化し、そのデータによるサービスを保険者に提供している。同サービスは医薬品通知サービスを中心として、その他に保健事業支援システムと同システム用のデータ、保険者のニーズに合わせたレセプトのデータ提供を行っている。データホライゾンからの案内文を見た患者が保険薬局で薬を先発医薬品からジェネリック医薬品に変更することで、保険者の薬剤費が削減され、データホライゾンでは成功報酬で契約している保険者から報酬を受け取る。 製薬会社向けでは、ジェネリック医薬品通知サービスのレセプトデータから、医療の質の向上と医療費削減を目的とした分析情報を製薬会社に提供している。 医療関連情報システムは、医療関連データベースを利用した病院と保険薬局向けのパッケージシステムで、病院向けシステムとしては、病院が審査支払い期間にレセプトを提出する前に、レセプトの記載内容に誤りが無いかを医療データベースを利用してチェックするレセプトチェックシステムを提供している。 保険薬局向けシステムは、患者への服薬指導、薬剤情報提供機能、窓口での会計業務、レセプト発行機能などの基本性能と薬の相互作用のチェック機能を持った調剤レセプトコンピュータのパッケージシステムを提供している。 レセプト(診療報酬明細書)は、医療機関から月に一度、審査支払い期間に提出される患者ごとの請求書のこと。その内容は、診療報酬点数表に基づいて、薬・処置・検査などを点数化して、医療費を計算したもの。
データホライゾンのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページがすでに設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメントメッセージのほか、財務指標の推移、事業概要、決算公告等、上場前の段階としては、十分な開示内容になっている。 |
08.3期は、医療関連情報サービスでは、06年7月から保険者向けに医療費削減効果の成功報酬で開始したジェネリック医薬品通知サービスが順調に拡大し、08.3期の分析レセプト件数は、前期と比較して15百万件増加し、18百万件となった。また、期末時点でサービスを提供している健康保険組合は28組合、加入者数は233百万人となった。この分析レセプト件数の増加によって、ジェネリック医薬品通知サービスと製薬会社向け情報サービスの売上高が増加し、医療関連情報サービスの売上高は対前期比+約90%増となった。 医療関連情報システムでは、レセプトのオンライン請求の段階的義務化が進み、レセプトチェックシステムの需要が拡大したこと、07年10月からNTTデータにレセプトチェックシステムの一部とチェック用データの販売を開始したことで、レセプトチェックシステムの売上高が増加し、病院向けシステムの売上高は対前期比+約96%の増収となった。 また、保険薬局向けシステムでは、システム売上高は増加したものの、一時的に引き受けていた保守契約が終了したたるにメンテナンス他の売上高が減少したことで、保険薬局向けシステムの売上高は対前期比マイナス6%の減収となった。以上から、医療関連情報システムの売上高は対前期比+約17%の増収。 データホライゾンの取引先としては、NTTデータと成和産業が突出しており、2社に対する売上高は、全体のうち07.3期で約60%、08.3期で約70%を占めている。NTTデータに対しては、主にジェネリック医薬品通知サービスなどの保険者向け情報サービスと製薬会社向け情報サービスの販売で、成和産業に対しては、保険薬局向けシステムの販売によるものとなっている。 また、データホライゾンは、06.3期まで繰越欠損金を有していたこと、08.3期は前期まで税務上の資産に計上していた著作権償却1億円を損金に参入したこと等によって、これまでの決算では、税務上の利益に課税される税負担が少なくなっている。09.3期業績予想からは、税負担が織り込まれている模様で、当期利益のみ対前期減益の見通しになっている。
既存株主に対してはロックアップがかけられているものの、対象は取引先と会社関係者となっており、ベンチャーキャピタルは対象になっていない。上場時点での発行済み株式数のうち、約2割を占めるベンチャーキャピタルがロックアップ対象になっていない点は、現在の市況から考えると、ネガティブな材料になる可能性が高い。 上場を検討するプロセスでは、会社側もVCも、ネガティブ評価されることがわかっていて、敢えて判断していると考えられる。何らかの事情があって、敢えて対象からはずしている(はずしてもらっている)ということなのだろう。 A. 発行済み株式数 1,574,530株(単元100株、08.8に5:1株式併合後) B. 公募 200千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 120千株(売出し元は会社関係者110千株、法人10千株)、既発株のオーバーアロットメント 48千株 D. ストックオプション等の残高総数 14千株 E. うち潜在株式に算入する数 14千株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,788,530株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 350千株 既存株主へのロックアップ情報: 取引先等の法人6社と会社関係者15名に対して180日間。但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。 表1 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 08年6月 14千株 1,200円 08年7月〜16年6月 目論見書での想定発行価格は1,750円で、この価格に基づく公募によるデータホライゾンの手取り概算額は約314百万円とされている。資金使途は、借入金の返済に約47百万円を充当し、残額をジェネリック医薬品通知サービスの拡大のための運転資金、新サービス・新製品の研究開発活動資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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